若き英雄の決意
どーも。
牙狼 魔戒戦記を見ていて、閃光騎士狼怒のかっこよさに惚れた島下遊姫です
CGだけなんて勿体ないから、スーツを作って欲しい……
「ほう。まさか、本当に儂の元に来るとは」
俺は剣を背負い、ノブトモの元へと向かった。
深い森の中心で地面に座りながらも、まるで大仏のようにどっしりと構えるノブトモは俺とは比べ物にならならい程の迫力がある。
当然のように現れた俺を見て、ノブトモはまるでツチノコでも見つけたかのように驚く。
「あんたから誘ってきておいて、そんな驚くなよ」
すると、ノブトモは「すまない」と謝る。
しかし、ケラケラと笑いながらの謝罪で、全くと言ってもいいほど誠意を感じられない。
それもそうか。ノブトモは俺を完全に下に見ているからだ。
「ギルドでは儂に言いように扱われ、その相手に教えを乞うと言われて、素直に受け止めるか。貴様は忠犬か? 強者に尻尾振ることしかできない弱者か」
散々に馬鹿にしてから、ノブトモは俺を睨む。
まるで鬼のように鋭く、恐ろしい睨みにあいつの実力とカリスマ性を痛感する。
「俺は男だ。プライドだってあるさ」
「なら、男らしく己を貫け!」
「プライドを守ったところで、仲間を……世界を守れなかったら意味がない!」
「……ほう」
俺の言葉にノブトモの目が変わる。
興味津々であり、次、どんな奇想天外な事をしてくれるかと待ち遠しいと言わんばかりの目。
「悪いけど俺は今まで強かった! あんたなんか、蟻を踏むくらい簡単でこの世界で誰よりもだ! 誰かに頼る必要も、教えを乞う必要もないくらい、最強だった!」
己を最強と豪語する俺を見て、普通なら馬鹿にしたように笑うのが当然。
だが、ノブトモは眉一つ動かず、何かを見定めるように注文し続けている。
「でも、最強だった俺はこの世界にいない。いや、元々そうじゃなかった。与えられただけの力を実力を勘違いしていただけ。力を失った俺には燃えカスくらいしか残ってなかった」
「……そうか」
「だからこそ、俺は強くなる! 俺の本当の力を手に入れて、今度こそ、俺の力で……」
「世界を救う……か」
今から俺が吐くべき台詞を盗み見たかのようにノブトモが先に言った。
「全く、この世界を救った英雄とは思えない台詞だな」
「俺を知っているのか?」
「当然だとも。名前はよく間違えられるかもしれないが、その存在はこの世界の人々に深く刻み込まれている」
すると、ノブトモは徐に立ち上がる。
「初めて見た時、驚いた。世界を救った英雄とはどんな厳つい風貌をしているかと思えば、まだ成人にも満たない未熟な子供で、弱い」
「悪かったな」
「だが、理解はできる。貴様が世界を救えた理由が。世界の為なら己を押し殺す。そして、英雄の肩書を鼻にかけず、成長を求める若さ故の溌剌さと貪欲さ。その心は子供とは思えない程、成熟している」
俺は世界を救う旅の中で、逃げ出したくなる程の苦しい戦闘や悲しい別れを繰り返してきた。
荒波に揉まれて、無理矢理鍛えられた心は自分で言うのもあれだけど、同年代に比べてメンタルは滅茶苦茶強いと思っている。
「面白いなぁ、人生は。まさか、この儂が英雄の師匠になれるとはな!」
ノブトモは森全体に響くような高笑いを上げる。
その笑い声に恐れたのか、木に留まっていた鳥達が一斉に飛び立った。




