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無属性魔法使いゼロ  作者: クソラノベ量産機
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プロローグ

無属性魔法使いの始まりの話になります。

 永きに渡る魔王と勇者の戦いに終止符を打つべく、人間側は神々の力の宿る聖剣を手にした勇者を魔王討伐に向かわせた。

 その聖剣の力は凄まじく一振りで1万もの魔物を屠り、壊滅状態だった人間側の戦力は大幅に向上していった。


 そして魔王城では、慌てふためく部下から報告を聞く魔王ウルベノムだったが、彼だけは特に慌てる様子も無く不敵に嗤っていた。


「ま、魔王様大変です! 人間軍がもうこの城内まで侵入して来ております! どうしましょう!!」


「クククッ、それがどうしたと言うのです? この私が人間風情に殺られるとでも?」


「し、しかし魔王様……人間軍には聖剣なる物を有し我が100万もの軍勢が一瞬にして消し去られているのです!」


「そろそろ来ますねぇ、貴方みたいな臆病者は私の部下に要らないのですが良いでしょう冥土の土産に私が負けない理由をその眼に焼き付けておきなさい。」


「魔王様?」


 その直後、魔王の居る部屋の扉が勢いよく開かれ神々しい光を放つ聖剣を持った青年が現れる。


「お前が魔王ウルベノムだな?」


「如何にも、私がウルベノムです。 随分派手に暴れ廻られた様ですねぇ。」


「村の皆を殺したお前を俺は許さない、この聖剣の錆にしてやるから覚悟しろ!!」


「ククッ、そんな玩具で私を倒せますかねぇ?」


「ほざけっ!!」


 青年が聖剣を振るうと辺り一面光が全てを包み込み、その一瞬誰もが魔王ウルベノムを倒したかに見えたが、光が収まった時人間軍からしたら信じられない事が起こっていた。


「な……、なん……で………?」


「おや? どうされました、勇・者・さ・ま?」


「なんで俺は、首の無い俺を観ている?」


「簡単な事ですよ、私が光の中で貴方の首を斬ったからです。 魔力を込めた手刀でねぇ!」


「そんな、聖剣すら通用しないと言うのか……。」


「駄目だ、こんな化け物に適いっこない……。」


 勇者の首がウルベノムの掌に有るのを見た人間軍は何が起こっているのか理解できずに青褪め絶望の表情で、只々立ち尽くす事しか出来ずにいた。


「おっと、貴方達には勇者の首を持ち帰って貰いましょうかねぇ暗黒の時代の幕開けと共にねぇ。 と、その前に種明かしをして差し上げなさいアクナヴィーテさん。」


 魔王ウルベノムが、そう言うと陰からタキシードを着た黒髪の男が歩いて来ると人間軍はアクナヴィーテが裏切ったのかと恫喝する。


「アクナヴィーテ、貴様裏切ったのか!!」


「裏切る? 冗談でしょう、私は元々ウルベノム様の配下で有り片割れですからねぇ。 それに一方的な戦いでは、つまらないと思いまして貴方達人間軍に希望を持たせる為に聖剣は私が造った物ですしねぇ。」


「な、何だと!? 聖剣を造った? 一体何を言っている!?」


「まだ、分からない様ですねぇ。 頭の悪い方だ、これから始まるのですよ……全世界に欲望渦巻く暗黒の時代がねぇ!」


「ほら、勇者の首は返しますよ……希望の象徴が失われた事を世界中に広めるも隠し通すも貴方方の自由ですからねぇ!」


 ウルベノムは、一通りアクナヴィーテに種明かしをさせると手に持っていた勇者の首を人間軍に放り投げ周囲の魔物に一切手出ししない様に告げる。


「そんな、我々は踊らされていただけだと言うのか……。」


「た、隊長……それでも我々は奴と戦います!」


「な、何を……! よ、よせっ!! 敵うはずがない、無駄死にするだけだ!!」


 残った人間軍の兵士達は、せめてウルベノムに一矢報いようと駆け出すが途中で全員身体が何かで斬られたかの様にバラバラになってしまう。


「愚かですねぇ、ウルベノム様に敵う訳ないでしょう。 私が先程魔糸を張ったのにも気付かずに突っ込んで犬死にする時点でねぇ。」


「人間というのは何処までも愚かだな、お前等は残った隊長を襲わず拍手で我が城から出て行くさまを見届けてやるが良い!」


 一人魔王城にて生き残った人間軍の隊長ブラウン・メイガスは勇者の首を抱え悔し涙を浮かべながら、魔王城を後にする。


(くそっ……、チクショウ! 俺だけ生き残った……。)


 魔物から見下すかの様な拍手喝采を受けながら、自身の不甲斐無さと覚悟の足りなさを実感しながら母国イシュタッド王国へと帰還し国王の前まで黒い布で覆った勇者の首を持ち帰った。


「おお、戻ったかブラウンよ! して、奴の首を持ち帰ったのだろう? にしても、勇者の姿が見えぬが彼はどうした?」


「国王陛下、不甲斐ない私をお許し下さい……。」


「む、ま……まさか………。」


 イシュタッド兵士の隊長ブラウンは、魔王ウルベノムに破れ首だけとなった勇者の姿を覆っていた布を捲ると国王は青褪め何があったのか問い詰める。


「我々、人間軍の完全敗北です……。」


「ど、どういう事だ!? 聖剣は魔王に通じなかったと言うのか? それに我が国の兵はどうした?」


「申し訳ありません……、アクナヴィーテの裏切りにより私だけが生き残り全滅しました……。」


「なっ……、全滅だと!? くっ……なんと言う事だ……ブラウンよ、アクナヴィーテが裏切ったとはどういう事だ!?」


「そのまんまの意味ですよ、国王陛下。」


「あ、アクナヴィーテ!? 何時の間に!!」


 イシュタッド王へ現状報告をするブラウンの後方にはアクナヴィーテが立っており、今までの事を説明を始める。


「アクナヴィーテよ、これはどういう事だ? 我々を裏切ったと言うのか!」


「ふーむ、正確には私は元から貴方達の仲間ではありませんし裏切ったのとは少し違いますよ? しかし、まさか私の造った玩具を魔王討伐に持ち出す貴方達は滑稽で中々楽しませていただきました。」


「なっ、お主まさか幾ら魔物側だとしても仲間を屠る威力の物を我々に提供したという事に変わりは………。」


「だから滑稽だと言うのですよ! あの光は全身を包み込む事で魔王様の城に転移してるだけで誰一人として消滅なんてしていませんよ! だから、人間を馬鹿にするのはやめられないんですよねぇ!!」


 こうして、永きに渡る魔物と人間の戦いは魔王軍が勝利し暗黒の時代が訪れ魔王ウルベノムは大魔王として世界の支配者となり恐れられる様になった。

投稿は不定期になります。

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