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ジョセフの思い出

お盆か近づいたころだった、信斗が夏休みに入りノアと一緒に実家へ帰郷していて、私は久しぶりに一人を満喫していた。と言うかもともと一人暮らしの予定だったのを、信斗がたまたま大学が同じ地域だからという理由で押しかけてきたのがルームシェアの始まりだった。信斗の父親にごり押しされ、あまつさえお金まで渡されそうになり渋々承知したあの頃が懐かしい。


「ところでさあ、ジョゼフは私の部屋で何してるの?」

「ほほ、お気になさらず、坊ちゃんの残した仕事をまとめているまでです」

「それウチじゃなくてよくない?ジョゼフはジョゼフで住んでるとこあるでしょう?」

「ですが家庭菜園に水やりなどありますゆえ」

「それぐらい私がやるわよ・・・まあいいや麦茶飲む?」

「いえ麦茶という緑色の飲み物は少々苦手でして」

「それたぶん緑茶」

麦茶をコップに入れジョゼフの目の前に出すと普通に飲んでいた、日本に来て多少は年数が経っているだろうが、だいぶ馴染んでいるように見える

「信斗たち今頃新幹線かな」

ジョゼフはおもむろにリモコンを持ちテレビをつけた

「今の時刻だと乗り換えの最中かと」

「私も近いうちに一回顔出さないとな」

「オギハラ家にも一度お顔を見せて頂ければノブヨシ様も喜ばれると思います」

「あー信斗のお父さんか、あの人苦手だなあ」

「しかし家が目の前なら必然かと」

「それもそうよね。そういえば前に信斗が本当の父親がいたって言ってたけど」

ジョゼフはテレビのチャンネルを変えていた手を止め、リモコンを机に置いた。

「お聞きになりましたか」

「うん、秘密だった?」

「いえ、ただあの時のことは吹っ切れたのだな、と」

「あの時って?」

「坊ちゃんのお父様、私のマスターが運営していた組織をつぶし、お父様を亡くされ、負傷しながらも日本へ逃げてきた時の事です」

「え?ジョゼフもその嘘に加担してるの?」

「え!嘘だと思われていたのですか!」

「いや信じろってほうが無理でしょう、集団催眠か何か?」

「では暗示にかかった、という前提でお話ししましょうか」

「いやその前にここに入ってきた時に壊したお風呂の窓直して」

ジョゼフは腰を上げ、風呂場のほうへ歩いて行った。麻実も後を追うとそこに浴槽に立て掛けてある窓をジョゼフはもとの位置に直し、ネジを簡易ドライバーで絞めてゆく。

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