「彼ら」と不思議な男
終わりだ…
リウの心は絶望という言葉でさえ表せないであろう、どす黒い感情に侵されていた。
この高さから落ちていったのだ。確実に
命を落としているだろう…。どうやっても
助からない…。
目が潤み、ぼやけていくのを感じる…。
もう…全部何もかも…終わりなんだ…
彼がいなければ…メルナへ行く意味なんて無い。死んでしまおうか。そうだ。死んでしまおう。「果たせない」私には生きている価値なんて…。
「諦めるなッ!」
頭の中で「彼ら」の声が聞こえた。
私に想いを託した人々。私を信じて任せて
くれた仲間たち…。
そうだ。私は一人じゃない。
「こんなところで諦めてたまるかッ!」
少女は天に向かって叫ぶ。そうだ、まだ
生きている可能性だってゼロじゃない!
なら、いま私がするべきことはっ!
少女は動き出す。その小さな身体に熱き使命を燃やして。
もう何度目だろうか…こんな起き方をするのは…。身体が熱い。いやこれは痛みだ。
身体のところどころに鈍い感覚が走る。
おっと、おっと動かないでね。
心地よい中性的な声が僕の脳髄に響き渡るようだ…。瞼を開いた先にいたのは。
男だ。僕の上半身を影にしてしまうほどに大きな縁が付いたハットと身体全体を包み隠すようなローブを身に付けた…ファンタジーの世界からそのまま飛び出してきたと言われても違和感が無い、そんな男だった。
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