出現! ケンタウロス!
μ's復活と虹が咲の本格的始動でラブライブが滅茶苦茶熱い!
村から少し離れた草原にそれはいた。
下半身は馬のようだがまるで丸太のように太い四本の脚が目を引く。上半身は俺達と同じ人間に近い体になっている。
顔は馬と人間を足して割ったように前後に長い。
右手にはニメートル程の長い槍を握っている。
いた魔物はケンタウロス。高い知性と馬の持つ強烈な脚力と走力が脅威の魔物だ。
「みんな!?」
ケンタウロスの周りには村の男達が傷だらけになって一面に横たわっていた。
腕を抑えて蹲る男や。切り傷を受け、血だらけになって意識を失っている男。
「こいつ……今までの魔物よりも……強い」
「お前達が弱すぎるだけだ」
ケンタウロスはやけにダンディな声を発すと足元にいたアフロヘアの男の胸を踏み、そして蹴り上げる。
まるで蹴鞠のようだ。酷く軽い力で宙を舞い、地面に落下すると二、三回跳ねる。
俺は咄嗟に男の傍に駆け寄り、呼吸があるか確認する。
荒くはあるが確かに呼吸はしている。取り敢えず、最悪の事態は避けられてと安心する。
ふと、踏まれた胸に目をやる。朝、畑で見た足跡と同じ跡が押されていた。
「まだ生き残りがいたか」
俺に気づいたケンタウロスはニヤリと笑う。
「どうして魔物がここにいる! デスペラードは侵攻しないと言ってた!」
俺は背負った剣を取り出し、刃先をケンタウロスに向ける。
すると、何を言ってるんだとケンタウロスは馬鹿にしたような下品な笑い声を上げる。
「なら、お前は王に死ねと言われて死ぬのか?」
確かにいくら自分より上の存在だとしても死ねと言われて本当に死ぬのは相当上の存在の理想に賛同しているものか洗脳された信者だけだ。
おそらく、ケンタウロスは理想に賛同している様子も心酔している様子もない。だから、村を襲ったのは己の意志だろう。
「そうか。ということはお前はお前の意思でここにいると言うのか」
「ご名答。貧弱な人間は我々魔物に支配されるべきだ」
「させるわけないだろ!」
ケンタウロスは人間を見下している。そんな奴が人間を支配すれば必ず奴隷に近い扱い方をして、人々を苦しませる。
今まで戦ってきた魔物の中でも典型的な人間差別主義者で魔物至上主義者だ。
生かしておいても世界の癌でしか、ろくな事にならない。
俺は剣を振りかざし、ケンタウロスに飛びかかる。
「俺に勝てると思うとは愚か者が!」
人間如きでは適うはずないと嘲笑いながらケンタウロスは俺に槍を突こうとする。
俺は槍を剣で弾くと顔面に蹴りを浴びせる。
ケンタウロスは一歩後退り、左手で顔を抑える
「残念だけど俺は一度世界を救ってる。舐めると舌切るぜ」
「そうか。お前がトーカという奴か! 面白い! お前を倒せば俺は魔王になれるってか!」
「そんなに世界は甘くないぜ!」
俺の肩書を聞いたケンタウロスは体に響くほどの大きな笑い声を上げる。
俺は再び、剣を構える。同時にケンタウロスも槍を構える。先程まで構えていなかった事を考慮すると奴は本気を出すだろう。
力を失ってから始めての戦いに俺の額から多量の汗が流れ、妙な息苦しさを感じるのであった。