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女騎士、謀る(1)

 村の目抜き通りの外れにある旅籠(ホテル)”ムーンサイド”は、「村と言うにはいささか大きすぎる村」にふさわしく、立派な旅籠だった。

 部屋数36、5階建て。当時のこの地にあっては一番高い建物である。地方貴族の邸宅よりよほど大きくもある。

 未だ木造が主流のこの地方にあっては珍しく、建物の主要構造は鉄筋コンクリート造である。木目美しいアルパイン檜材やロックフォード産の大理石、アラクネの職人が手がけたタペストリーなどで施された内装は節度と気品に満ち、腕利きの買い付け人と料理人によって出される食事は首都ピオニールの一等地の旅籠に引けを取らない。

 馬小屋には馬車10台、馬60頭を入れることができるが、最近はバイクや(軍用以外では非常に珍しいが)自動車用のモータープールも備えている。

 なぜこのような高級ホテルがこのような田舎にあるかといえば、ここがこの地方の交通結節点である上に、ザボスのような上流階級がたびたびこの地を訪れるからに他ならない。

 遺跡と今上魔王陛下コーのもたらした科学・工業製品が世に溢れつつも、社会インフラ整備とそれを支える社会システム、それに人々の意識がまだ前時代を引きずっていた当時、上流階級の旅行には数名からときには数十名、数百名の供がつくのが当たり前であった。

 ましてや例年この時期は、「前魔王の居住する村」の「夏祭り」に「今上魔王陛下の御巡幸」がある。

 旅籠(ホテル)”ムーンサイド”は魔王の供回りを始め政府関係者や貴族が詰めかけ、「満員御礼」を意味する赤地に金糸の縁取りをしたバナーを例年と同じく高々と誇らしげに掲げていた。

 それは旅籠(ホテル)”ムーンサイド”のみならず、その周辺にある中小の旅籠にも及ぶ。

 いまこの時、この村を焼き討ちすれば魔王領は大混乱に陥るのは確実であり、それを恐れる者たちは近衛護衛大隊のみならず、かなりの数の治安維持関係者をこの地に送り込んでいる。貴族たちは未だにその保持が認められている私兵を伴ってさえ居た。

 彼らはあちこちの宿に分宿し、魔王と自分の主人を守るための防御スクリーンを形成した。

 彼らはその内側のカフェや居酒屋でそれぞれが情報交換の場を持っている。

 もちろん情報交換を行っているのは、なにも治安維持関係者や貴族の手下だけではない。夏祭りと魔王の巡幸に伴う人手を目当てに数えきるのが難しいほどの行商人や仲買人がこの地を訪れ、飲み物片手に商談や情報交換を行っている。

 商売とは基本的に情報戦であるから、夏のこの地は首都ピオニールにもけして引けを取らない戦場となるのだ。




「しかしまぁ、今年もえらい盛況で。ほんにまぁええ商いさせてもろてます」


 少し遠くに”ムーンサイド”が見える、村の目抜き通りのやや中ほど。

 そこに店を構える小振りなカフェ”マァリィ()フリザンテマ()”のオープンテラスで、脂ぎった顔つきの小太りのヒト族男性が満面の笑みで言った。

 かなりなまっている。聖法王国東中部、アラヤ周辺の方言だ。特に珍しいことではない。前魔王ギュンターが聖法王国から連れ帰った難民には、アラヤ周辺出身者が多数含まれていた。


「それは重畳ですわね」


 髭面の向かいに座ったスラリとした女性が、優雅な発音で相槌を打った。汗一つかいていない。

 アップにまとめた黒髪の上にオナガミミズクの白い羽飾りをつけた赤い帽子を載せ、身体のラインが浮き出るような仕立ての赤いドレスを着込んでいる。

 肌の露出は少ないが、さり気なく使われたレースのフリルやきらびやかな生地が彼女の美しさを引き立てている。

 控えめに見える化粧はその実技巧の極地を凝らし、切れ長の目元とあいまって怪しげな艶を伴っていた。

 ヒト族のようでもあるが半魔のようにも見える。が、混血の進んだ魔王領では別段珍しいことではない。


「ところで、なんや今日はなんとのう騒がしいような雰囲気ですな」

「お祭りですもの。物盗りなどもあるでしょうしね」

「そらぁそうですな」


 小太りが汗を拭き拭き相槌を打つ。

 いくらこの地方が高原地域だとはいえ、夏の暑気は彼のようなものには厳しいものがある。


「物盗りといえば、先日配属させた新人が弊社の帳面を持って逃げ出しましたの」

「えっ」


 と、女性がとんでもないことをサラリと口にし、小太りは絶句した。

 夏だというのに、真冬に裸で雪原に放り出されたかのように、みるみるうちに唇が紫色になっていく。

 さっきまで盛大にかいていた汗も一瞬で止まる。

 

「しゃ、社長はんとこでも、そそそそそないなことあるんですなぁ」


 小太りは小刻みに震えだした。


「あら、なにか思い当たるところが?」


 女性の手には冷たいリンゴのサイダーが注がれたワイングラス。


「めめめめ滅相もない! そんなん、うちトコみたいな木っ端会社が社長はんに弓ィ引いて何になりますのや!」


 小太りは盛大に焦って大声を出し、手を振り回した。

 止まった汗も再び吹き出す。

 それを女性は面白そうに眺め、クスリと微笑んだ。


「ごめんなさい、冗談ですわ」

「……は、はぁ……ほしたら、社長はん、失礼でっけど……どないしはりますのや?」


 小太りはあからさまにホッとし、伺うような目つきで女性を見上げた。


「どうって、まぁ、最終的な利益に影響しないのであれば、見逃すなり泳がすなり」

「へっ?」

「もちろん、当座の営業活動は多少見直す必要はあるかもしれませんけれど、ひとまず泳がして、帳面を渡した先に賠償金の請求を行いますわ。それと手引したものにも相応の罰を」


 そういうと女性はグラスを傾けた。


「はぁ~……。重ね重ね失礼でっけど、そないうまいこと出来ますのんで?」


「私はいつも、そういうことが起こることも想定していますもの。そういう、銃の引き金のような者は、うまく使うと商売に飽きが来なくて面白いですわよ。まぁ、想定内というところです」


 よろしければ今からでもどうするか教えて差し上げますわよ、と女性は言い、小太りは盛大に汗をかきながら、はぁすんません、ほんなら一つお願い致します、と頭を下げた。

 女性は微笑むと、ならばもう少し静かなところで、と席を立った。

 汗をかきながら会計を行う小太りを見ながら、カフェの女性店員(猫耳獣人(ライカン)18歳)は、あんなきれいなお姉さんでも妙な趣味の一つや二つというのはあるのだな、とぼんやり思った。




『第7回魔王杯オープン第4戦、優勝者は”ブラッディ”ルシエンコ! 復帰して3戦目、今シーズンはじめての優勝だ! おかえり! ブラッディ!!』


 威勢のいい声が曲技場に響き渡り、観客はわっと歓声を上げた。帽子を放り投げるものも少なくない。

 ハーフパイプの上で結果発表を待っていた選手たちは互いに抱き合ったり、肩を叩き互いの健闘を褒めあった。

 当然ルシエンコは大人気で、他の選手からもみくちゃにされている。

 今季すでに3勝を挙げている”トリッキー・トリックス”ことジェイソン・ナガタという小柄な――というよりも少年のような鬼族の選手が、はちきれんばかりの笑顔でルシエンの首筋に抱きついたときには何人もの観客が感激のあまり再び卒倒したが、まぁこれは年中行事のようなものであるし蛇足でもある。

 ともあれナガタ自身、ルシエンコに憧れてBMX競技を始めたのだから、含むところなどあろうはずもない。彼は偉大な先人の帰還を心から喜んでいた。

 審判員席や、その後ろの招待客席でも魔王コーを始めとしたものたちが盛大な拍手を送っていた。


「いやーすごいですねぇ、どうやったらあんなことが」

「なぁ。エンジンもついてないのなぁ」


 曲技場の横合いのほうで、子どもたちをまとわりつかせたアンネリーゼと大会スタッフを示す腕章を木綿のシャツに付けたボグロゥがごくのんびりと感想を言い合った。

 ちなみにボグロゥは今回はテクニカルスタッフ、つまり競技用自転車(BMX)や木材を組み合わせて作られたハーフパイプ、音楽や音声を増幅して放送させる機械全般といったものの突発的故障に備える技術者としてこの場にいる。

 とは言っても魔王領全国を行脚しながら行われる大会だけあって、大会に同行しているスタッフも多い。

 便利のいい現地スタッフってところでまぁ、なんで呼ばれてんのかよくわかんねぇけどな、とはボグロゥの自嘲の弁だが、音響スタッフや電源管理スタッフ、時には自分で自分の競技車両を管理している選手までもがボグロゥに挨拶がてらアドバイスを求めてやってきた。

 ボグロゥはいつもと変わらぬ様子でぶっきらぼうだが丁寧に対応し、あるいは手を貸してやり、そんなボグロゥの後ろ姿をアンネリーゼは抱き上げたクロエと一緒に見ていたのだ。


 やがて表彰式が始まり、アンネリーゼが魔王コーことコウタロウを見てニヤけ、ボグロゥとエミリアとモニカがなんとも言えない目つきで眺めているところに声をかけるものが居た。


「アンネリーゼさん」

「あ、えーと、昨日の、あー、チャンバー・バリバリ=サン?」

「名前覚えてくださいよ! アッシュですよ! アッシュ・エドモン!」


 とぼけて答えたアンネリーゼに噛み付くアッシュ。甘いマスクが台無しである。

 やり取りを聞いていたものたちが生暖かい目をした。

 何の用かと問えば、ザボスからの言伝であるという。


「陛下との晩餐会に? 私が?」

「ええ、できればそちらのご婦人もご一緒に」

「え?」


 と、アッシュが指し示すのはエミリアである。

 アンネリーゼが呼ばれるのは予想はしていても、エミリアは自分も呼ばれるとは思っていなかった。

 思わずアンネリーゼと顔を見合わせて考え込んでしまった。


「無位無官の身なれど今上陛下にお誘いいただけるのであれば喜んで馳せ参じます、と言いたいところですが、なぁ」

「昨日とは違って、今日は魔王陛下としての正式な晩餐会なんでしょう? 私達、ドレスも持ってないですけど、それについてはこちらではどうなんです?」

「我が国よりもよほど貴族文化の強いところがお有りのようですし、あまり汚い格好で出向くのもはばかられますが」


 質素倹約が美徳、贅沢が敵の聖法王国内であっても、改まった場にはそれにふさわしい服装をすることが法で定められている。社会的階級が上がるに連れそれはより細かく厳しくなっていくので、教会の僧侶や教会騎士、領地持ち貴族などは服飾費が本当にばかにならないところがあった。

 ましてやアンネリーゼとエミリアは実態はどうあれ、現実的にはただの旅人という名の無宿者である。

 服を仕立てようにも金が無いし、この村でドレスその他が手に入るかは微妙なところであった。

 さらにはエミリアの指摘するとおり、魔王領は貴族文化が非常に強い。

 聖法王国でも貴族の序列は非常に面倒な問題だったが、教会での序列のほうが優先されるだけ楽な部分が多かった。実際、アンネリーゼは現代の軍隊で言えばいいところ少尉か中尉ぐらいの階級でしかなかったが、社会的地位は遥かに上の領主や代官を相手に法律書を振りかざして咎められもしなかった。

 ところが魔王領はギュンター、コーと2代続けて民主主義への道をひた走っているものだから、その反動で社交の面では貴族文化が強い権勢を誇っている。となれば当然、いくら口で無礼講と宣言したところでそれなり以上の社交的態度とマナーが求められると予想された。服装はそのマナーの一端にして疎かにできない部分である。

 アンネリーゼがどうするかはともかく、魔王コーとザボスへの非友好的な接触が求められている任務においてエミリアにとってはまたとないチャンスではあったが、社交マナーがなっていないと追い返されるのでは意味がない。

 昨日おとといの接触で、アンネリーゼを気安く扱うことに慣れてしまったザボスは服装のことをすっかり忘れていたし、その点はアッシュも同様。

 彼は主人の失態も自分の失態と負う癖があったから、あっという顔をして考え込む羽目になってしまった。


「エミリア卿、ドレスの一つや二つ、私が貸して進ぜよう」


 そんな彼に助け舟を出したのは、トマスとともにやってきたシャンテである。


「エミリア卿は私と背格好が似ておろう。特に直すところもなく入ると思うが?」

「あらぁ、名案ねぇ~。多少直すところがあってもすぐできるしぃ~」


 シャンテの提案にモニカ(洗濯物のお化け)が相槌を打つ。


「アンネは今の通り、お方様のお古で良かろう。モニカのものでは直しが多すぎるであろうし。なに、お方様はあのご気性ゆえ、喜んでお貸しくださる」


 ここまで言われれば二人に否応はない。

 まぁそういうことなら、ということで晩餐会への招待を受けることにした。

 シャンテはアッシュに、殿下と陛下によろしくと伝えた。


「それとシャンテさん、晩餐会の会場ですが」

「ああ、当家でこじんまりと行うという話でございましょう? お方様には私の方からお話申し上げまする。今まで何度もあったことゆえ、問題はないでしょう。まぁその、おそらくあと半刻ほどはお伝えするのに時間がかかりましょうが」

「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」


 存外に柔らかいシャンテの言葉遣いに、アッシュは首を傾げた。

 そこに下卑た顔で茶々を入れたのはアンネリーゼである。


「それで、シャンテ? デートはどうだったの?」


 その途端にシャンテは飛び上がって耳まで真っ赤になってしまった。

 よく見ればシャンテはトマスと手をつなぎ、昨日より二歩半ほど近くに寄り添っている。

 今までとは明らかに距離感が違う。

 

「あらぁ、シャンテちゃん? ついに? ついに?」

「ベ、べべベべべ別に何もはしたないことなどしておらぬぞ!?」


 こちらも下卑た顔をしたモニカが(相変わらずの洗濯物の塊のような格好のまま)シャンテを下から覗き込む。

 顔どころか首筋まで真っ赤にしたシャンテをモニカがさらに追求しようとすると、トマスが半歩前に出てシャンテを庇うような位置を取る。


「いやあ、実はその、姐さんに婚約を申し込みまして。それでその、お受けいただきました」


 トマスはいつものとぼけたような調子だったが、余裕綽々で下卑た表情をしていたはずのモニカが魂消た表情を取る。

 ついでに通りがかった村人も腰を抜かしたりおどろいた表情をし、さらにはアッシュとボグロゥまでもが恐ろしく感心した顔つきになった。

 あのシャンテ姐さんがねぇ、トマス坊やもやるもんだ、などと周囲がざわつく中、今までの颯爽とした立ち居振る舞いのシャンテはどこへやら、小さく縮こまってしまった。恥ずかしさで全身真っ赤に茹で上がっている。

 たまげた表情でぼうっとしていたモニカだったが、一呼吸ほどで我に戻ると表情を崩し、涙をぼろぼろとこぼし、一瞬後にはシャンテに抱きつき頬ずりしながら大声で泣き始めた。

 泣きながらモニカはシャンテを祝福し、シャンテを不幸にしたら絶対絶対許さない、などとトマスを思うさま罵っている。

 鬼のシャンテ姐がついに婚約を受けたという話は瞬く間に広がり、村人や駐屯地の兵士がわんさと押し寄せ次々に祝福とやっかみの言葉をシャンテとトマスに投げかけた。


「へぇ~……やるもんだ。ついに覚悟を決めたんだなぁ、トマス」


 とはアッシュ。どうやら二人の関係については、かなり深いところまで知っているようだ。


「俺ァダメだ、こういうの。最近めっきり涙もろくなってよう……」


 と、指で目尻を拭うのはボグロゥである。

 エミリアもアンネリーゼにシャンテとトマスの間柄を聞かされ、お前の友の幸福を祝わぬわけにはいかんな、と表情を和らげた。


「あのう、ところで、えっと、」

「アッシュ。いい加減怒りますよ、アンネリーゼさん」


 流石に呆れた顔つきのアッシュに、えへへと舌を出したアンネリーゼはボグロゥも晩餐会に呼ばれているのかと尋ねた。

 答えは否だった。

 それを聞いたアンネリーゼは、腕の中で眠るクロエを抱えたまま、目立たぬようボグロゥへ身を寄せた。


「ボグロゥさん、ボグロゥさん」

「ん?」


 見ればアンネリーゼは頬を染め、うつむいたまま首を傾げ、横目でボグロゥを見上げていた。


「あの、今晩のご予定は?」


 ボグロゥは、荒れ地のキャンプでエレーナや他のバイク仲間とバイクをいじって、一杯飲んでから店に戻って普通に寝るよ、と返答した。

 今晩は下手に出歩かないほうがいい、広場周辺や色宿あたりは(さか)った男女でいっぱいだ、とも付け加える。

 アンネリーゼは真剣な声で、絶対に今日の夜遅くは外出しないでくださいねと言い、ボグロゥはああそうかい、そんならそうしようとつっけんどんに言う。

 アンネリーゼは上気した顔つきでこっくりとうなづき、ボグロゥはそっぽを向いて顎を掻いた。



 広場で祝福の輪が広がる中、それをぼんやり眺めていた難民の親子に後から歩いてきた老婆がぶつかる。

 老婆は親子に詫びを入れ、手にしていた籠からリンゴ飴を取り出し、親子に手渡した。

 周りの子供達にも、出来る限り。

 それを村役場の講堂のそばで見ていたゼラは、ほんの少しだけ、美しい形の眉をしかめ、身なりを確認すると目立たぬように老婆の後を追っていった。


――――――――――――――――――――――


「おおー」

「なんとまぁ雅な」

「ホント綺麗ねぇ~」

「よくお似合いですわ、エミリア卿」

「ありがとうございます、奥方様。感謝する、シャンテ殿……しかしちょっと胸がきついな?」

「うっ」

「あっ! す、すまん! 大丈夫だぞ?! ちょっとだけ、ちょっとだけだから!」

「ぐあッ!」

「す、すまぬ!! 本当に申し訳ない!!」

「シャンテ。胸大きくたって肩こるし、下品な目で見られるし、いいこと一つもないよ?」

「そうよ~。アタシは自分の体つき大好きだし~、見せびらかしてるけど~、好きな人が振り向いてくれないんじゃあおっきいおっぱいなんて意味ないのよ~?」

「う、うるさい! このおっぱいおばけども! このおっぱいおばけダブルス! ハト胸玄米茶!」

「何いってんの」

「アタシたちぃ~、ハト胸じゃないものぉ、」

「「ね~☆」」

「ぐぎぎぎぎ」

「まぁいいじゃないの、シャンテ。トマスちゃんは胸の大きさなんかであなたを選んでくれたわけじゃあないでしょう?」

「お方様……」

「まぁ、あったほうが色々出来て楽しいけれど」

「うわぁああああああああん!」

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