春風
梅の宴も終わったので、ブリア語の勉強に専念できるわね。
ブリア語が話せるようになったら、ダンスの練習も始めよう、って先生が言っていたから、楽しみだわ。ブリア風のドレスも用意してくれるんだって!!素敵!!
すっかり春の日差しになって、ぽかぽかだし、、、先生の鳥の巣頭もふわふわだわ、、、
一度触ってみたい、、、犬みたいかしら?
『王妃は、剣を埋めた場所がわからないように、花を沢山植えました。花は翌年も、翌年も数を増やし、もうどこに剣を埋めたのか、誰もわからないほどの花畑になりました。』
『うん、、、上手だね。発音もいいね。じゃあ、今日は、ダンスのステップの練習を始めようか?暖かくなってきて、眠くなってしまうでしょ?』
ふふふっと笑うと、先生は、机の下から靴を取り出した。
『イリアも、ブリアも、文化的には似ているから。フールも、言語系統は違うけど、文化的には似てるかな。靴やドレスも似たようなものなんだ。その年その年の流行があるみたいだけどね。』
そういうと、靴を持ったまましゃがみ込んで、私の足首に触れる。
「ひゃ!!」
変な声が出てしまった。だって、、、
「あ、、、、、、ごめん、、、、靴を履き替えよう。初めてだから、ヒールは低めだけど。」
変にドキドキする。なんなの??急に触るなんて!!!!しかも、、、足首なんて!!!!顔が熱いわ。
「ぶ、、、無礼者!!!」
「あ、、、、ごめんね?」
謝りながら、履いていた靴を脱がせ、柔らかそうな皮で出来た、細身の靴を履かせてくれる。思わず、、、、目の前に差し出されたふわふわの髪の毛に、そっと触れてみる。うふふ、、、やっぱり、、、茶色の犬みたい。
脱がせた靴を綺麗に揃えて置いて、
『では、お嬢様、まずはお手をどうぞ。』
と、手を差し伸べられた。手を?乗せるのね。
そっと、トーマの手に触れる。思っていたより、大きくて、硬い。
ふわりと立ち上がる。
『このまま、少し歩きましょう。エスコート、、、社交の場で、男性が女性に付き添うことです。公の場はもちろん、自分の大事な人は、こうして付き添います。スイランは姿勢がいいですね。ドレスを着ても、映えると思いますよ。』
『・・・・・』
手を引かれ、そのまま兄上の執務室へ向かっている?
『ハオラン、女性のカーテシーの御手本を、シーハンにお願いしてもいいですかね?』
お兄様は、義姉様に頷いて、、、義姉様が微笑みながら、、、、片足をひいて膝を曲げて挨拶した。兄上も優雅に挨拶を返して、、、義姉様の手を取る。
『お嬢様、一曲お願いしてもよろしいでしょうか。』
兄上が、いたずらっ子のように笑って、義姉様の腰を引く。
二人が、微笑みを浮かべながら、見つめあって、、、、、、、春の暖かい日差しの中で、ふわり、と踊る。
はああ、、、、綺麗、、、、、素敵ね、、、、
『スイラン、よく見てね、完璧なお手本だよ。』
トーマが耳元で囁く。
『素敵ね、、、、』
『あなたもすぐに踊れるようになりますよ、、、』
トーマと?
あんな風に踊れたら、、素敵ね、、、
*****
『ねえねえ、先生?』
『・・・はい?なんですか、スイラン?』
『この、王子様とお姫様の結婚式の大舞踏会なんだけど、、、
こんな色とりどりのドレスを着た女の人がたくさんいても、自分のパートナーを見つけられるのかしら?』
『ふふっそうだね。スイランなら見つけられるよ。小さくてかわいいし。』
何時ものように、先生に靴を履かせてもらって、、、、私たちは、ワルツの初級ステップを踏みながら話す。まだ、3回に1回は先生の足を踏んでしまうけれど、、、、
『そうね、私は黒髪だから、、、イリアやブリアでは金髪の人が多いんでしょ?』
『まあ、、、、そうかな。髪色はいろいろだけどね。黒髪の人もいるよ?』
『そうなの?じゃあ、なにか目印がないと、探すのが大変そうねえ、、』
『・・・・・ほら、スイラン、足元ばかり見ないで。僕を見てね。姿勢が崩れるよ。足は踏んでも大丈夫だから、、、』
そう言われて、先生に顔を向ける。
今日もいいお天気で、、、日差しが眩しい位だわ。
『・・・・・・・』
どうしたのかしら?
ステップが、、、止まってしまいましたわよ?先生??
驚いたような顔で、私を見る、、、、、先生??
*****
次の日に控えの間に入ると、トーマではなく、エド様が私を待っていた。
『今日からしばらく、僕が先生です。よろしくね。』
『・・・?あら、、、トーマは?具合でも悪いんですの?』
『・・・いや、、、昨日急に、もう一度城壁の修理作業に行く、って。もう出かけてしまったらしいんだ。』
『・・・あら、、、そうでしたの。トーマ先生らしいわね』
暖かくなってきたので、我慢できなくなったのかしら?ふふっ、、、やっぱり、もち米つくりじゃなくて、城壁、なのね。
『・・・では、、、エド先生、よろしくお願いします。』
エド様に引き続きブリア語とダンスを習う。
靴を履かせてくれるのを待っていたら、顔を真っ赤にして、側付きの官女を呼びに行った。官女に靴を履かせてもらう。
え?
『ええと、、、女性の足首には触れないんだ。』
へええええ、、、?なぜかしら?
よくわからなかったけど、、、いつもトーマは跪いて履かせてくれていたわ。
そうすると、ほんのちょっとの間、あのふわふわの髪を触れるの、、、、
部屋に戻ってから、寝台に潜り込んで、最初の絵本を開く。
攫われたお姫様を助けに、、、ドラゴンを追って、、、王子様が、、、、、
トーマはいつ帰ってくるのかしら、、、、




