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華麗なる(?)T家の日常について  作者: 春樹凜


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可愛くない息子



 息子が生まれた瞬間、私は、確かに思っていた。

 なんて小さくて可愛いんだと。


 だけど自宅に戻り二日ほど経った頃、息子を抱きながら、なぜか嫌な気持ちになった。


 ……どうしてだろう、お腹の中にいた時の方が愛おしく思える。

 生まれたてはお猿さんみたいだとは知っていたし、実際息子もそんな顔だ。 


 加えて、頭にスッポン的なものをつけて無理やり引っ張っているので、頭が長くなっている――これは今でもそうで、わずかに頭が長い。触らないと分からないレベルだが。


 なんだか宇宙人のように見えた。

 可愛くない……。


 そんな感情を持ってしまった自分が、人としておかしいと思った。

 私は異常者なのかと悩み、シャワーを浴びながら鬱々とした気持ちを流さうとしたけど、無理だった。


 これを主人に相談……したとして、頭おかしいと言われたらと思うと言えなかった。

 私と主人は特に、家族というものに対しての考え方が違うので、私の今の感情は理解できないと言われる可能性は大いにあったのだ。


 なので、日本にいる母に電話した。


 母は、出産直後で気持ちが安定してないんじゃない?と。きっと今だけだと。


 そうなのかもしれない。

 でも、そうじゃなかったら……?

 子どもが可愛いと思えない異常者だとしたら?


 愛しているのは事実だし、もし子どもの命が脅かされることがあるなら、迷わず自分の命を差し出す覚悟はあった。


 それでも、今、可愛いと思えない……。


 子どもを産んだら、母親として、無条件でどんな顔も姿も可愛いと思えないと人間的におかしいはずだと、ぐるぐるそんな考えが巡っていた。


 今だったら、まあそういうこともあるよなぁと言えるんだけど。そんな神経質に考えなくても、肩の力抜きなよと。


 あまり物事に悩まない私だが、わりと真剣に悩んだ。

 悩んで悩んで悩んで悩んだ末に、主人に言ってみた。


 主人は、頭がおかしいとは言わなかった。

 母と同じく、落ち着いたらそんなこともなくなるよと。


 不思議なことで、主人に言われるとほっとした。この人は、理解できないと突き放すに違いないと思っていたから。


 そしてその言葉通り、一週間もすれば、ぼちぼちと愛おしい気持ちが湧いてくるようになった。


 まあ、頭の伸びたお猿さんだなという感想は変わらなかったけど、それはそれで。


 生まれてから一ヶ月もすると、ゴキュゴキュとミルクを飲みまくっていたせいか、顔がパンパンに丸くなった息子が爆誕していた。

 お猿さんっていうか……ア◯パン◯ンのようだった。


 この時の写真を今の息子に見せると、顔の丸さにゲラゲラ笑っていた。

 そっか、面白いか。そらよかったわ。


 しかしア◯パン◯ンの息子も、今の息子も、いくつになっても可愛いのに変わりはない。



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