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 夜行喫茶  作者: 朔々
6/9

 10月6日


 10月6日 晴れ


 やはり休み明けは客が多い。

 あくまで私の体感的にだが、初めての客も多い気がする。

 今日初めての客がいたのだが、彼はとても変わった注文をしていった。

 カップに半分ずつ全種類の豆で淹れろ、と。

 うちは10種類の豆を置いている。半分ずつ淹れても5杯分だ。

 おしゃべりな常連さんの聞き込みによると、どうやら彼はそうとうなコーヒー好きらしい。

 それが高じて、店毎に注文が決まっており、その日の気分により店を変えるのだとか。そうして時々、新しい店を発掘するのだとか。初めての店では例の注文のしかたをするらしい。

 彼は10杯飲み終えると、更にブレンドを注文した。

 淹れている時に、こいつ死ぬんじゃないかと思っていた。

 出したブレンドはお気に召さなかったらしく、一気に飲み干すと、レシピを渡された。

 まぁしょうがない。師匠が出した最後の課題がこのブレンドだ。私はまだ、自分の味を作れないでいる。納得できないでいる。

 だから彼のレシピは大変参考になった。とても飲みやすいコーヒーだった。

 師匠やグランマの味は通好みであり、私も店の伝統に従いそうすべきだと思っていた。しかし彼のおかげで、飲みやすく、万人向けの味でも良いんじゃないかと思えるようになった。

 私のブレンドの完成に1歩近づいた気がする。記念に彼のレシピを残しておこう。


 「コーヒー好きの客のブレンド」

 彼のレシピはもっと細かかったが、あくまで私のブレンドの参考なのでごく簡単に記す。


 「キリマンジャロ:2」「アンダーウッド:5」「 潮騒:3」

 中挽き。

 このレシピは、アンダーウッドの通好みな癖をまろやかにしながらも風味を十分に味わえる万人向けのブレンドだ。


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