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豊臣ハーレム『豊臣秀吉、愛と政の合間にて──天下を取ったらハーレムがついてきた件』  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩
第2章 『清洲の乱舞──わし、モテ期来たかもしれん』

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第十三話『湯殿で再会──まさかのねね!?』

清洲城の裏手にある湯殿──城勤めの者たちが交代制で使う入浴所。


 日吉丸は、久々の休みに身体を洗いながら伸びをしていた。


 「は〜……よう働いたわ、ほんま……。草履ぬくぬく大作戦、掃除で花描き作戦、全部うまくいって……」


 湯の温もりが、戦い抜いた身体にじんわり染みる。


 そこへ、背後の戸がそっと開いた。


 「すんまへん、入りますね──って、え?」


 振り返った瞬間。


 「──ね、ねねぇぇぇぇっ!?」


 そこには、湯巻きを手にして固まる少女がひとり。

 中村の村で別れて以来の、あの“ねね”だった。


 「……な、なに、あんた。なんで、こんなとこで裸なん?」


 「こっちのセリフやて!! なんで、ねねが清洲おんねんっ!?」


 「あんたの様子見に来たんよ。噂で、“変な格好で茶を淹れとった小姓”って聞いたもんやで」


 「そ、それは信長さまの命令でな……!」


 ねねはじろっと睨んだあと、ふんっと鼻を鳴らした。


 「まあ、そんなことやろうと思った。でなきゃ、あんたが女の子に見られたいわけないしな」


 「そ、そうやて! わしは正真正銘の男子や!」


 「知っとるわ、アホ」


 その言葉に少しだけ安堵したものの、状況は変わらない。


 「ほ、ほら! わし、今ハダカやで!? 出てってくれや!!」


 「いや、うちも入る予定やったし」


 「せめて時間ずらそうやぁぁぁ!!」


 だが、ねねはぬるりと浴場へ足を踏み入れた。

 背中を向け、桶を手にして髪を結い上げる仕草が、日吉丸の記憶よりも少しだけ大人びていた。


 「……ねね。ほんまに、清洲まで来たんやな」


 「うん。あんた、どんな顔しとるか気になったから」


 湯気が立ち込め、ふたりの間にしんとした空気が流れる。


 そのとき。


 「──わっ!」


 桶を取り損ねたねねが、滑って前のめりに倒れ込んだ。


 「お、おい! だいじょ……」


 ばしゃっ!


 湯船の中、見事に覆いかぶさる格好になったねねと日吉丸。


 「な、なんで、わし、こんな……」


 「……い、いまのは、事故やからなっ……!」


 ふたりの間に、頬が火照るような沈黙が落ちた。


 「……日吉丸」


 「ん?」


 「……あんた、最近ちょっと、かっこええかもな」


 「ぶっ、なに言うとるがねっ!?」


 ねねはぷいと背を向けて、湯の中へ肩まで浸かった。


 (どえりゃあことになってきたわ……これ、ほんまにモテ期やて……)


 日吉丸の脳裏に、ねねの素肌と、揺れる湯気の幻が焼きついて離れなかった。



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