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MOZA-CHAN -モザちゃん-  作者: モザの者
第三章 ~神々と追憶~
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エピローグ "冥界"

ーーーそれは、しぃけーちきが観た光景。

死の間際の夢なのか。幻覚か。それとも………。



「…ふむ、ここは……ふふ、地獄か。地獄だね。冥界とも言うべきか」


景色はまさに地獄絵図だ。地獄だから当然か。

地は焼け、天は爆ぜ、一面に暗い空間が広がる。

しぃけーちきにとっては心地よい空間なのだろう。


「あら、遅かったわね"しぃけーちき"」


「………サクラウニ!はは、君もここに!!いやあ、最高だったさ、君のお陰さ、あんなに楽しい時は初めてだった」


「……そう」


「人間たちに助けの道を、と息巻いていたのに、行きつく先は地獄とはね」


「……私は自己意思でここに来たわ。何のためか、分かるでしょう?」


しぃけーちきは生前と同じく不敵に笑っている。サクラウニの重圧がのしかかる。


「ふむ、あの時の続きかね。死後もせわしないものよ」


サクラウニがしぃけーちきに死の烈風を送る。

あの時のようにしぃけーちきは抵抗する。


「……む」


「ふふ」


あの時とは違う。しぃけーちきが、明確に押されている。


「いや、まさか、死んで早々に、死ぬのか、私は」


「フフ。()()()()()()勝てると思って?…言ってみなさいよ、それも楽しいものだ、と、普段通り、余裕綽々に」


「………む……」


「なぜ笑わないの?笑いなさいよしぃけーちき。楽しくはないの?あなたは、あの現世(うつしよ)で殺しを散々楽しみ、そして自分の()()()も愉しみ、そして更に、死後の世界でも……迷える魂を、選定前の人々を殺そうと思っていたのでしょう?」


「……はは、バレていたか」


しぃけーちきが本腰を入れて力を解放する。先ほどまでは()()()()があったのだと指し示すように。


「やっと笑ったわね。じゃあ、笑えなくなるような絶望を見せてあげる」


サクラウニの傍らから、何者かが現れる。


…しぃけーちきは、知っている。彼を。


「………!!!」


「私は後悔している。あの日、貴様を見逃したことを」


「金 モザ次郎………!!!!!」


「……そうよ。彼は寿命で死んだ。故に別世界にアクセスはできなかった。だから私は、光の力を繋げて命を形成し、冥界であなたを待っていたの。彼の娘がきっと()()に叩き堕としてくれると信じて。……運命のいたずらね。親子で全く同じ姿となるなんて」


「ふ……ふふ、最後のあがきも、ここまでか。いや、数多の怨念のもとにうち死に、そして、程なく冥界でまた怨念のもとに死ぬ。こんな愉快な御伽話があるか」


わずかに笑い、諦めたように目を閉じる。

達観したようで、ほんの少し、諦め切れない心情が読み取れる。生前からは考えられないことだ。余程、冥界での殺戮が楽しみだったのだろうか。


瞬時にして、モザ次郎の手によりしぃけーちきが粉々に斬り刻まれる。

そしてーーーー


<"老海白">



サクラウニの渾身の瘴気。


あの時と、同じ構図だ。


冥界で真なる力を解放した死の濁流がしぃけーちきを襲う。


ソレは声も発せず。



まるでそこに初めから何も存在しなかったかのように。




稀代の殺戮者"しぃけーちき"は、




冥界の永劫に続く宵闇に、散っていった。








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