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 夜行喫茶  作者: 朔々
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 10月4日


 10月4日 晴れ


 常連さんの孫が来年の春から小学校にあがるらしい。

 いつも1人でカウンターのまん中に座る常連さんが居るのだが、今日は珍しく孫を連れての来店だった。

 勝ち気そうな顔つきのかわいい女の子だった。まだ6つの女の子がコーヒーを飲めるわけがなく、元気にメロンソーダを頼まれた。大人だらけの空間だが物怖じしない性格らしい。この頃は夜がだいぶ冷えこんできたので温かいココアを進めたが、メロンソーダがいいらしく、断られてしまった。

 私もまだ28歳だ。子供に体力で劣っているつもりはない。ましてや中年の仲間入りなんて。

 いや、彼女の翼は羽毛だ、だから寒さに強いのだ。私の翼は飛膜なので寒さに弱い、だからに違いない。翼の性質の違いが如実にでるのが今時分の季節なのだ。そうに違いない。断じて私が老け込んだわけではない。


 二人は入学祝いを買った帰りらしい。

 彼女は自慢気にサングラスを掛けて見せてくれた。

 聞けば、彼女の通う小学校は私の母校であった。あそこはまだ夜学がないらしい。

 もともとこの辺りは夜型の住民が少ない。そのうえ少し羽を伸ばせば、夜学のあるいくつかの小学校も通える距離だ。あまり需要がないのかもしれない。

 まあそれを差し引いても夜型へのプレゼントとしては定番である。

 それにしても最近のサングラスはずいぶんかわいくなっている。私の頃は実用一辺倒で縁の隙間から光が入らないように黒いスポンジがついていた。それでも父の頃のゴーグルに比べればずいぶんましだと思っていたのだが。

 まずフレームのデザインが違う、そしてカラフル。父や私の頃からは考えられない。それに種類もたくさんあるらしい。

 気付くと常連さんもサングラスをかけていて、こちらは渋くきまってカッコいい。

 なんだか私も欲しくなってきた、昼間の外出用に1つ持っていてもいいかもしれない。今度見に行ってみよう。

 ついでに父の誕生日プレゼントもサングラスに決めてしまおう。


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