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MOZA-CHAN -モザちゃん-  作者: モザの者
第一章 〜彼女の名はモザちゃん〜
7/50

第七話 “玲音”

剣を、無造作に振り下ろす。

ただ、それだけだが、一体、今までの技の幾倍の威力があるだろうか。


「……!!!<“禁技”晴天の夕凪(せいてんのゆうなぎ)>!!!!」


男は正面から受け止める。<“禁技”晴天の夕凪>は、今持つすべての力を出し切ることと引き換えに、真正面の技を完全に無効化し相殺するという、その男の“禁断奥義”であった。


ただ、前述のとおりすべての力を使い切る。この局面で使うにはとても適当とは言えない技であった。

しかし、彼女の持つ桁外れの力が、男に“死”を予感させ、反射的に使()()()()()


……そして。


「が…は…禁技を使っても……これほどの……」


すべての技を無効化するはずの、過去に【混 沌(ケイオスエン) 帝竜(ペラードラゴン)】の息吹(ブレス)さえ耐えた禁技が、破られていた。これには男も予想外というほかなかった。


「ぐっ……う……」


しかしそんなことは意に介さない。モザちゃんは再度剣を振り上げ、力強く振り下ろそうとしたその瞬間……。


ふいに左肩を叩かれる。振り向くと、そこにはーーーー。





「はい、そこまで」


「………………ぇ……?」


「お…遅い…ぞ……」


「ごめんね。ただ、蹴り飛ばされるのは聞いてなかったから、その仕返しと思ってよ。」


ニコニコと、あっけらかんと会話を始めた。さっきまで、死闘を繰り広げていた相手と。


「…………ぇ……?ぁ…???」


まだ、全く状況が呑み込めていないらしい。


「ごめんね、モザちゃん。最終修業とは、このことだったんだ。

…紹介するよ。雨宮 玲音(あめみや れいん)。僕の旧友さ。彼に頼んで、一芝居打ってもらったんだよ。」


「えっ??えっえっえっ……?????????」


「……まだ、気が動転してるようだね…」


「そりゃ、そうだろう…」



……………………………………

……………………………………


「つ、つまりっ、そのっ…」


「私は君たちを殺しに来ただけでも何でもない。ただこの男には恩があってな」


「でっでもっ、けっこう…本気で殺しに来てたような…」


「ふふ。『モザちゃんが死んだら困るからほどほどにしてほしい』って言って、()()()()()手心を加えてくれるような男には、()()()()()頼まないよ」


依然として、ニコニコとしたまま会話を進める。


「ふふ…」


「そんな男だから安心して任せられた。雨宮玲音(あめみやれいん)だから任せられた。」


「くくく…となかわにこの話題を持ち出されたときゃ、俺のことを忘れてしまったのかと思ったぜ」


すべて、作戦のうちだったのである。

最初に、となかわが服を脱ぎ捨て、家紋を落とし金属音を立てたとき、それが()()だったのだ。


「あ…」


すべて理解したようだった。私のために、ここまで…


「モザちゃん、だったか」


「はっ、はいっ!」


「感じるかい。今の力を」


「…感じます!」


「となかわよ…」


「うん。」


()()()()()ものになってしまったぞ。もう誰も、この小娘には勝てんだろう。()()()力だ。これほどの者は…この400年来見たことはない」


「…はい。雨宮さん。私はもう誰にも敗ける気はしません」


まっすぐとした瞳で、玲音を見つめる。


玲音は、その瞳を見て、満足絵に微笑んだ。


「次に立ち会うときは、こんな()()()()剣なんて使いやしねェぜ」


玲音は、次縹(つぎはなだ)色のその剣を地面に突き刺した。


「……!」


「餞別だ、受け取れ。」


真打“村雨”。次縹色の刀身に、激流の力を宿す太刀。玲音の魂の逸品を、彼女は受け取った。


「……雨宮さん、ありがとうございました。」


深々と頭を下げる。

軽く会釈をして、玲音は去っていった。


これにて、“奥義伝授編”終了になります。

殺伐とした話が続いているので、次はほんわかした話になるかもしれません。

本当はほんわかとした話が書きたいのですが、なぜか気づくとバトルになってるんですよね…

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