襲撃
どうも
頭痛持ちの為、雨の日になると体調が悪くなって執筆スピードがさらに遅くなる島下遊姫です
俺は花畑の中を匍匐前進で進んでいる。なるべく花を倒さないように慎重に進む。
やがて所定の位置……村の入り口の直前のところまで着くと息を殺す。
反対側の花畑を確認する。花に紛れてレイカがいた。
準備は万端。後はメアリーの合図を待つだけだ。
「お前! 逃げ出した餓鬼じゃないか!」
「おめおめと戻ってきやがって!」
やがて、花畑の中に唯一伸びる道を黄色の花束を抱え、布で口と鼻を覆ったメアリーが恐る恐る歩いてきた。
メアリーを発見したオーガ達は恐ろしい表情で徐に迫る。
メアリーは顔は酷く引きつっている。花束を抱く力も心なしか強くなっている気がする。
しかし、逃げたりはせずきっとした前を見る。
「ご、ごめんなさい! お詫びにこの花を受け取ってくれませんか」
メアリーは思い切り頭を下げて、オーガ達に花束を差し出す。
「花なんか何の価値もねぇよ!」
突然、花を差し出され困惑するオーガ達。
知性が低い分、物事の美しさなどがわからないのだ。だから、花束なんて貰っても嬉しくも何ともない。寧ろ、使えないゴミを渡されるようなもので今すぐ逆上してもおかしくない。
「だが、いい匂いがするな」
「本当だ。なんか……心地良く……」
美しさは知らない代わりに五感だけは鋭いオーガ達は花束から漂う香りにうっとりとする。
オーガ達が香りに酔いしれた瞬間、メアリーはパッと花束を手離す。
花束はゆっくりと地面に落ちると俺はバッタのように花畑から飛び出る。
そのまま、気づかれないままオーガ二人組の背後に立ち、首に恐ろしく速い手刀を当てて、気絶させると、オーガ達はドサリと地面に倒れる。
「今の音は何だ!?」
「貴様! こいつらに何をした!」
倒れた音を聞きつけたら四体の見張りのオーガが駆けつけてくる。
俺は咄嗟に剣を取り出し、内二体のオーガを斬りつける。
「ぎゃっ!」
「ぐへぇ!」
「貴様! 敵か!」
「ごもっとも!」
残りのオーガは棍棒を振り上げ、敵討ちと言わんばかりの勢いで襲ってくる。
しかし、俺の背後から飛んできた矢が刺さり、オーガ達の足が止まる。
「今度は……ぐっ!」
「私もいることを忘れないでね」
俺の背後には弓を構えたレイカがいた。
「ナイスサポート」とレイカを褒めると俺は剣を一体のオーガの首に当てる。
「命までは取りたくない。おとなしくお縄についてもらおうか」
「ち、畜生!!」
オーガは悔しそうに歯を食いしばると手に持った棍棒を遠くに投げ捨てる。
ここのオーガは先程殺めた個体とは違ってプライドよりも命を優先する奴だった。




