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女騎士(バーサーカー)とオークと、時々バイク  作者: 高城拓
第2章 冬までにあったこと
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アンネリーゼのノート 魔王領まとめ(1)

この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。

出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(1919年4月)


この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(1919年4月)

 日々の授業より得た知識に基づき、備忘録として以下に魔王領の特徴をまとめる。

 間違い、欠失がありうることに注意。


●地勢

 東西最大680km、南北520km程度のおおよそ台形の領土を持つ。

 海岸線および山脈ならびに踏破不能地域は北から右回りに、隕星湾、北氷洋、大東洋、南洋諸島海域、《断絶の壁》、レパゾ山脈、《あばたの湿原》。

 国土の中央にはカメリモス大火山と呼ばれる活火山がそびえる。標高4800m。年中溶岩と火山性ガスを放出している。大噴火は4~5年周期。

 火山灰や酸性雨などの環境障害を発生させている反面、膨大な地熱と広大な山麓に降り注ぐ降水により、周辺地域に水不足だけは心配がない。


○隕星湾

 大昔に星が落ちたとされる円弧状の湾。

 火山と同じく外輪山を持つが、かなり侵食されておりなだらかな山麓を持つ。

 外輪山の最高峰はビーツ山(987m)、外輪山群の直径は190km程度と考えられている。

 南岸である魔王領側には漁村や地域港湾が並ぶ。北岸は《帝国》の領土で、冬季は海が凍りついてしまう。

 北岸と南岸の国境は、《凍えの平原》から流れ込む黒竜江(河口幅14km)。

 黒竜江両岸は龍族の聖地であり、《帝国》との緩衝地帯になっている。河口南岸の都市、リキ=イジルは人口30万にもなる北部最大の都市であり、《帝国》及び龍族との交易拠点である。

 マス、サケの卵の塩漬け(帝国語でイクラ)が美味しいらしい。楽しみ。


○北氷洋

 隕星湾東部より外側から大東洋の北側を北氷洋と呼ぶ。

 《帝国》東岸を取り囲む海。冬季はよく海が凍り、流氷が来るという。

 水産資源豊富で、マス、ニシン、タラ、蟹、帆船貝などは美味である。

 蟹の燻製が大変良かったが、蟹鍋に米酒(サキ)が最強らしい。楽しみ。 


○大東洋

 単に東洋とも。東の海。魔王領、聖法王国の東岸が接する海。

 大陸沿岸から300kmほど離れた海上に、《皇国》と呼ばれる列島がある。

 《皇国》の向こう側、数千km先には別の大陸があるが、まだ大規模な国家的勢力は見つかっていない。

 南西から南部海域は特に南洋諸島海域と呼ぶ。

 サケと紅鱒は大東洋を回遊し、秋から初冬にかけて魔王領や聖法王国北部、《皇国》北部の河川に遡上するそうだ。

 魔王領では秋に隕星湾に戻ってくるものが特に美味で、サシミやスシにするのが良いらしい。また、酢漬けや塩漬けにしたものを干し、火で炙ると酒のツマミにたまらないそうだ。楽しみ。


○南洋諸島海域

 大東洋の南西から南部海域に広がる多数の島嶼を南洋諸島海域と呼ぶ。

 多数の島嶼国家が林立し、北は《帝国》、西は聖法王国南端を超えたゼビア海の向こう側の国々と交易している。

 魔王領と《皇国》で必須の原料となったガムの樹液を特に多く産出することも重要な点だ。

 距離があるため生鮮食品の取引はあまりない。


○《断絶の壁》

 標高数千m級の峰々が連なる大山脈。

 その東端は大東洋に面した断崖絶壁。西はレパゾ山脈に接続する。火山が幾つかある。

 山麓には硫黄と硝石の鉱床が多く、大陸東端の水系がことごとく硫黄臭い理由の一端を担っている。

 また《遺跡》を多く内包している。

 聖魔大戦当時は大軍が踏破可能な3本の峠道、レンサル、リアット、アチェルビスがあったが取り壊された。現在、内戦中の聖法王国の難民を受け入れるために街道復旧作業が行われている。

 鹿と猪、トッケイ、ハナキジ、オナガビク、桃、リンゴ、コケモモ、山葡萄、栗、馬大根、ヤマブキタケの素焼き、ネバリタケを干したものが美味しい。


○レパゾ山脈

 《断絶の壁》が接続し、大陸を縦断する大山脈。

 風雨による侵食が進み、大軍の通行が可能な経路がいくつも存在するらしい。

 西に広がるツェントラル大陸中央大砂漠は、黒竜江沿岸地域を除いてヒトや魔族が居住可能な環境ではないと見られていたが、西方蛮族はどうにかしてこれを超えてきたらしい。

 露出している岩塩層や鉄鉱床が見られ、豊富な水力も活用しての鉄鋼業が盛ん。

 レパゾ山脈沿いの地方都市マイスターベルクの刀剣・銃砲火器は、同地の腸詰めともども有名。ハーブソーセージを焼いたのと、ドワーフビールが最高だった。あと岩魚の塩焼き。最高。


○《あばたの湿原》

 隕星湾西方に広がる沼沢地域。森と沼が多いが、幾つもの深い湖もある。

 隕星湾に星が落ちた時、その欠片が大地にうがったあばたが《あばたの湿原》だそうだ。

 龍族はこの地域の黒竜江沿いと、レパゾ山脈中北部に多く住む。

 沼の幾つかは温泉らしく、厳冬期でも大地が凍らず、ぬかるんだままになるらしい。

 このため大軍が南北に踏破することはほぼ不可能である。

 南部はコケモモ、ブルーベリーの一大産地。コケモモは《断絶の壁》産に比べると酸っぱい。シロップ漬けにすると最高。

 希土類と呼ばれる、鉄や銅などの金属に混ぜ込むため鉱物の産地でもある。

 この地を出て隕星湾南に領国を持ったマンネルハイム伯爵家は、龍族の中でも変わり者扱いされている。


○カメリモス大山脈

 カムリーモス、カモイムスとも。標高4800m。非常になだらかな形の活火山である。

 軟質の溶岩を吐き出す活火山で、大噴火は4~5年に一度。火口は北西から南東に向かううねった全長5km程度の亀裂状のもの。

 溶岩の流動性が極めて高く遠くまで流れることが多々あるため、火口周囲20kmは立入禁止。

 平素から火山ガスや溶岩とともに大量の水蒸気を放出しているため、夏は雨を、冬は雪を大いにもたらす。

 この火山の地下熱源由来の温泉が周囲ではたくさん噴出するため、魔王領では温泉に入ることは普遍的な文化の一つに数えられる。

 また、山麓のピオニール、ヌーマクなどこの火山由来の熱水泉源を持つ都市は、温水暖房が整備されていることが多い。

 この火山を水源に持つオーテク河、エレガ河の2大水系は魔王領の水運及び農業生産の半分に大きく影響している、らしい。


 このほか大小様々な河川や山地、丘陵地帯や平野部が存在するが、ある意味では魔王領は山脈に周囲を囲まれた盆地、あるいは過去存在した超巨大火山のカルデラ盆地とみなすことができるそうだ。

 測量の結果わかったこととして、この地球はおおよそ半径7200km程度の球体らしいが、魔王領の国土を球体上に転写すると歪な円を描くためだそうだ。

 しかしあくまでもこれは仮説であり証拠は今のところ見つかっていない。


●気候

 通年を通して降水は多く、快晴が見られるのは5月から10月末までの5ヶ月にすぎない。

 11月と4月は雨、12月から3月は雪が降る。

 最高気温は8月のピオニールで38度、最低気温は厳冬期のリキ=イジルで氷点下20度になるらしい。

 湿度は全般的に高く、これが夏期間の温度の高さにつながっているという見方がある。


●人口・種族・民族

 魔王領では一般に、言語を用いてのコミュニケーションが可能な部族を構成人口としてみなす。

 総人口は8400万。構成人口に占める割合で、多いものから順にヒト族、妖精族(エルフ、ドワーフ、ゴブリン、オークを含む)、獣人(ライカン)(コボルド、ワーウルフを含む)、半魔、鬼人族(オーガー、トロール)、夜魔族(ヴァンパイア/ヴァンピレラ、サキュバス/インキュバス)、鬼族、幽鬼族である。

 鬼族は360年前に《皇国》より脱出してきた民族である。当時の人口は約2万人、現在は18万人程度がその血を継いでいるものと見られている。鬼族は一族の培った戦闘技術・戦略思考と個々人の戦闘能力を武器に混乱期の魔王領に食い込み、現在では魔王領に欠かせない諸族の一員となっている。

 鬼族のもたらしたものにコメ、米酒やショーユ、発酵食品が挙げられる。生鮮魚介類の生食がおおいことも皇国文化の特徴で、サシミはその最たるものである(ただの生魚の切り身ではないことに注意)。

 ミソスープは良いがナットーはどうにかして欲しい。


 前述の通り、魔王領ではヒト族が人口構成比率では最多で31%ある。しかしヒト族の種族内部での純血種の占める割合は40%に満たない。

 一方で妖精族の構成比率は28%。様々な種族を寄せ集めての数値であるから細かく見ていくと各種族の人口に対する構成割合はそれほど多くもないが、各種族とも純血種の占める割合は70%を越えている。

 どうしてこうなるかと言えば、ヒト族と他種族の混血は必ずヒト族の血が優性遺伝されるからである。

 優性遺伝とは2種交雑した際にどちらか一方の特徴のみが表面上現れる現象である。もう片方の因子は隠れているだけで、次の世代になると分化して現れることになる。

 また、何代もあとになり血が薄れていても婚姻の組み合わせによっては因子が揃い、突然別の種族の特徴が現れるように見えることもあるそうだ。隔世遺伝というらしい。

 これは魔王領の民には珍しいことでも何でもない。

 第1期ドラコ政権の以前から、ヒト族や獣人ライカン、妖精族ではオークやゴブリン、ドワーフ、エルフなどは積極的に混血している。半魔はそもそもが混血というより感染症の変化した遺伝病としか解釈できない部分が多数ある(オーガーの姿をした半魔など珍しくもなんともない)。鬼族に至っては魔王領の権力機構と融和するために積極的に婚姻戦略を進めていた。

 このため、民族差別・種族差別も残る中、それよりも社会的身分による差別や経済格差による貧困のほうがより大きな社会問題となりつつある。

 また、混血が進みすぎ、ただ「魔族」としか言いようのない個体群も存在する。彼らは貧困層であることも多く、一部の純血主義の犠牲と見ることもできるが、くわしいことはまだわからない。


 なお、混交して生きる道を選んだ魔族各種族だが、龍族だけはやや異なる。

 龍族は黒竜江沿岸にその故郷を持っており、魔族領に領地両国を持つものはマンネルハイム伯爵を筆頭とした4家ほどのものである。

 つまり龍族の大部分は、現時点では魔王領の魔族とは一線を引いているということになる。

 多数魔王領に在住している龍族は、マンネルハイム家を通じて長期留学の”名目”で入国しているもの、そのまま現地で結婚してしまい永住権を得るに至ったものやその子孫が9割、残りの1割は本当の学者・軍人の交換プログラムで入国しているものとなる。

 この「魔王領の龍族のうち9割」は龍族の聖域に住んでいる者たち、とくにその長老たちからすると堕落した者たちである。

 とはいえ魔王領の暮らしは龍族の若者にはなかなかに魅力的であるようで、単純に観光旅行でやってくるものたちすらいるようだ。

 あと100年もしないうちに黒竜江南岸の龍族は魔王領に完全に与することになるだろうとは、ザボス公爵殿下の弁である。



●言語・度量衡

 聖法王国語をベースに、魔王領各地域・諸族言語・方言を適当にブレンドしたものが標準語として用いられる。

 このため聖法王国語はかなり通じるが、特に軍事・経済・科学技術・魔法技術・衛生技術などでは独自の専門用語が膨大な数存在するため、概念の通訳に支障をきたすことが多い。

 このほか諸族の言語は第2水準言語として現在も用いられているが、話し手は年々減っている。

 度量衡はメートル法と呼ばれるものが用いられる。魔王コー陛下が《遺跡》の技術情報から復元し、普及させたものである。10進法を基準とし、計算が容易である。その分肉体的・感覚的ではないため、例えば「麦ひと束分の重さ」という感覚的表現で情報の伝達をすることが難しい。

 度量衡については私自身勉強中であるため、聖法王国で用いられるヤードポンド法との換算は難しく感じている。

 


以下継続

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