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作られたお話

ぜひ読んでいってください。

目を覚ますと僕は知らない場所にいた。

「ここはどこだ…? 」

起き上がり、辺りを見渡すと一面灰色がかったような黄色い世界が広がっていた。

僕は気になって自分の体を支えているその地に、身を屈め、腕を伸ばした。

それを右手の人差し指と親指で挟むようにつまむとさらさらとした感触が手に馴染む。

「砂だ…。」

僕は確認するようにもう一度立ち上がり、周りを見渡した。この辺り一面砂に覆われている。砂世界だ。

ここは砂漠なのか…?

じゃあ、なんで僕はこんな場所にいるんだ?

というか、僕は誰なんだ…?年齢は?

出身地は?この場所は?時間は?

止まらないような疑問の雨に頭が押しつぶされそうになっていると…

ブウゥゥウウン と

いきなり、強い風が自分の身体に吹き付ける。思わず吹き飛びそうになり身体に力を入れてなんとか堪えていると、突如目に違和感が走った。僕は反射的に右手の甲で目をこする。どうやら目に砂埃が入ったようだ。

勢いを一向に弱めることをしない強風を前に

立っているのが辛くなり、膝を曲げ地に付け、両腕も組むようにして地面に伏し、四つん這いのような状態で目を閉じた。

どのくらいの時が経っただろう…気づくと

あれほど吹き荒れていた風の音が止み…

辺りは静寂に包まれていた。もう大丈夫だろうと身体を起こそうとすると、

「兄さん…?」

綺麗で透き通った声だった。それでいてあどけなく、幼い子供を連想させる…そんな声だった。

僕は思わず、その声のあった方に顔を上げ

た。そこには蒼いガラス玉のような瞳…雪のように白い肌 、金色に輝く髪を持つ、ツインテールの少女が立っていた。

「可愛い…」

頭に浮かんだ言葉が思わず、口から漏れてしまったらしい…。目の前にいた少女が、顔を赤らめ、勢いよく叫んだ。

「なんてこというんですかっ!兄さんっ!」

少女がいきなり大声を出したことにも驚いたが、それよりも…

「兄さんって僕のことか…?」

「そうに決まっているじゃないですか…

まさか覚えていないんですか?」

「あぁ…そうみたいなんだ。何もかも…」

「これは困りました…まあとりあえず

私が説明してあげます…」

この目の前にいる少女が言うには

僕ら兄弟は旅をしていて、その途中ではぐれてしまったらしい…。わからないことはまだまだあるが、最初に…

「君は…」

「リウですよ。兄さんっ。もう忘れないで下さいねっ!」

少女はそう言うと可愛らしく微笑んだ。

「それにしても…自分より私の名前の方が先に気になるなんて兄さんもしかして私に一目惚れしちゃいました…?なんちゃっ…」

「ああ…そうだ。」

僕は彼女の言葉を遮るように言った。

すると少女は前よりももっと顔を赤らめ、

「え…えええええええぇっ?に…に…兄さんが私のこと…好きって言いました…?言いました!」

明らかに自分の世界に入り込んでしまった少女を前にして、どうしようかと思い、あることを問いかけた。

「僕たちはどうして旅をしているんだ…?」

すると、少女はピタッと動きを止め、

先程のような笑顔とは似ても似つかない

ようなぎこちない表情を見せ、こう言った。

「嫌だなぁ兄さん。ずっと前から一緒に旅に出ようって言ってたじゃないですか。」

直感…直感だが…いや直感だからこそ分かってしまった。嘘だ。彼女は嘘を吐いている。あの蒼い目がそう語っている。何故嘘を吐くんだ?僕のため?それとも彼女自身のため?

彼女が嘘を吐いていることだけは確かだ。

だが、それに気づいたところで僕にはどうしようもないんだ…今、この場所で頼れるのは

彼女しかいないのだから…。だから…

「そ、そうなんだ」

僕は適当に相槌を打つ。

「ちょっと兄さん適当に返事しないでください」

「ああ、ごめんごめん」

見つけるんだ。この旅の理由を。

一時見せた、あの少女の暗い濁った瞳のわけを。

失われた僕の「人生」という名の記憶を。


















































ここまで読んでいただきありがとうございました!感想等お待ちしております!

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