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ツキが嘲笑う夜

どうも

ギャグを混ぜたいのですが、私自身が陰キャでつまらない人間のおかげで全くギャグが思いつかない島下遊姫

 怪しく輝く半月に照らさせるのは昼間にあった謎の宝石商人。

 ピエロのようなどこか狂気という影がかかる笑みを浮かべる奴に一抹の恐怖を抱く。


「何の用だ?」


「ただ、あなたがたが宿をお探しのようと聞いて。よろしければ私が今買い取った宿があるのですが……」


「か、買い取った!?」


 俺達の想像の遥か上を行くスケールの話を投げられ、思わず声が大きくなる。


「と、泊めてくれるの!」


 レイカが藁にも縋るような様子で問いかけると奴は黙って首を縦に振る。


「それならぜひ泊めてくれないか。それで料金は……」


「いいえ。お代は頂かなくても結構です」


「本当に!」


 世間知らずなメアリーはタダで泊めてくれると聞いて、奴がいい人だと思っているようで早く行きましょうと俺とレイカの袖を引っ張る。

 俺は困ったと頭を掻く。


「それで条件は?」


「え?」


「こいつが本当にタダで商売するような人間に見えるか?」


 前の世界でもこの世界でも美味しい話には確実な裏がある。

 以前の旅でもタダで泊めてくれると言ってくれた老人の厚意に甘えたことがあったが、その晩のことだ。何やら漁るような音で目が覚めると、その老人が俺の荷物から金品を盗もうとしていたことがあった。

 その時は老人に呆れて、適当に少量の金と金になる物を投げつけ、家を後にした。

 あの時は金品程度で済んだが、相手によっては命を取られることだってありえないことではない。

 特に奴のような如何にも商人気質な相手なら尚更裏があるはずだ。


「やはり、あなたは信用できる」


 奴は裏があることを看過されて、バツの悪そうな顔を浮かべるどころか今まで見たことないような年相応の笑みを浮かべる。

 そして奴はポケットから一枚の紙を俺達に見せつける。

 その紙は先程宿で見せられた依頼の紙だった。


「この魔物を……倒して欲しいのです」


 冗談だろと薄ら笑みを浮かべ、奴を見る。

 俺とは対照的に奴の表情は真剣そのものであった。

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