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数奇な出会い

どうも

夏コミが始まりましたね。

僕は炎天下の中での待機が嫌なのとなんか臭そうなので行きません

 メアリーは憧れの街にいることに浮かれ、一人で先へ行く。俺とレイカはその後を早歩きでついていく。

 やがて、レイカはたくさんの人がごった返す商店街の中へと入っていく。


「そこのお嬢さん、見かけない顔ですね」


「ほへ?」


 メアリーは傍らから何者かに声をかけられ、立ち止まって、その声が聞こえた方向……左側を向く。


「メアリー?」


 止まってくれたおかげでやっとメアリーに追いつくことができた俺達はメアリーに声をかけた奴の面を拝む。

 バスタオル程の大きさの布を自分の前に置き、その上に様々な種類の宝石が置かれている。

 その老人のようなゆっくりでどこか達観した口調とは合わない若い風貌の男。俺の元いた世界で言う中東に住む人達が着ているようなベージュの服を羽織っている。多分、俺と大して変わらない年齢だろう。しかし、同い年とは思えない凄味が言葉の節々から伝わってくる。

 俺はキッと男を睨む。


「おやおや。これまた美しいお姉様ですね」


「う、美しいなんて! そんな!」


 男に整った容姿を褒められ、レイカは嬉しそうににやける。


「そんなあなた方にこの宝石はどうでしょか? 今ならお安くしますよ!」


 すると、男は布の上に置かれた柔らかな綿に包まれた白い六角形の石を掴むと、メアリーとレイカに見せつける。

 真っ白にくすんでいるもののそれでもなお美しく輝くそれに女性の二人は目を奪われる。


「お安くって?」


「大体……金貨三枚」


「三枚!?」


 レイカとメアリーの奪われた目が同時に見開く。

 この世界での金貨は相当な価値を持つ。銅貨が銀貨の十倍の価値があるのなら金貨は銀貨の十倍の価値がある。

 庶民では滅多にお目にかかれない数字だろう。


「驚くの無理はありませんね。しかし、相場では……五枚くらいの物ですから」


「こんなの銀貨五枚の間違いじゃないか?」


「え?」


「これはアマクサ国の水晶石。確かに純度の高い物なら金貨十枚……いや三十枚なんて安すぎる。百枚でもおかしくない。だが……」


 俺は水晶を親指と人差し指で軽く摘まんで、太陽にかざす。

 大した変化は見られない。一つ溜息を吐く。


「純度の高い水晶石は太陽の光を当てると輝く。しかし、これはあんまり輝かない。後はわかるな」


 アマクサ国の水晶はそれはとても美しい石として世界的に有名だ。特に太陽の光というより紫外線に当てると輝くという唯一無二の特徴が人気の一つ。一度、純度の高い水晶を見たことがあるがあの輝きはまるで蛍のようだった。

 しかし、この水晶は多少輝くものの、感動するほどではない。


「あなた……いい目をしている。こんな水晶よりも澄んでいて、輝いている」


「何、いい話にしようとしてんだ。人のことを騙そうとしていた野郎が」


「別に法外な価格というものではないですから」


「こいつ……」


 俺は苦虫を嚙み潰したような顔を浮かべる。

 実のところを言うと、アマクサの水晶は例え、純度の低いものでもその希少性からかなり高値で取引されることが多い。

 正直、この水晶も法外な価格かと言えばそれは違う。適正な価格より少し高いと思うほど。

 寧ろ、時期や相場を考慮すれば適正な価格にもなり得る。

 妙に頭が回り、周りをよく見る奴だと思う。ただ者ではないと判断し、より警戒を強める。


「納得していないようですね。それならお詫びと言っては何ですが……」


 俺の険しい顔を見ても、

一つも顔を壊さず、涼んだような表情を浮かべ続ける男は傍らに置いてあった茶色の木箱を取り出す。

 そして、蓋を開き、中に入っている宝を見せつける。


「これは!?」


「知力の宝玉という物です。これを身につけていると『ご加護』といものがあるそうです」


「凄く……綺麗……です」


 ビー玉程度の大きさに虹色に輝く丸い石。

 その美しさもさることながら、どこか神秘さや魔性を感じるその不思議な石に俺達は固唾を飲んで、魅入ってしまう。


「曰くつきの物じゃないよな」


「あなたの目にはどう映っているのですか?」


「……タダなら貰っておいても損はないか」


 いちいち癇に障る言い回しをする男にイラっとする。

 見た感じ、この石からは邪悪な気配というものは感じられない。寧ろ、心が洗われるような神聖な気配を感じるくらいだ。

 俺はそっと宝玉を手に取ると、ポケットにしまう。


「毎度ね」


「……行くぞ。ここにはもう用はない」


「ちょっと! トーカ!」


 いよいよ、奴が薄気味悪く見えてきて背中に悪寒が走る。

 もう関わりたくないという一心から、二人よりも早く男の前から立ち去る。


「ふふふ……どうせ、近い内にまた会えるでしょうが」


 背後から男の意味深な言葉が聞こえた無視する。

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