アドソン村
二次選考で疲れたので短めです
畑仕事を終え、俺達は村へと戻った。
俺達の村ーーアドソン村は標高八百メートルのアドソン山の麓にある小さな村だ。木造の一軒家が疎らに並んでいる。
この村は大きな特徴は山から流れる雪解け水を利用した農業が盛んで、兎に角野菜が美味しい。
村の人口は116人。その内成人前(十七歳未満)の子供が三割近く住んでいる。
「二人ともおかえりなさい。丁度、アップルパイが焼き上がったところなの。良かったら食べていって頂戴」
「本当! マリアさんのアップルパイ大好き」
村に帰るとエプロン姿のマリアさんが優しく出迎えてくれた。
腰まで伸びる茶色のストレートの髪。ハリのある赤い唇にいい感じに垂れた目。服の上から確認できる大きな胸。それでもって優しいマリアさん名前通り、聖母のような人だ。
マリアさんの焼いたアップルパイは至高の一品だ。舌の肥えた国王に献上しても十中八九気に入るだろう。
サクサクのパイ生地と甘いリンゴは奇跡のハーモニーを奏でる。
僕は勿論大好物だが、それ以上にレイカの方が好きだ。死ぬ前に何でも食べられるとするなら絶対にマリアさんの焼いたアップルパイを食べたいと断言するほど。
そんなレイカは隣で兎のように跳ねて、喜んでいる。
「待ってたぜトーカ!」
これからマリアさんの家に行き、アップルパイをご馳走をしてもらおうとした時、マリアさんの背後からふらついた足取りの小太りの中年の男がこちらに向かってきている。
昼間っからあんな足取りをする人間はあいつしかない。
「この後、呑みに行こうぜ! みんなお前の武勇伝が肴に呑みたくて、待ってんだ!」
「カマロー……酒臭っ!」
俺はカマローを蹴っ飛ばす。カマローはこの村唯一の酒蔵を持つ男だ。
元々は都会の大きな酒蔵でお酒を作っていたらしいが、この村に流れる雪解け水で世界で一番旨いお酒を作りたいという夢を叶える為にこの村に移り住んできたらしい。
今は頬を赤く染め、一回りも年下の俺にダル絡みしているカマローはダメ人間にしか見えないだろう。
しかし、お酒に関しては誰よりも厳しく、そして拘っている。
だから、カマローの酒を欲しがる人も多く、海を超えて遠路遥々、訪ねてくる人も少なくない。
職人としては尊敬できる人だ。しかし、試飲という名目で昼間からお酒を呑んでは俺に絡んでくる。正直、鬱陶しく、俺が絶対になりたくない大人ランキングにカマローはランクインしている。
就活生が毎日投稿しようとすると切りどころがめちゃくちゃ悪いです
だが、私は謝らない。