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議場

遅めのお昼ごはんが済むと、男三人で連れ立って、散歩に出かける。


うらうらと歩き、、広い講堂のようなところの裏に着く。息を殺して2階にあがる裏階段を上がると、、、栄国の属州から選ばれた者たちが議論を戦わせる議場、、、が覗けるはずなのだが


隠し窓から見える景色は、とても会議中には見えない。


妓女連れで、その着物に手を入れて弄っている者、、、

遅れたのであろうか、遅い昼飯を用意させて食っている者、、、

隣の奴とボードゲームに興じる者たち、、、

なんの遠慮もなく、寝ている奴、、、


それどころか、、、用意された席の半分も埋まっていない。

開始時間は、本来は朝なのだが、、七面倒くさい皇太子がいないのをいいことに、午後に勝手に変更されたとは聞いていたが、、、、、それにしても、、、、すごいね、、開催時間はもちろん過ぎている。


勝手に、ある種の感動を覚えていると、、


「・・・すごいね、、ある意味感動だよ!」

小声でエドが言う。全くの同感だ。

「・・・・・」

ハオランは苦虫を嚙み潰したような顔。




僕たちはブリアの王立学院の同級生だった。


ハオランが栄国から留学してきていて、席が隣同士だったから。

ブリア国王太子エドワードと、栄国皇太子ハオラン、辺境伯御令嬢オリヴィア、そして、、、地方弱小男爵令息の僕。4人でつるんでいた。

僕は1年で学院の高等部をスキップして、土木工学科アカデミアに行ってしまったが、なんだかんだと集まっては、酒を飲んだり、命を狙われたりした。楽しかった。


うちの実家は商売でキャラバン隊を出しているのだが、ハオランがそれと一緒に帰るというので、僕もついてきた。栄国の城壁見たさに。どういうわけか、エドもついてきた。

オーリはさすがに、実家の許可が取れなかったみたいだ。



栄国までの道中、大まかな内情は聞いていたが、聞くと見るとは、本当に大違いだ。


「どうするの?乗り込んでみる?」

「・・・・・今は、、、まだ、時期ではない。」


僕たちはまた、静かに散歩を再開させた。

庭園はかなりの広さだ。初秋。花々が咲き誇っている。


学院にいた時に、ハオランは僕のタウンハウスに遊びに来て、我の屋敷の厠より狭い、と、失礼なことを言っていたが、、、今ならわかる。何もかも広すぎる、、、、やはりこれは、国土が広いから?


ハオランの屋敷に戻ると、妃のシーハンと、妹のスイランが木陰に大きな日傘を立てて、僕らを待っていた。


「風呂に入って着替える。夕刻に、皇帝陛下に挨拶に向かう。」


シーハンが首を垂れて、ハオランに寄り添って屋敷に入る。

「お前たちにも、風呂用の女を用意する。ゆるりとしてくれ。」


いや、、僕は一人で風呂に入れます。エド君は、、、


「いや。俺、、、まだ命が惜しいので、一人で入るよ。」

そうだね、エド。また、国元に残してきたオーリとの火種になると怖いからね。


風呂にゆっくり入って、着替える。


うちの領から、商隊を率いて、イリアから隣国、栄国に入る長旅だった。

良い仕入れもできた。ここの後宮のお祭りが最終到達点になる。みんな金を持っているので、いい商売になる。自国で簪を別注で作らせたのはいい出来だった。イリアで流行の宝石もたんまり仕入れたし、隣国フールでも、庶民には一寸感覚がわからない派手な陶器とかを沢山仕入れた。

うちの商隊は、《《口に入るもの》》は基本的に扱わない。後々、面倒くさいから。リクエストのあったものは別だが、、それも基本的には断っている。変な陰謀に巻き込まれないため。


明日から始まる、後宮での市は大きいものだ。


出入りは厳しいが、僕の父がどんな手を使ったのか、許可証を持っている。謎だ。

商品は、持ってきたものほとんどが売れるだろう。上位妃から始まって、女官、下働きの者まで。

帰りは、、、、自国で売りさばくものを仕入れしながら帰る。

年に2回、この市は春と秋に開かれる。


冬に帰る予定だったハオランが、商隊と一緒に帰ると言いだしたときは驚いたが、、、



風呂に入って、さっぱりした。


謁見があるだろうと、正装は持ってきた。

まあ、僕は、エド君の従僕くらいにしか見えないだろうから、結構気が楽だ。

エド君は、、白いブラウスに、若草色のタイを締めていた。若草色ねえ、、、


イリア国で宝石市場に行った時も、ペリドットに釘付けになっていたな。ふふっ。

エド君とオリヴィアは、入学当時からケンカばっかりだったけど、剣もオーリのほうが強かったし、、、まさか、こんな風にペリドットをうっとりと眺めるエド君を見るようになるとはねえ、、、、オーリの瞳の色だね?というと、恥ずかしそうに、一つ買っていた。

ハオランは大きな黒真珠を買っていた。もんのスゴイ金額だったが、嬉しそうだった。シーハンに会って、なんかすごく納得した。



お茶を頂いて待っていると、正装してハオランがやってきた。

栄国の正装は、、、なんというか、、迫力がある。

側に付き従っているシーハンは黒真珠の耳飾りと、ネックレスを付けていた。やっぱりね。よく似合う。


僕も、栄国流でも良かったかな?どちらにせよ、使用人みたいにしか見えないんだけど、、、








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