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宿にて

どうも

オススメの映画を欲しい島下遊姫です

「なかなか広い宿だ」


 俺達は謎の商人の提案をのむことで何とかこの街での拠点を確保することに成功した。

 そして、俺達はその宿に案内され、宿の中をぐるりと見回している。

 宿と言ってもホテルや旅館みたいな立派なものじゃなくてどちらかというと民宿みたいな質素で生活感が感じられる。

 それでも三人で過ごすには十分と言える広さがある。


「キッチンは解放しますから好きに使ってください」


「ありがとう! えーと……」


「申し遅れました。私はサラルド。以後お見知りおきを」


 そう言うとサラルドはフードを外し、ゆっくりと頭を下げる。

 その老人のような口調からは想像できないような若々しい顔立ちと宝石のような綺麗に輝く釣り目の緑眼。深い海のような青い髪。

 多分、その怪しげな雰囲気と口調を直せば、どんな女性からも持てるだろうポテンシャルを持つ原石のような男だ。

 現にレイカもメアリーもサラルドのカッコよさに見惚れている。

 どうしてそんな美顔を持ち合わせていながらフードで顔を隠しているのだろうと心の疑問に思うほど。


「そうか。俺達は……」


「トーカ。レイカ。メアリーですよね。既に知っておりますので。それよりもトーカ。少し話をしたいのですが」


 何故か俺達の名を知っているサラルドは奥にある個室を指さし、俺に手招きをする。

 サラルドの神妙な顔つきにこちらまでも変な緊張感を持たされる。

 俺は二人に適当に夜食を作ってくれないかと頼み、サラルドが招く小部屋に足を踏み入れる。

 部屋には窓と中心に置かれた小さな木製の丸テーブルとそのテーブルを挟むように置かれた椅子が二つあるだけ。

 サラルドは奥にある椅子に座り、俺は手前の椅子に座る。


「さて、本題にと言いたいことがあるのですがあなた方に一つお詫びをしなければなりません」


 落ち着いたところで話が始まるといった中、サラルドは懐から白い宝玉を取り出し、机に置く。

 そして、サラルドは宝玉を人差し指で触れると宙にこの街の地図らしきものが映し出される。そして、俺達が今いる場所に二つの赤い点が点滅している。

 この点が何に反応しているのかがすぐに理解できた。


「あの知力の宝玉ってやつか?」


「ご名答。これであなた達の位置はこれで把握していました」


「なるほど、ご加護ってそういうことだったのか」


「いえ、ご加護が別にあるのは本当です。だが、半分は騙したのは確かです」


「なぁ、お前はどうして俺達に執着する?」


 一つ、疑問が浮かんだ。

 どうしてこいつは俺達に執着するのか?

 そんなに信用に値する材料があの僅かな時間であったと言うのか。


「それは……世界を救ったあなたですから。そして、商人としての勘が訴えてきたのですよ。あなた達なら命を預けてもいいと」


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