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【全年齢版】一目惚れ

人 物


村岡暁(20)大学生

山田武(20)暁の友人で同期生

山田ゆい(17)山田武の妹

若い女性


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


○カフェ・店内


人で賑わう店内で、村岡暁(20)は若い女性と向かい合って座っている。


若い女性「だからあ、今すぐその浮気女に電話かけて別れたら許すって言ってんの」


苛立った様子で若い女が言う。


村岡「でも、俺達って別に付き合ってないよね?」


村岡は少し困ったように言う。


若い女は目を見開き、勢いよく席を立ち上がる。


○アパート・山田の部屋


部屋の中には段ボールがいくつも置かれている。


山田武(20)は村岡と荷解きをしている。


山田「いや、それは殴られてもおかしくねえよ。むしろ刺されなくてよかったな」


山田は荷解きのてを止めて呆れたように村岡を見る。


村岡の顔には大きな青あざがある。


村岡「そもそも俺は付き合おうなんて一言も言ってないし、向こうだって言ってない」


荷解きの作業を続けながら、不服そうに村岡が言う。


山田「うわっ、クズがいる」


村岡「そうだな、休みの日に金のない友人の引っ越しを手伝ってやる聖人に暴言を吐くクズがいるな」


山田「いや、それは感謝してるって」


山田は村岡に決まり悪そうに謝る。


山田「でもお前、彼女とか作んねえの?」


村岡「彼女なー、だって面倒じゃん。そこまで合わせたいって思える子がいないんだよなあ」


村岡はだるそうに言うが、作業の手は止めない。


山田「面倒って?」


村岡「夜中に電話してきたりとか、突然押しかけてきたり、束縛してきたりとか」


山田「出たよ、メンヘラほいほい」


村岡「正直、黙ってても寄ってくる相手にそこまでの熱量を持てない」


山田「うわ、ゲス過ぎて絶対妹とか近づけたくない……でもそれなら俺にも女の子紹介してくれたっていいじゃない」


茶化したように山田が言う。


村岡「出たよ、ダブルスタンダード」


山田「ていうか、じゃあどんな子なら好きになるんだよ」


村岡「わかんね。正直好きとかわかんないし」


山田「なんだよそれ……おっ」


山田が古びた段ボールを開いて、手を止める。


村岡「どうしたんだ?」


村岡は山田の声に不思議そうに振り向く。


山田「場所がないからって俺の部屋にしまわれてた昔のアルバムが混ざってた」


言いながら山田は段ボールから古びたアルバムを取り出す。


村岡「おい、そういうのは見だしたらきりがないぞ」


山田「いや、これ俺が物心ついた頃からしまわれたんだけど、白黒の写真とかあるぞ」


山田は止める村岡の言葉を無視してアルバムをパラパラとめくり始める。


村岡「へえ、じゃあかなり古いのもあるんじゃないか?」


村岡も山田の元へ寄っていき、後ろからアルバムを覗き込む。


山田「もしかしたらじいちゃんとかばあちゃんより前の写真とか出てくるかもな……村岡?」


後ろからアルバムを見ていた村岡が突然山田のページをめくる手を止めさせる。


山田は怪訝そうに村岡を振り向く。


村岡「すごい美人がいる」


山田「おお……」


村岡の言葉に山田が視線を戻せば、着物を着た女性のモノクロ写真がある。


村岡「俺、付き合うならこういう人がいい」


村岡は熱っぽい瞳で写真を見つめる。


山田「年代的に、ひいばあちゃんか? ばあちゃんの若い頃にはもう写真はカラーが主流だったはずだし、妹に似てるし」


写真を見ながら山田が言う。


村岡「へー、そんなに似てるんだ?」


山田「一瞬、妹かと思った」


二人の間にしばしの沈黙が流れる。


村岡「妹さんの写真とか、ある?」


山田「あるけど見せない」


村岡「なんでだよ」


ムッとしたように村岡が言う。


山田「妹にはもっと誠実な人間と付き合って欲しい」


村岡「別にまだそこまでは言ってないだろ」


文句を言う村岡を、山田が眉間にしわを寄せながら見る。


直後、呼び鈴の音がする。


山田「おっと誰か来たみたいだ」


山田はアルバムを閉じて段ボールにしまい、ふたを閉めてから立ち上がる。


山田が玄関のドアを開けると、山田ゆい(17)が立っていた。


ゆい「お兄ちゃん、家にスマホ忘れてたから持ってきてあげたよっ」


山田「そうか! ありがとう、ゆい! 気をつけて帰れよ!」


山田はゆいからスマホを受け取ると、すぐに扉を閉めようとする。


ゆい「えー、せっかく来たんだからお兄ちゃんの住む部屋見せてよ」


ゆいはドアに足を挟んで、山田に食い下がる。


山田「ダメだゆい! 今ここにはケダモノがいる!」


村岡「誰がケダモノだよ……」


叫ぶ山田の後ろから村岡はドアを押し、勢いで山田が部屋の外に投げ出される。


ゆいはすんでの所でそれをよけると、ドアを開けた村岡と目が合う。


ゆい「あ、初めまして、私、ゆいっていいます。お兄ちゃんの友達の方ですよね」


焦ったような、恥ずかしそうな様子でゆいは村岡に会釈をする。


村岡はしばらくゆいを見つめた後、急に真剣な顔になってゆいの手を取る。


村岡「初めまして、村岡暁といいます。結婚を前提にお付き合いしてください」


ゆい「えっ」


にわかにゆいの顔が赤くなる。


山田「俺は認めないからな!」


山田の声が辺りに響く。

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