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MOZA-CHAN -モザちゃん-  作者: モザの者
第二章 ~蒼き世界アオタン~
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第五話 “真実”

“導星メソ”の深淵を、ちらりと覗いてみた。

そこには、紛れもない、(いにしえ)の魔界の景色が見える。


もはや、導星メソの使い方が手に取るようにわかることも、一目でそれが古の魔界だと分かったことにも、違和感を一切感じなくなっていた。


「…闇色の地、赫く染まった空。()の見た目は古の魔界か。しかし、見た目とは裏腹に()()()()昔でもないようだ。…となると、私が今見ている景色は…」


身体が、いや、魂が知っていたのである。

導星メソは、過去の景色や出来事を記憶し、深淵を覗くことで追憶できる道具(アイテム)だったのだ。


暫くその場に固まり、覗き続け、追憶し続ける。


「此れは…此奴(こいつ)は」


ふと目に映ったのは、自分によく似た、騎士のような見た目をした男。その見た目だけでなく、()()()()も酷似している。しかし、雰囲気が京とは別物だ。


「…………」


京は暫く、導星メソの深淵を見つめ続けた。

思うことがあったのだろう。京がこの地に単独で赴きたかったのも、ここに何かを感じたからだ。


見つめ続けた時間は実際には30分にも満たなかった。だが、妙に()()()()()空気に包まれながら、この地を追憶する京にとって、()()()()()()()感じられた。


ゆっくりと、導星メソから眼を離す。

深淵を覗くのをやめ、また暫く目を閉じた。


再び目を開け、数回(まばた)きをする。その時、京はある違和感を覚えた。

もう深淵を覗いていないはずなのに、例の男が導星メソの中にまだ視えるのである。


景色は()()戻っている。先ほどまで見ていた記憶の、その男の姿だけが映っているのだ。

京も怪訝な表情をし、導星メソを隅々まで眺める。特に怪しい気配はない。


「む…う………?」


顔を上げる。途端に、瞬時にして京はその理由を理解した。

ドクン、と心臓が震える。()()()()()


な、あ…………!!!何故だ、なぜ私は気づかなかったのだ…………!!こんな、こんな事に…………!!



……………………………………



「な、何かあったんですか、となかわさん?」


「この靴は………見間違えるはずもない。こいかわの靴だ………!!」


「こ、こいかわ…?」


「そうだ、聖十二騎士の一人、“流星を纏う聖騎士”こいかわ。過去に何度か会ったことがあるんだ。かなり前から聖十二騎士として活躍している。“棲魔法王国サトクン”に属し、アオタン拠点の建設を担った第一人物なんだ。」


「聖十二騎士…だったんですね。でも、こいかわさん?の靴がここにあることに、何か関係があるんですか?」


「昨日、僕たちがこの屋敷に入った時のこと、覚えているかい?あの時、ごちかわが、こいかわがここに居るかどうかを訊いたんだ。アオは居ないと言った。だけど、こいかわの靴はそこに有る。」


「でも、別の靴を履いて行ったとか、ここに置いて行ったとか…、色々考えられますし…」


「いいや。それは違うんだ。こいかわはこの靴を本当に気に入っている。履いてないときも、いつも肌身離さず持ち歩いて、どこへでも持っていくんだ。任務に赴く時だってね。ここにあるということでも異常だよ。本当に気に入ってるんだ。…それに、靴の深淵を覗いてごらん。」


となかわの一言にハッとして、靴の深淵を見つめる。


「最近まで…誰かが履いていましたね」


「うん。これは紛れもなくこいかわだ。()()()()を感じる。つまり…………」


その場で腕を組み、何やら考え出す。

モザちゃんは、まだ何が何だか分かってないようだ。


こいかわさん?がここに居ることを隠しているの?…何のために?そして、そこから何がわかるんだろう。それに、聖十二騎士になるほど強い人なら、隠しても気配でわかると思うけどな…。特に、闘気(オーラ)、とか…………。


モザちゃんも考え出す。その時、となかわがバッと顔を上げた。全てを察した、という表情である。


「…そうか。そういう…………ことか…………!!!」



ついに、アオタンの秘密に迫ったとなかわ。

そして、京の運命はいかに。

次回、必見————。

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