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現場

毎日毎日、レンガを運ぶ。


焼いているところからは、荷馬車で来る。

・・・・もう少し慣れてきたら、焼いているところも見学に行ってみたい。


運んだレンガは長く仕事をしている男たちが、次々と組み上げていく。

モルタルを塗り、積む。モルタルを塗り、積む、、、、、

やがて乾いたモルタルは、レンガをがっちりと固定する。

・・・・この、モルタルの成分が知りたい。慣れてきたら、モルタルを練る作業も回ってくるだろうか?


今のところ、若者は力仕事に駆り出される。慣れるまでは筋肉痛でのたうち回ったが、毎日続くと、結構、慣れるもんだ。


陽が出てから、陽が沈むまで。レンガを運ぶ。


異国人だから、奇異の目で見られたりするかも、と、心配もしたが。現場にはいろんな民族・異国民がいて、、、髪色も、黒、赤、茶、金、銀、、、、と。ことのほか国際色豊かな現場だというのが分かった。作業は基本、栄国語で指示されるが、飯時などはいろいろな言語が飛び交っている。方言とかも入れると、相当なもんだ。


食事は豪勢とは言えないが、米の飯はお代わり自由。

飯炊き係の女の人が近隣の村から雇われて、通ってきている。

寝床は雑魚寝。

作業着は支給されるが、あっという間に薄汚れてしまう。


僕がいる班は、2里ほど先の交易用の門があるところまで、雪が降る前まで仕事がある。交易用の門には役人や兵用の大きな宿舎もあり、関所を兼ねている。

年に何度か、遊牧民とこちら側で共同の市が開かれる。こんな門がこの城壁にはいくつか設けられているはず。

うちの商隊が取引するのはこの門での市。僕はまだ来たことがなかったが、、、、注文があったり、タイミングが合えば、絨毯や岩塩や高地のお茶なんかを仕入れる。


毎日、充実している。


一日、何人が作業に従事したら、どのくらいの仕事が出来るか、、、、

レンガは、どれ位の量を使うのか、、、

モルタルの原料は一体何で、どれくらいいるのか、、、、

本で読んだり、アカデミアで計算していたころよりも、確実に役に立っている。


スイランには感謝だな。


朝からいつものように大量のご飯を食べ、汗を流して働く。

10月に入ったので、幾分過ごしやすくなった。陽が短くなったので、夕方の仕舞つけの時間も少し早くなった。

一緒に働いている男から声がかかる。

「おい!とうま、、、、お前何をやらかしたんだ?」

「?」

「役人がお前を探しているぞ。大層な身なりの軍人がお前のところを呼んでいるらしい!大丈夫か?」

「・・・・?」


呼ばれて、現場の監督の役人のところに出向く。作業中の仲間が心配そうにチラチラとこちらを伺っている。


「トーマ様?」


「・・・ああ!将軍様!お久しぶりです!どうされましたか?こんなところまで。」

「ああ、、、公主様が、此度、視察にいらっしゃっている。」

「え?こんなところまで?直々に?」

「うん。皇太子殿下の名代でな。」

「・・・・はあ?」


将軍に連れられて、大きな馬車が停まっているところまで歩く。6台もある。


「しかし、、、良い体つきになったな。わからなかったぞ。」

「はい、、、慣れるまでは大変でしたが。慣れてしまうと、楽しいですよ。」

「そうか。はははっ面白いやつだな。」


「公主様、お連れしました。」


並んだ馬車の真ん中の馬車に案内されると、頭にかぶっていた手ぬぐいを取って首にかける。

「公主様、お久しぶりでございますね。」


と、挨拶すると、、、顔を真っ赤にして、、、、、怒っている??


「お前、、、裸で、、、挨拶など、、、無礼な!!!!」


いや、、、、作業中急に呼ばれたし、、、栄国の着物の上着は確かに、、、動いて暑くなったのではだけて帯にまとわりついているだけだが、、、緩めのズボンは履いているし、、、、


「ああ、、、失礼しました。」


反論しても仕方ないので、渋々、薄汚れて汗臭くなった上着を羽織る。


久し振りだが、、、相変わらずだな。

少し笑ってしまった。



*****

その夜は、公主が泊まるという、この辺一帯の長の屋敷にそのまま連れていかれた。


食事の用意も長の家人に頼んでいたらしく、着いた頃にはおいしそうな匂いが漂っていた。腹が減った。

まず、風呂を勧められた。使用人用の風呂を借りて、久しぶりにさっぱりする。

お湯につかるのは、1か月ぶりだ。

屋敷の者に着替えを借りてくれたようで、出されていた着物に着替える。少し、、、小さい。が、この国の服は、まあ、丈まではどうしようもないが、身幅はある程度融通が利くような作りになっているので、着れないこともない。


支度が整うと、食堂に案内された。いつもなら、もう、ご飯を食べ終わって、寝ているような時間だ。朝早いし、、、、


席に着くと、公主様が着替えて入ってきた。

薄ピンク色の、可愛いドレスだ。簪は色を合わせて、サンゴを付けている。


「改めまして、お久しぶりです。ご視察、ご苦労様です。」


挨拶すると、うん、と頷く。とりあえず、、、、早く晩飯にしよう!!

席に将軍が付くと、どんどんと料理が運ばれてくる。片っ端から食べた。

ご飯もまたお代わりした。


「・・・・トーマは、、、よく食べますね。」


あきれ顔でスイランが言う。

腹が減っているからね。しかも、菜がたくさんあるし、、、、

にこやかに笑いながら、将軍も負けずと食べる。

公主様はつられたのか、いつもより、召し上がるようだ。いいね。育ち盛りだしね。


食後にお茶を頂いて、一緒に出てきた胡麻団子も食べる。幸せだ。


「トーマは、何時までここにいる気ですか?」

「11月いっぱいくらいですかね?雪が降り出すと、工事も中止にするそうなので。」

「・・・・そうなの、、、、秋が深くなると、宮中で、菊のお祭りとかもあるのよ?とてもきれいなの。」

「そうなんですか?楽しんでくださいね。」

「・・・・・」












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