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剣豪

「じゃあ今日はもう遅い、家へ送ってやるがここでの話は他言無用だ、お前を盗聴しているからすぐにバレるぞ」

ノアが僕の背中を叩いた

「え!帰って良いの?!」

「お前がちゃんと仕事ができる様に仕込んでやるが、それまでは今まで通りの生活をしていればいい」

「でも僕警察とかに言っちゃうかもしれないよ!」

ノアはすくっと立ち上がり、見下げる様にニヤリとしている

「言ったろ、盗聴している。他にもお前が逃げられないような策はある」

「いや警察以外にも友達とかさ!僕口軽いよ!」

「今ここで殺せと言っているのか?」

僕は手のひらを直角に突き出した

「いえ、大丈夫です、ボクくち固いです」

そう言って立ち上がって踵を返すと、ジョゼフが前に立ちはだかってアイマスクを差し出してきた。

「申し訳ありませんが、お送りするのでこれを」

「あ、ですよね」

僕はアイマスクをつけると両腕を前に突き出しそろそろと歩みを踏み出していると、誰かが腕を引いてきた。

「そこは穴が空いてるぞ」

ノアだった、その直ぐ後ジョゼフとおもしき柔らかく芯のがっしりした手が僕の手を握って前へと引いてくれた。なんとか車に乗り込み、アイマスクのせいで揺られると吐きそうなのを堪えていた。

砂利を削る音が聞こえる、山の中の様だ、クラシックな音楽が車内に流れている。

「これなんて言ったっけ」

「詳しくはありませんがショパンでしたかね」

「車酔い対策?」

「いえ、道を覚えてもらわないためですね、アイマスクをしていれば左右の方向感覚も鈍くなり、タイヤのすれる音などをごまかします」

「あーなあるほど」

僕は繋がれていない手を木琴の様に打った、メトロノームの真似事だ。

「nobuto様は我流だとお聞きしたのですがいつから指南を?」

「えっとね、人には教えちゃダメなだけで一応流儀名はあるんだけどね。お父さんが幼稚園の頃から万が一の為にって」

過去をふと思い出した、刀筋が悪いと子供には重い木刀でひたすら素振りをさせられ、こんなもの必要ないと泣いても竹刀で脛を叩かれてはまた泣いた。麻美が駆け込んで一緒に泣いたこともある。父がただひたすら「その時がいつか来る」と独り言なのか自分に言い聞かせているのかいつもブツブツと言っていた、その時は今のことなのだろうかと思い立ってみる。そうなると父はノアのことを知っていたんだろうな、いつかノアが僕に助けを求める事を知っていたのだろうか。この事が片付いたら聞いてみたい気持ちになった。

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