第3話 紅く染まる者
今回はゴブリンキングとの戦闘回です。
俺は雑魚を幾ら食したところどで魔素をほんの少しづつしか増やせない事でリーダー格の小鬼王を捜す為、最初に見張りをしていた小鬼が居たナルデナ洞窟へと向かった。
「さて、小さい魔力で出来るのは強い光くらいしか発生させられないが暗い洞窟内なら十分だろう。」
ナイフを右手に握り左手には魔素を集中させ、何時でもフラッシュを発生させられる様に準備しながら洞窟内へと入る。
「…………。」
(別れ道か、さっきから俺の様子を伺ってる奴がいるな。 まあいい、先に進まねーと小鬼王が居るかどうかも分からんしな。)
右の道へと進み更に別れ道が見えてくるが直感を頼りに進み続ける度に後方に居る何者かの気配は増えていく。 しばらく進むと開けた場所に出ると奥に巨大な魔物が居る事に気付く。
「グギャッ?」
「あのデカさ、間違いねえ小鬼王だな。」
ある程度近付くとその全貌が明らかになる、肥満体型で頭には王冠を被り全身は濃い緑色をし凶悪な表情をしていた。
「グオオオオッ!!」
「「ギギギギ!」」
「「「ギャッギャッ!」」」
(やっぱ着けてたのは雑魚共だったか。)
小鬼王が雄叫びを上げると俺の逃げ場を無くすかの様に小鬼達が周りを囲む、その中には通常の棍棒を持った個体と杖を持った個体が居た。
(普通の奴に魔法タイプか……。)
「グキイイッ!」
「「ギギ!」」
「当たんねーよ。」
普通の小鬼達は小鬼王が指示を送った瞬間に俺を棍棒で殴りかかるが動きを観察すれば躱せない攻撃でもなく距離を取りながら周囲を見廻す、すると魔法タイプの小鬼魔道士が詠唱を始めていた。
「そらよ!」
「ギャアッ!?」
(まずは一匹だ!)
「ギギーッ!」
小鬼魔道士は詠唱を終えたのか杖の先に魔法陣が展開され岩石が俺に向かって放たれる。
(なるほど、土属性の魔法か。)
「おらよ!!」
「ギャギャー!?」
「ギギッ!!」
俺は近くに居た小鬼を咄嗟に掴み岩石へと投げぶつけ、別方向から飛んで来る岩石を避けながら小鬼魔道士の一匹をナイフで仕留める。
「はっ! 甘いんだよ!!」
「グググ……グアアアア!!」
「!!」
一撃も俺に攻撃を当てられない事に業を煮やしたのか小鬼王は巨大な棍棒を手に持ち俺に向かって振り下ろしてきた。
「ギャーッ!」
「ギギャーッ!!」
「危ねーな、あいつ仲間ごと潰しやがった!?」
「グアアアア!」
「へっ! 敵を減らしてくれて有難うよ、こいつは取っておきのプレゼントだ受け取りな! フラッシュ!!」
「「「「ギャーッ!?」」」」
俺は今まで左手に溜めていた魔素でフラッシュを使い小鬼達の目眩ましをする。 元々暗い所で暮らしていたせいかフラッシュの効果は絶大で小鬼王は無闇矢鱈に棍棒を振り回し周囲の小鬼達を次々と潰していく。
「グオオオオッ! グアアアア!!」
(さあて、大半の雑魚処理はできたが問題はここからだな。 どうやって、あのデカ物を倒すか……。)
ある程度暴れ回った小鬼王の周囲には潰れた小鬼の血が大量に流れていた。
そして、ようやく眼が見える様になったのか俺を睨みつけ棍棒を天高く上げ振り下ろすと地面が砕けクレーターが出来るが紙一重で俺は回避し素早く小鬼王に近付くと棍棒を持っている親指をナイフで切り落とした。
「そこだ!!」
「グアアアアッ!?」
すると小鬼王は持っていた棍棒を落とし、自身の切られた親指の部分を観て棍棒を持とうとするが親指が無くなった事で上手く持てなくなっていた。
「探しものはこいつか? 残念ながらコレはもう俺の物だ、ぱくっ……ゴクン!」
「ギッ!?」
「これは! 凄えな、雑魚と違って魔素の保有量が遥かに増大するのを感じる!!」
「グッ……グオオオオッ!!」
「やれやれ、そんなに焦らなくても直ぐに楽にしてやるよ。 俺も流石に息切れしてきたしな。」
俺は素手で殴りかかる小鬼王の動きを読みながら指を一本ずつ切り落とす。 全ての指が無くなった小鬼王は俺に恐怖を覚えたのか後退り背中を見せ逃亡しようとする。
「ギギャアアアアッ!!」
「逃さねーよ!!」
「ギイイイイイイイイッ!!」
逃げ出した小鬼王の背中に乗り首にナイフを力を込め思いきり刺し込むと甲高い断末魔を上げ、小鬼王は絶命した。
「こんなに不味くて美味しい奴を逃がす訳ないだろ?」
俺は小鬼王を食べ易い大きさに切り分け火打ち石で火を熾し焼いて食べていき、全て食べ終えた頃には体内の魔素は元の三倍位増大していた。
「結構増えたな、今でロディくらいの魔素か。」
森へと戻り安全な場所を探し休息を摂ろうとしていると何処かで見た兵士が嫌がる小さな女の子の手を引っ張り連れ去ろうとしていた。
「抵抗すんじゃねーよ、大人しく言う事聴けば痛いめ受けなくて済むんだからよ! それに竜人族の女なんて珍しいんだから金儲けさせろよな!!」
女の子は喋れないのか声をを出せず必死に抵抗する事しかしていなかった。 ふと兵士の顔をよく見るとロディとフィオを連れ去った一人だった。
「アイツは……ロディとフィオの敵!!」
「いい加減痛いのは嫌だろ? また引っ叩かれ……へぇ?」
「!?」
「死ねええええっ! ロディとフィオの敵だ!!」
怒りで自分の感情を抑えきれなかった俺は兵士の首をナイフで撥ねると簡単に首を切り離した。
兵士の首からは大量の血飛沫が舞い俺の身体を紅く染め上げ、竜人族の女の子は何が起こったのか解らず呆然と立ち尽くしていた。
何時も読んでくださり有難う御座います。
次回も不定期投稿になります。