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MOZA-CHAN -モザちゃん-  作者: モザの者
第二章 ~蒼き世界アオタン~
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第八話 “希望”

「くっ…もう後がないアル…」


「だ、駄目っ!希望を捨てないで、チェン…!」


「わかってるヨ、でも……」


それは“絶望”そのものだった。

そらを舞う数十もの黒い影。

止まらぬ火。

防戦一方で削れていく、我々の光の力。


当たり前のことだが、普段は、ごちかわ総本家はストガギスタ王国を援助している。

そのためのごちかわ総本家だ。

それゆえ、王国からこちら側へ助けが来る可能性はかなり低い。


「おいおい、どうしたァ?さっきまでの威勢は。防戦一方じゃないか」


そんな本家に。家主の不在な総本家に、

襲いかかるは、無数の黒き翼。


「絶望するのは分かるわ。でも…、もしかしたら、もしかしたら…、ごちかわさん達が帰ってきてくれるかもしれない。まだ、希望を捨てちゃ……!!」


「ハ……ッハァ、あきらめの悪い奴だ。たった今、()()()は魔界へ入ったようだ。すぐには連絡もつかぬだろう、今帰ってくる確率は皆無(ゼロ)なのさ。分かるか?お前たちが助かることはないということだァ」


「な……!ま、魔族が…情報を…!連絡を取り合って協力するだなんて…!!」


「ふ、普通そんなことはしないアル!貴様ら、一体何者ネ!!」


地に手をつきながらチェンが問う。そうすると、トサカの魔族の後ろから別の、髪の長い魔族が()()()()()出てきた。


「フハハ、知りたいか?冥土の土産だ、教えてやろう」


傷ついた体で、燕とチェンはその髪の長い魔族の方を見る。が、ボロボロの心身ながら、感じたのは。


魔族たちも、見ている。

その長髪の魔族の方を、じっと、見据えている……。


「聞いて驚け。我々はな、し──」


どうして?まるで、()()()()を見るような眼。こちら側をそっちのけで、全員がその魔族を見つめてる。


だが、当の魔族はその様子に気づくこともなく、ボロボロの燕とチェンを()()笑うように調子よく話し始めようとした……


その瞬間。

ボウ、と黒い炎が現れた。炎の発生元は、あの髪の長い魔族。


「な…ぎ、ぎゃあああぁあぁあああああああああ…………ぁ……!!!!!!」


恐ろしい断末魔と共に、その魔族は瞬く間に消し炭になってしまった。


「な…なに!?一体……何が………!?!?」


あまりに突然の出来事に、動揺するチェンと燕。だが、魔族側にとっては見慣れた光景なのであろう、一片の動揺すら見て取れない。


「……馬鹿が………。ふん、貴様らは知る必要もねえさ。どうせすぐに、()()なる」


そう言うと、即座に魔族()()()()()をこちらに強く放り投げてきた。

何もなかったかのような様子で。まだ、わずかに炎が残っている。


「……っ!」


それだけのことでも、満身創痍の燕とチェンは避けきれず、苦しい声を上げる。


魔族の筋力で投擲される、大柄の魔族。

それは燃える質量弾。

それをどかすことも、できそうにない。


仲間の亡骸を使い、二人を(なぶ)るという…。まさに悪魔の所業だった。


「だ、大丈夫アルか、燕…!!」


「う…チェン……………」


燕が悲痛な声を漏らす。だが、魔族達は尚も、()()()()のをやめる気配はなく……、ボロボロになった燕とチェンを蹴り上げ、不敵に笑う。


「ハハハハハァ、無様なものだ。お前ら“ごちかわ一家”(ファミリー)には随分と苦しめられたからなァ…。だが、心配するな。じきにとどめを刺してやるよ。本当はもう少し痛めつけたかったが、あまり遊んでいる時間もないからな!」


<“大魔炎(ギガガルラム)”>!!!!


「!!…な…あ……」


「ハハァ、驚いたか?見間違いじゃねえよ、こいつは“特級魔法”大魔炎(ギガガルラム)さ。この俺を一山いくらの()()()()魔族と思っていたか?」


やはり、間違いない…!!あれは、特級魔法…私たちが万全な状態でも、到底捌けない魔法…!ま…まずい…………!


トサカの魔族の形成した大魔炎(ギガガルラム)が、煌々と紅く光っている。そして、合図とともについにその手から放たれた。トサカの魔族が、にやりと笑う。


「つ…燕…もう…………ダメ……アルか…。」


「チェン…希望を…捨てないで…きっと…」


ごちかわさん……!!モザちゃんさん………!!となかわさん…………!!!!


ギュッと目をつむり、過去、幾度となく助けてくれた三人の顔を思い浮かべる。


「う………!!!」


その、直後。

ドガァァァァァ、という轟音が、一帯に響き渡る。

一瞬の静寂。燕が、ゆっくりと眼を開けると……


「あ…あ…れ…………??」


目の前にあった大魔炎が、跡形もなく消え失せていた。

代わりに視界に映っているのは、バサ、バサと音を立てて揺れる、蒼いトレンチコート。


藍色の炎が渦巻く幻覚。

心に鳴り響く、巨大な波の轟音。


「——お前の声、届いたぜ」


「ご…ごちかわさん…………!?!?」


「くく……、今ここに決着は着いた。……これまでよく耐えてくれた。片時も希望を捨てなかった、お前たちの勝利(かち)だ!!!」


ち……違う、ごちかわさんじゃない………!!


「あ……貴方は…………!!」


「なんだ、貴様はァ?せっかくのいいところを邪魔しやがって…いや、待てよ…お、お前は…!どこかで見たことがある、知っているぞ、貴様。さては…」


「悪ぃな、ごちかわじゃなくて」


目の前のトサカの魔族を無視し、その男は燕とチェンの安否を確認する。

そして、燕はその男の正体をすぐに確信した。


「「あ…雨宮玲音!!!!」」


燕と、トサカの魔族の声が重なった。


遅くなってほんとごめんなさい…。

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