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MOZA-CHAN -モザちゃん-  作者: モザの者
第一章 〜彼女の名はモザちゃん〜
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第五話 ”金喪斬刀” 


…思えば私って、そんなに恋愛系DVD、観てこなかったんだなあ。恋愛系ドラマとか、小さいことよく見てたから、こんなの今更見たところで…って思っちゃったけど…


「恋愛って、いいなぁ…」


人と人が恋人同士になることって、決して単純なものじゃないんだもんね。一人の男と女の間に、何度も感情の交錯、精神の紆余曲折があって、中には、決して実らない恋もあって……。

愛って、本当に深い。

それは学ぶことができた。

…学ぶことはできたけど。


…できたけどっ!



「これが一体、修行と何が関係あるのーーーー!!!!!」


いくら考えてもわからない。愛が力になるっていうの?北●の拳(youはshock!)じゃあるまいし…


………………………………

………………………………


「一応、全部観ましたけど…」


「…早いねえ…睡眠はちゃんととってるかい?」


「まあ…」


「うん、ならばこれで、修行の下準備は完了だね」


「こっこれで終わりなんですか!?」


「うんっ。これから先は、実践だ」


微笑(ほほえみ)のままに、となかわは話を進める。


「は、はあ…」


「前も言った通り、“しぃけーちき”には、普通の剣では傷をつけることはできない。

傷をつけるためには、“金喪斬刀”の発現が必要不可欠なんだ。」


「“金喪斬刀”……」


「それじゃあ、行こうか。早ければ今日中にでも、僕が君に恋愛系DVDを見せた理由を知れるかもね………………




………………………………

………………………………


ドヴェルガルマ宮殿内、“聖骸人の間”。


人々は恐れ、魔族たちは畏れる。

おおよそ魔物や使者たちのために作られたその宮殿内では、普段から使者たちの‟経”が絶えることはない。


宮殿の中心にそびえたつ巨大な女神像、“魔門産まれの王女の吟遊”の前には、週に一回、総ての魔物が礼拝をしなければならないという慣習があるそうだ。


金の桃が実る木。穏やかな春の日差し。

殺伐とした魔界において、唯一使者や魔物が休める場所であり、“しぃけーちき”直属の配下でさえも骨を休めると言い伝えられている。


そんな“楽園”を、一人の若い男が駆けていた。


腰には光り輝く剣を携え、頭、腰、左足から血が滲んでいる。下腹部に銃弾で撃ち抜かれたような跡があった。滝のような汗を流しながら、時折周りを見渡して警戒している。


『<“深淵の闇球(チキ・ゼルド)”>』


『ぐあっっっ…!!』


深淵色の凶弾が、無慈悲にも男の胸を貫いた。


『ハハハハ、まさか君がこんなところまで襲撃を仕掛けて来るとはねえ。せっかくのバカンスを台無しにされた罪は重いよ』


『チッ…思ったより速い…!もう嗅ぎつけられたか!』


剣を抜き、その男と対峙する。

今までの傷、さらには先ほどの“深淵の闇球(チキ・ゼルド)”によって腰の左側から夥しい量の血が流れ出ている。


傍らから見ても満身創痍。とてもじゃないが、戦える様子ではなかった…。


『ふふん。死にそうじゃあないか。身体が今にも()()引き裂かれそうだぞ?』


深淵の闇球(チキ・ゼルド)”によってつけられた傷穴は大きい。先程の腰の弾痕と()()()、彼の言う通り、上半身と下半身との泣き別れを予感させる。


『致命傷で済んだ、と言ってほしいな…!残念だが、簡単に捕まってやるわけにはいけないんだよ…!』


『<“晴光を謳う(ヴァルフロッテ)大剣(ブレイド)”>!!!』


巨大化した光の剣が、通路ごと対象を切り刻んだ。

同時に、その剣戟によって生み出された光球が破裂し、()()()()()の役割を果たす。


『ほほほう。あれほどの傷を負いながら、これほどの…!やはり君は()()()()()。ごちかわ君。…だがねえ。』


そんな()()()()()()()()など気にも留めないと言わんばかりに、また次の凶弾が胸を貫通する。


『ぐぅ…っ!』


ああ…ダメだ…意識がもうろうとしてきた。今度こそ…だめかもな………


『だいたいねえ。君は中途半端なのさあ。私たちの野望を止めると()()()()ながら、()()()にも手を染めた。

それどころか君は、最後の最後、光か闇かでは、迷いの果て、結局光を取るだろう。必ず、必ずだ。最初から“闇”に徹した、この私との違いだよ、それが』



………………………………

………………………………


「お客さん、もうすぐ到着ですよ。お客さん」


「…………!!!!」


足元が揺れている。隣の景色が猛スピードで後ろへと駆けてゆく。


夢…夢?夢だと……………………

ここは、馬車の中…か…


「夢……?」


ううむ。夢など見るのはいつぶりかな。……悪夢だ。

()()()()()、思い出したくもない思い出だ。

あの日、俺がどうやって生きて帰ったのかは、覚えていない。


「お、お客さん?」


「夢…か…………」


………………………………。


………………………………

………………………………





「まずは、おさらいだ。」


「はいっ!」


「キミが今まで教わった通り、“剣”を振るうには、“光”の力が必要不可欠なんだ。キミはその‟光”の力がずば抜けている。

そして、この光の力を一定以上剣に込めると、それは“光剣”となり、魔物を打ち倒すための強力な武器になる。」


モザちゃんがいつも使っているのがこの光剣の力である。靈煌剣ハルヴァバードに光剣の力を宿して戦う。

それから更に、有り余る光の力を使い、その力だけでもう一つの剣を顕現させることも可能なのだ。


‟光の力”によって強化された靈煌剣ハルヴァバードと、光の力をそのままに顕現させた二対の双剣で振るう剣戟。それが、前の‟しぃけーちき”との対峙で魅せた、<“聖天(ルヴァナ・)霊煌煌(ハザク・)双麗斬(ニヴルガロア)”>である。


ケタ外れの光の力を持つモザちゃんが最も得意とする技であり、相当な鍛錬を積まないと真似ることすらできない。


「だけどね、モザちゃん。この“光剣”には、もう一つ上のステージがあるんだ。」


「もう一つ上のステージ…」


「そうだ。その名を、“金喪斬刀”という。」


「それが、金喪斬刀…」

ちらりととなかわの方を見ると、となかわは微笑みながら軽くうなずいた。


「金色に光る剣身に、生命に満ち溢れたオーラ。その剣を顕現させることができなければ、“しぃけーちき”の操る使者達には傷一つつけられない。…ほんとは、まだまだ先に伝授するつもりだったんだがねえ。」


でも、僕たちはモザちゃんの意見を何よりも尊重すべきだ。ごちかわもその思いは同じはず。

モザちゃんのケタ外れの才能なら、少しくらいは()()()しても何とかしてくれるだろうしね。


「よし。それじゃあ、本格的な伝授に移ろうか。」


「…………!!…お願いします、となかわさん!!!」


Twitterにてたくさんの反応をもらってうれしい限りです。

感想コメントなどは自分の励みになるので、どんどん送ってほしいです。


また、この物語の内容は後から変更することもあります。後から誤字・脱字・不自然な表現に気づくことも多いので・・・


追記:いくらかの評価・ブックマーク登録ありがとうございます。誤字・脱字の報告も助かります。

「サイトに新規登録・ログインしなくても感想をおくれるようにしてほしい」との要望があったので、設定を全員から受け付けるように変更しました。

そんなこんなで行き当たりばったりですが、どうかお付き合いいただければ幸いです。


次回の更新は火曜日、もしくは水曜日です。

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