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エピソード1 始まり

なぜだろう。いつも素直になれないのは。


いつからか周りを気にして自分の殻にこもっていた僕は素直になれず愛想笑いばかりしていた。


これと言った理由はないのに、何故か素直になることはとても怖いことだと自分の中ですごく恐れていた。


でもなぜだろう。僕とは真逆の君なのに、君といると僕は少し笑顔になれる。少し正直になれる。


幼馴染の祐菜との日常を通していつも前向きな彼女との間で揺れ動く心の距離が、少しずつ縮まっていく瞬間を描いた作品です。ぜひご覧ください。



 太陽がじりじりと照りつけて、地面からも熱が立ちのぼる。


 空気はむっと重たくて、息をするだけで汗がにじむ。そんな暑い夏の日。


 学校が終わりそそくさと家に帰っているとちょうど幼馴染の祐菜から電話がかかってきていた。


 久しぶりの電話なので不思議に思いつつも久しぶりの電話に少しわくわくしながら電話に出た。


「やっほー!元気にしてた~?」


 彼女の元気な声が僕の耳に飛び込んでくる


「うん、まぁ元気だよ。それでどうしたの?」


「久しぶりに声を聞きたいなと思ってさ!」


 それだけ?と思いつつも実は内心めちゃめちゃ嬉しく思っている。


 でも僕は少し反応に困ってしまい、次の会話に進むために少し笑っておいた。


 そうするとまた彼女が口を開いて本題を話す。


「ねえねえ、今度一緒に買い物いかない?」


 彼女からの提案を聞いたとき僕は耳を疑った。


 祐菜とはクラスが離れてから全く関わることがなくなり、疎遠になってしまっていた。


 なんで急に買い物に行こうなんて誘ってくれたのかはよくわからなかったがとても嬉しくて心を踊らせた。


 彼女は僕と真逆の存在でとても尊敬している。とっても明るくて、優しくて、素直で、僕なんかにはもったいないと思うような人。


 お人好しで、困っている人を見るといて持ったてもいられない。そんな人だ。


 そんな彼女とまた遊べるなんて心から嬉しいと思う。後で神様に感謝しておこう。


「うん、いいよ。」


「ほんと?やった~!断られたらどうしようかと思ったよ~」


 彼女はすごく喜んでくれた。スカした返事をしてしまったことを少し後悔するくらいに。


 彼女が張り切った声で次々と話す。


「たのしみ~!いつにする?来週?それとも明日?予定空いてる日は?」

「いつでも空いてるからいつでもいいよ」


「いつでも空いてるってちょっと悲しくない?笑笑」


 彼女がいたずらな声で冗談交じりに言った。


「まったくひどいなあ、とりあえずいつかは君に任せるよ。」


 少し悔しくてなにか言い返そうと思ったが僕の優しさに免じてそれはやめておいてあげた。


 彼女が少し考えてから口を開く。


「ん~じゃあ明日で!」


 別にいつでもいいと入ったがそんなにすぐに行くとは思っていなかったので少し驚いた。


「明日?はやいね、別にいいけど。」


「だって待ちきれないし~笑」


 彼女がニヒヒっと笑いながら言う。彼女が僕の反応を面白がるように。


 僕はその笑いの混じった声にずっと変わっていないんだなと少し安心した。


「それってからかってる?笑」


 僕も少し照れくさそうに反応しておく。


「だって反応が可愛いから笑、とりあえず明日の四時に私の家集合で!」


 彼女はそう言ってすぐに電話を切った。まったく自分勝手だなぁと少し呆れつつも今まで通りの彼女だと特に気にせず黙々と準備を始めた。


 明日のことに想像を膨らませていると更に気分が上がってくる。


 その日の夜は楽しみでなかなか寝付くことができなかった。まるで遠足の前日の小学生みたいだなと少し可笑しくなって布団の中で一人クスッと笑った。


 そうしているといつの間にか寝ていたらしくアラームの音で目が冷めた。


 大きく伸びをしながら布団から起き上がり、今日の約束を頭の片隅で考えながらいつも通り朝の支度をした。


 その後学校につき授業が終わり、昼ご飯の時間になると彼女は僕の教室にきて他の人を気にせずライオンのような大きな声で言う。


「春樹くんいる~?」


 彼女の馬鹿みたいにでかい声に周りは少し静かになった。そんなに大きい声を出さなくても聞こえるのにと思いつつ、周りの視線を感じながら彼女のいる廊下へと向かった。


「そんなに大きい声を出さなくても聞こえてるよ。どうしたの?」


「お昼ごはん食べよ!」


 彼女のその言葉に言いたいことが何個かあったが特に何も言わなかった。ただ僕の中で雲一つなく思っていることはただ嬉しいということだけだった。


「良いよ、それじゃあ食堂に行こうか」


 そう返事をすると彼女は気分良いのか鼻歌を歌いながら頭を振っていた。そんな楽しそうな彼女を見ながら僕はこんな彼女の姿を僕はいつまで見られるんだろうかとぼんやり考えていた。


 彼女と少し話しながら歩いているとすぐに食堂に付いた。


「何食べるのー?私ハンバーグ!」


 彼女が弾ける笑顔で僕に目を向ける。彼女の眩しい笑顔で目がおかしくなってしまいそうだ。


「僕は無難にカレーかな」


「カレーもたしかに良いね!やっぱり私もカレーにする!」


 彼女はこんなに人に流されるタイプだったかと少し疑問に思ったが、それさておきまずはカレーを注文することにした。


 カレーはすぐに出てきた。湯気が出ていてスパイシーな香りが僕達の鼻を刺激し、食欲を掻き立てた。


「うわ~美味しそ~!」


 彼女が満面の笑みでカレーに目を向けている。


「いただきま~す!」


 彼女が大きな声で言うと僕も小声でいただきますと言って僕達は会話をすることも忘れて黙々と食べ、そして同じタイミングで完食した。


 僕が彼女の方に目を向けると、彼女も僕に顔を向けた。そうすると彼女が呟いた。


「カレーすぐになくなっちゃったぁ。無限にカレーが食べればいいのに」


 そんなしょうもないことを考えていたのかと可笑しく思いながら、そうだねと適当な返事をしておいた。


 そしてお腹がある程度満たされた僕達は各々の教室へ戻っていく。


 第一話 完

中学3年生。恋愛小説を書く。

明るすぎる君に僕は目を細めた連載スタートしました!

ぜひ次の話も見てくれると嬉しいです。

感想、レビューお待ちしています!

描写全てにこだわって書いているのでじっくり読んでいただけると嬉しいです。

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