第九話 ログアウトとテイム
ひさしぶりの投稿です。
コンと一緒に森に入ってから1時間がたった。
コンが仲間になってから戦闘がはかどるようになってきた。
なぜなら剣で攻撃している時は、狐火で後方から支援し、魔法で攻撃している時は、前方にたちこちらに攻撃が来ないように壁になる。
コンは完全に支援役としての役割をまっとうしていた。
「なんで、調教がネタスキルなんだろう?」
僕はこの1時間でそう思うようになっていた。
「結構このゲームをやっていたな」
コンと二人で森を歩きながらそうつぶやいた。
気付けばALOを始めてから7,8時間たっていた。
「やばい。もうこんなに時間がたっていたのか。晩御飯作ってないぞ。奏に怒られる」
今行った通り晩御飯は毎日僕が作っているのである。
「コン、すぐに町に戻るぞ」
「こん」
僕たちは急いで町に戻って行った。
途中で出会ったモンスター達はコンと連携して今までにない速度で倒していく。
ポーン、ポーン、……
町に帰る途中、何度も何度もシステムメッセージが届いていることにこの時はまだ気付いていなかった。
僕とコンの一人と一匹は数十分で始まりの町についた。
「コン、一度終わりにするからログアウトするな。用事が終わったらまた来るから」
「こん」
僕はコンにそう説明しログアウトした。
「ん、んん……、あぁ~……」
ばちん!
僕は目を覚ますために顔を両手で叩いた。
「よし!ご飯の準備をしなくちゃ。奏もうゲームやめてるかな?」
今になって説明するがALOには連続プレイ時間制限というものがあり、連続して8時間までしかプレイすることができないのである。
1日に8時間しか出来ないわけではない連続で、である。
また1日にプレイできる合計時間制限というものもあり、こちらは16時間である。
連続プレイ時間が8時間になると強制的にログアウトされるようになっている。
連続で上限である8時間プレイするとログインできるまでに4時間と時間を空けなければいけない。
閑話休題
ご飯を作り始めるまえに奏がALOをやめているか確認してきたがまだプレイ中であった。
現在午後7時30分
奏がALOをやめてご飯を食べにくるであろう時間が午後8時。
簡単なものしか出来ないかな。
今晩のメニューは親子丼である。
作り方を簡単に説明すると、玉ねぎ、鶏肉を適当な大きさに切る。
玉ねぎ、鶏肉に火を通し、溶いた卵を入れる。
卵に火が通ったらアツアツのご飯の上にのせて完成である。
二人分出来上がった時点で午後8時。
奏がALOをやめてご飯を食べにくる時間である。
どた、どた、どた、どた。
そう考えていると、奏が2階の自分の部屋から降りてきた。
「お兄ちゃん、今日のご飯なぁに?」
「今日は親子丼だよ」
そう答えると僕と奏は椅子に座った。
椅子に座ると二人でしゃべる内容はALOのことばかりであった。(あたりまえだが)
「お兄ちゃん、ALOではどんな感じ?」
「結構頑張ったから、レベルはいっぱい上がってるよ。9個のスキルがレベル10超えたとこ」
奏は口を大きく開けて驚いた顔で身を机に乗り出しながら少々大きな声で答える。
「お、お兄ちゃん。レベル上がりすぎだよ!どれだけ戦闘してたのさ!?」
親子丼を食べながら奏のその質問に応える。
「お前と別れてからほとんどずっと、かな?一度素材を売りに行ったくらいだし」
奏はあきれた顔で机に身を乗り出すのをやめ椅子に座る。
そして、ため息をひとつ、ついた。
「はー、それでどのスキルが何レベルが上がったの?
それにどうせSP使って新しいスキルとったんでしょ。
なにを取ったかついでにおしえて?」
僕はこの質問が来ると予想していたので、怒られる準備をする。
(調教スキルなんて取ったって言ったら怒られるんだろうなー。)
今の僕の心境はこのことでいっぱいである。
「えーと、まず銃のレベルが7で、剣、杖、魔力強化と魔法才能、あとそれと下級の火魔法と風魔法が10レベル、隠密が11、索敵が12で職業が11です」
答えながら奏を見ると、少し頬が引きつっていた。
「それで、何のスキルをとったのかなー?」
奏の声が少し震えている。
「とっていなかった魔法スキルで下級の水魔法と土魔法、光魔法と闇魔法、あと回復魔法と補助魔法だろ。・・・・・・あと調教」
最後の方は自分でも声が小さいなと思えるぐらいにいった。
もちろん聞こえなければいいな、という希望を乗せて。
「へー、魔法スキル全部とったんだ。魔法技能系を育ててるってことは魔法技能系の上位スキル狙いなの?βの時には誰も手に入れられなかったんだよねぇ。上位スキル取れるようになったら条件教えてよね。・・・それで最後に言ったスキルは何かな?」
先程まで震えていた奏の声から震えが無くなっていた。
それだけではなく声に凄味が出ている。
正直言ってとても怖い。
ここは嘘をつこうと思っ
「・・・補助魔」
「あ゛ぁ゛」
たのだが、途中で奏に睨まれてしまった。本当に怖すぎる。
これなら、ジジイとの鍛錬の方がまだマシだと思えてくる。
ここは、あきらめて本当の事を言って早くに楽になった方がいいのだろう。
「法の後に言ったスキルは調教です」
僕は素直に白状した。
「お兄ちゃん、正座」
いつもよりトーンの低い声を聞き、その言に従い椅子から降りて正座する。
正直奏の言うことに従わなければどうなるか分からない気がした。
「ねぇ、お兄ちゃん。なんでそんなスキルを取ったのか教えてくれないかな?」
やばい、マジで怖い。
泣きたくなってきた。
「えーと、ネットにネタスキルって書いていたからどういうのか知りたかったからです」
奏はあきれた顔で顔を手で覆った。
「はー。ホントにあほだね。調教はβの時にネタスキルだってわかったスキルなんだよ。
まぁ、理由としては調教もっててもモンスターを全くテイム出来ないんだよ。
それに、どうやってテイムするのかもわかってないし、βのとき何人かは成功した人がいるらしいけど、他の人が試しても成功しなかったからね。
それでも成功した人達は戦闘に強くなったから自分もって何人も試していたけど。
だからテイムの方法と条件がわかるまではずっとネタスキル扱いだと思うよ。
まぁ、お兄ちゃんのことだからそんなこと知らずにとったんだろうけど」
「あのー、奏さん。僕、従魔持ってるんだけど」
僕は静かな声でいう。
「へぇ、そうなんだ。・・・・・・ってはい!?
お兄ちゃんなんだって!?」
奏は心底驚いたようで、先程と比べると大きな声になった。
「だから、僕従魔もってるって」
「いや、なんで!?っていうかどうやってテイムしたの!?
どんなモンスターをテイム出来たの!?」
奏の様子がやばくなってきた。テンションが上がり過ぎて何しでかすかわかったもんじゃない。ここは落ち着かせないと。
「どうどう、落ち着け、落ち着け。テンション下げろ。質問は一つずつ答えてやるから」
「ふー、ふー。・・・はー、落ち着きました。それでどうやってテイムしたの?」
「スキルを取ってから何回か戦闘していたらテイム出来てた。
テイム出来たのは妖孤だな」
「妖孤って事は南の森のモンスターだね。もしかしてあそこでずっとこもっていたの?
あそこのモンスター弱いから違うとこ行った方がいいよ。
それで、テイム出来た条件とか、お兄ちゃんわかる?出来なかった時と比べて少しでも違うとこがあれば教えてくれると嬉しいんだけど」
「そんなに変ったとこなんてあんまり無いぞ。強いて言うなら倒した時にあまり傷がなかったってとこかな」
「傷がないかー、それはまだ検証していなかったかな。また今度試してみてくれないか?
お願いね、お兄ちゃん」
「了解。それにだいぶしゃべりこんじゃったな。お風呂に入ってきな。
夜にもう一回ALOするんだろ。だったら宿題でもしてたらいよ。夏休みの宿題なんだから早めに終わらしとけばずっとゲームできるからさ」
「了解だよ。じゃあお風呂に行ってくる」
僕も夜にログインしようかな。
少しのんびりしすぎたようで気が付いたらこんな時期になっていました。
これからもよろしくお願いします