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動揺

ガタン、ゴトン。ガタン、ゴトン。

僕らは様変わりしない風景を窓辺から見ながら、電車に揺られていた。

宿屋を出た後、リウがメルナへと向かうには

距離が離れているので、鉄道を利用しないと

いけないと言ったからだ。

はぁ…思わずため息が出る。

そんなに遠い場所なのかと物思いにふけっていたが、前方から視線を感じたので、そちらを見返すと前の座席に座っているリウが何故かこちらをまじまじと真剣な眼差しで見つめていた。

僕は気恥ずかしくなって

「な、何?」

と尋ねると、リウは微笑んで

「何でもないですよ。気にしないでください。」

と答えた。

気にするなって言われてもなぁ。

僕はどうしても落ち着かなくなり、何とか彼女の気を逸らそうと会話を試みた。

「なぁ、質問していいか。」

「答えられる範囲なら。」

…?やはり言えないことがあるのか。

とにかく彼女の様子を伺おう。

「僕たちが向かっているメルナって

どんなところなのか?」

「行ってからのお楽しみですよ。」

「じゃあ、後どれくらいで着くんだ?

うーん一日とも言えるし、一週間とも

言えますね。」

「お金とかはリウが持っているのか…?

他の用意とかも…。」

「大丈夫ですよ。そんな心配しなくて。

私に全て任せて下さい。」

うーん…。

大切なことは何一つ聞き出せなかった…。

なんか上手くはぐらかされたような…

すると、リウが何らやもじもじしながら

小声で話しかけて来た…。

「ところで、兄さんトイレに行きたいんですが、付いてきてくれませんか?」

「え?何で。一人で行けないのか?」

「とにかく付いてきてくださいっ!」

やれやれ、まだまだ子供なんだなと思いながらも、黙ってリウの後を追うように付いていく。トイレがある車両まで移動すると、

リウは、

「いいですか。兄さん。絶対にドアの前から

離れないでくださいねっ!」

と言いながら、トイレに入っていった。

すると、その瞬間を見計らったのかどうか、

僕と同じようにフード付きのマントを被った

何者かが近づいて来た。そして、

そいつは僕の顔を確認するようにして尋ねてきた。

「もしかして…あなたはーーーですか?」

だが…ガタッン、ゴットン!と電車が揺れ、

上手く聞き取れなかった。

何を言ったか、もう一度聞こうとした時、

ガチャッ。

リウがトイレから出てきた。そして彼女は

僕の前に立ってる人物を見るやいなや

「兄さん、逃げてっ!」

と叫んだ。

僕は突然のことに驚きながらも、すぐにその声に従うがまま他の車両へと逃げ込んだ…。

一体…何だったんだ。

と考えていると、すぐにリウが戻ってきた。

何だか、息が切れているようで…

「あ、あの人は…」

「兄さん、心配しないで。もう大丈夫だから。とにかく私から離れないでくださいっ!」

彼女が動揺しているのは誰の目から見ても明らかだった。そして、リウはまだ、呼吸も

落ち着かないまま、言葉を発した。

「次の駅で降ります。ここは危険なんですっ!

今は私の側に...。」

「危険ってどう言うことなんだよ。さっきの人のことも、ちゃんと説明してくれ!」

「兄さんは黙って私に従ってくださいっ!!」

何だよ。何だそれ。何でそんなに怒っているんだ?焦っているんだ…?元々、彼女のことは、ほとんど分かっていなかったが、ますます拍車をかけるようにわからなくなっていく。

僕は本当に彼女を信じていいのか…?

そんな疑問が僕の脳内を何度も何度も駆け回っていた..。










ここまで読んでくださりありがとうございます。

よろしければ感想等お待ちしております!

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