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 夜行喫茶  作者: 朔々
5/9

 10月5日


 10月5日 曇り

 今日は一週間ぶりの休みだった。月見台は火曜日が定休日となっている。

 これに関しては以前、師匠が嬉々として長い説明をしていたが、要は火曜日は客の入りが少ないらしい。それにしてもあの時の師匠は実に楽しそうだった。

 この店の定休日を決めたのは当然ながら、初代店主である師匠の師匠だ。私はグランドマスター、略してグランマと呼んでいる。師匠はグランマの話題になるといつも満面の笑みだった。あの時も、間接的にグランマの話だったので、笑顔だったのだろう。

 師匠とグランマは、月見台ができる前からの知りあいらしいが、2人の間にどんな経緯があり、月見台を譲られたのかは分からない。師匠が誰にも話さないからだ。


 それから、秋物の服を買いに出た町中で、偶然、例の新聞配達人に会った。なんだか気恥ずかしくて休日に店の客と会いたくはなかったが、偶然とは恐ろしい。

 配達人に、新しくできた夜行喫茶へ行ってみないかと誘われた。当初は行く気は無かったが、話を聞くうちに興味を引かれ誘いに乗ってしまった。

 その店だが、落ち着いたいい店だった。繁華街の中にあっても外の音が気にならない。壁が厚いのかも知れない。レコードの選曲も、中々に私の好みだった。

 あまり広くない店なのだが、何故か店内中央には席が置かれていなかった。そのスペースで今の倍は置けそうなのに。

 実はこの店、階段を廃し、吹き抜けになっている。その吹き抜けの周囲にぐるりと席が置かれており、客や店員が移動しやすいように1階中央にも席が無い。

 おもしろい店だ。だが、折角の良い雰囲気も店員が台無しにしている。

 彼女自身は、4階建ての店で一生懸命働いていた。

 全ては、短いスカートで店内を飛ばせる店主のせいだ。

 エロ店主め! ドロワーズさえ履いていれば許されるとでも思っているのか? エロ店主め!

 とはいえ、店の造りや雰囲気自体は好みなのだ。今度行く時は4階に座ることにしよう。せっかくおもしろい構造をしているのだ、ぜひ満喫しないと。


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