第二話 “廻り出した歯車”
「つ、つまり私は…一度死んでから“魂の力”で生き返っている状態だと…」
「そうそう、そういうことさ!!さっきまではあんなに焦っていたのに、だいぶ落ち着いているじゃないか」
「もう、慣れましたから…こんなの…」
「そっかそっか!!それは良いことだ!ならば早いところ、この洞窟から脱出するぞ!」
「は、はい…それは良いんですけど、さっきのは一体、何だったんですか?」
そういうと彼は、急に神妙な顔つきになり、語り始めた。
「…あれは<“亡靄”>。“しぃけーちき”が操る最悪にして最恐の呪いだ。お前がさっき経験してもらった通り、一般人はまず助からない。ヤツらを斃し、野望を止めることが俺の目的だ。」
「し、しーけーちき?」
「“しぃけーちき”だ。何が目的かわからないが、かなり昔から世界を荒らして回っている。俺はこの40年間、ずっとヤツと戦っているんだ」
「しぃけーちき…ずいぶんとマヌケな名前ですね…」
「ああ。だが名前のワリに随分と厄介な奴らだぞ」
「そ、そういえばあなたの名前は…?」
「ん?ああ、いわゆる『助けてもらったんで、せめて名前だけでも!』ってやつか‼………おいおい、人に名前を訊くときは、自分から名乗るのが礼儀だぜ?」
「え、あ…すいません」
「俺は“ごちかわ“!ごちちゃんやら、ごっちやら、好きな名前で呼んでいいぞ!!」
「結局言うんですか!?…わ、私は“モザ”です…モザちゃん、と呼んでください。」
「おお‼モザちゃんか!!変わった名前だな~!」
それに……この名前、あの呪文と同じ名前じゃあないか。何か運命ってやつを感じるな。
「は、はい…」
名前のへんぴさなら、ごちかわさんも負けてないと思うけど…
ううん、そんなことを考えている場合じゃない…!
「……決めました‼私、あなたについて行きます‼そして、“しぃけーちき”らを打ち倒す力になります!こんな苦しい呪いが野放しになって、今も誰かが苦しんでいるなんて我慢できない!」
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「…また一人、僕たちの仲間が加わったようだね。…それにしても、珍しいこともあるもんだねえ、キミが自分から勧誘するなんて。弟子は取らない主義じゃなかったのかい?」
「自分から勧誘したわけじゃないっけどな、いや~熱意に負けちゃってさ!どうしてもって聞かなかったんだよ!!それにさ、見てわかるだろ?とんでもない才能だ。ケタ違いだ。ヤバいぞ。あれほどの才能、埋もれさすにはさすがにもったいねえ」
「僕もそれについてはおおむね同意するよ。あの娘から、閉塞した、時が止まった運命を変えてくれるような、理を壊してくれるような、何かを感じるんだ。ひょっとしたら、あの娘がこの戦いを終わらせてくれるかもしれない。」
冗談交じりの笑い声で彼は話す。
「それなら万々歳だな!……へへ、まさか通常洞窟ステージで“ピックアップSSR”当てちまうとはな」
「分かりにくい例えはやめてよ…」
少し短めです。