5
ドガッッッッッッッッ
「?!」
急に何かを抉るような爆音に、カリーナは目を見開いた。
……恐らく中庭からだ。
迷わずに駆け出す。何かがあってからは遅い。
・
・
「なんだ、あれ…っ?!」
分厚い結界に小さな穴が開いている。
と、何か黒いものが穴を通って空から降ってきた。
ドゴッッ
そして地面に埋まった。
「………?
こ、これは害のある物…?なのか?」
恐る恐る近づくと、それは小さなコウモリだった。
落ちた衝撃からか所々擦りむけて痛そうだ。
「とりあえず手当て…」
触ろうと手を伸ばすと、羽で思い切り払われる。
動けたのか。とりあえず大丈夫そうだ。
空を見上げると、もう結界は元に戻っており、何事もなかったかのように涼やかだ。
「何ぼーっと上見てるんですか」
「?!」
突然の声に驚いて振り向く。
そこには、金髪に翡翠の目をした美青年が立っていた。
・
・
「だから王宮に戻ってきてくださいって言ってるじゃないですか!」
「嫌だ俺は絶対に戻らない!」
この幼稚なやり取りが続けられて、かれこれ15分が経過した。
あれから様子を見にきた陛下に美青年は目をつり上げて怒り出し、この押し問答を続けている。
とりあえず害は無さそうだと判断し、私は陛下を見捨てて自分の部屋へと戻った。
「ダイス様が戻ってこないと国家が不安定なんです!」
「そのくらいで不安定になる国家なんて潰れてしまえ!」
「ダイス様!!!」
「…………まだやってたんですか、」
なんと夕食時にまで続けられていたらしい。
なんだこいつら。仲良しかよ。
「2人とも話し合いはそこまでにしてご飯食べてください。冷めちゃいますよ」
そう言うと、2人は渋々食事に手をつけ始めた。
そのとき、何故か美青年にきつく睨まれる。
…なんだ?
どうやら、この美青年は陛下だけでなく私のことも気に食わないらしい。