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行き当たりばったり

どうも

第五人格というゲームを再開して、ハンターのキャラパがサバイバーに比べて低すぎではないかと不満を漏らす島下遊姫です


 怪しげな商人から逃げるように去った後、俺達は市場で旅に必要な物を適当に買い、今日の活動を終えることにした。

 そして、宿を取ろうと街の中心にある大きな宿屋を訪ねた。

 しかし、問題はここで起きた。


「え!? 満室だって!?」


「申し訳ございません。ここ最近、多数の冒険者様達がこの街に来ていて……」


 宿のフロントに立つ二十代前半の赤毛の看板娘は深々と頭を下げる。

 確かにと俺は頭を掻きながら、宿の中をぐるりと見回す。

 この前来た時は両手で数えられる程度しかいなかったお客が今は手が八つくらいないと足りないくらいだ。明らかに人が多いのはわかる。

 ただ、それにしても多すぎる気がする。


「それにしても何でこんなに人が多いんだ?」


「実は……」


 そう言うと看板娘は一枚の紙を差し出してくる。


「そういうことか……」


 紙を見て、満室の理由に納得する。

 その紙はこの街のギルドが発行している物でそこには「街周辺に現れた魔物の討伐求む」と書かれていた。

 魔物情報もいくつか書かれていたが、何より目を引くのが報酬だ。その額は破格の金貨三十枚。魔物討伐で金貨が報酬になることは滅多にない。仮になったとしてもそれは非常に高い危険度の依頼として国や軍が請け負うことが殆どだ。

 しかし、今回はなぜか国や軍が請け負うことなく、民間に流れてきた。

 当然、命を落とすリスクがある依頼なのは誰もが周知していることだろう。それでも一攫千金を夢見る者や、人生の崖っぷちに立たされている者にとっては命をかけてでもやるべき依頼だろう。そんな者達が世界中からこの街に集まってきたのだろう。


「わかった。それなら仕方ないことだ。今日はお暇させてもらうよ」


 ここで駄々をこねても、文句を言っても部屋が空くことは決してない。

 仕事の邪魔に泊まれなよう、俺は足早に宿から出ていく。


「トーカ、どうだった?」


 宿から出ると荷物を足元に置いて待っていたレイカとメアリーが俺を見つめていた。

 なんか事実を告げるのが心苦しい。しかし、嘘を吐くメリットは全くない。


「いや、ダメだった」


「どうしましょう。他の宿を探さないと……」


 メアリーに顔に不安の色が染まる。


「そうだな……。ただ始めに言っておく。野宿になる可能性も……あるからな」


 しかし、今から宿を探しても果たして空いているかどうかだ。俺達と同じような状態の冒険者達がいるはず。

 そいつらに先を越されているかもしれない。

 さらに宿を見つけたしてもそれがまともな宿である保証がない。就寝中に荷物を盗まれたり、法外な値段を要求されたり、レイカとメアリーにとある被害を被る可能性も捨てられない。


「その心配はしなくていいと思いますが」


「お前は昼間の!」


 暗雲立ち込めたその時、俺達の前に昼間の怪しげな商人が再び現れた。



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