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契約

どーも。

新入社員研修が7泊8日ということに戦慄し、体の震えか止まらない島下遊姫です。

きっと洗脳されるんだろうな……

 カンラの中心街に立つギルドに俺はいた。

 ギルド内には多数の冒険者達でごった返していた。


「はい、こちらの依頼を承りました」


 俺はカウンターに立つ、受付嬢に今回のゴートル討伐戦に参加することを伝えるとビジネス感溢れる笑みを浮かべる。


「こちらの依頼に関して、一つだけ注意事項があります。今回の報酬は討伐したチーム一つに全ての報酬が支払われることになります」


「なるほど。了解した」


 俺は眉を顰める。

 一抹の不安を覚える。報酬を一チームに支払われるとなると、恐らく報酬を目当てにゴートルだけでなく、他チームとも争う輩も現れるだろう。


「なぁ、兄ちゃん」


「あんたもゴートル討伐作戦に参加するのか?」 


 すると、背後から恰幅のいい男とゴリラのような男二人組が俺の肩を叩いてくる。


「おいおい、いくら何でも展開が早すぎる……」


 案の定、俺の予想は的中してしまう。

 ただ、戦場で争うよりも番外で蹴落とすほうがまだ犠牲は少ない。

 だからと言って、見過ごすわけにはいかない。


「悪いことは言わねぇ。引き返しな。そんな軟なあんたじゃ、プチッと潰されるだけだぜ」


「へぇ、つまりはあんたらの中では俺達がゴートルを討伐するのは決定事項といわけだ」


「何言ってんだ!」


「さしずめ、ライバルを減らす為にこんな陰湿な事をしているんだろ? 他のチームに報酬を取られたくないから。その時点であんたらは負けることを察しているんだ。だから、既に報酬を獲られると考えてるからな」


 敢えて、神経を逆撫でするように煽る。すると、単細胞な男達は簡単に怒り、ゴリラのような男は胸倉を掴んでくる。


「ガキが!」


 そして、ゴリラのような男は拳を振るってくる。

 俺はその拳を片手で受け止め、残った拳をゴリラのような男の腹に打ち込む。

 男はあまりの衝撃で俺を掴む手を離し、腹を抑えて、その場で蹲る。


「お前、やる気か!」


 恰幅のいい男は拳をコキコキと鳴らす。

 そんな男の前で俺はギルド内にいる全員に


「実力行使した後だから信用しないと思うけれど、俺は争うつもりはない。今回の魔物は一筋縄ではいかない。作戦に参加する全チームが力を合わせなきゃ全滅だ」


 と言う。


「そうかもしれんなぁ」


 すると、椅子に座っていた武者鎧の男がゆっくりと立ち上がり、俺の前に迫る。

 ガタイも然ることながら身長も高く、俺は見上げなくてはその男の顔を視認することはできなかった。


「あんたは?」


「儂はノブモト。お主と同じ、ゴートル討伐戦に参加する者だ」


 白髪に無精髭を生やした男……ノブモトは余裕のある表情を浮かべ、俺の目をじっと見つめている。

 まるで、瞳の奥にある何かを見抜こうとしているかのように。


「お主と言うことは間違ってはいない。時にゴートルは『動く山』と形容される存在。たかが人間一人では風の前のチリに等しい」


「なら!」


「しかし、集団で戦い、討伐した場合の報酬はどうなる? 諦めろと? 残念な事に我々は慈善団体ではなく、報酬や利益を求めて戦う傭兵だ」


 ノブモトの言ってることは何一つ間違ってはいない。

 それなら、どうするべきか?

 この世の中、自分の思い通りになることばかりではない。もし、思い通りに動かしたいのなら、それ相応の対価やリスクを払うしかない。

 それが契約というものだ。

 悪い、レイカとメアリー。今回の報酬は雀の涙になりそうだ。


「なら、どうだ? 俺達のチームがゴートルを討伐したら、報酬を山分けってのは?」

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