旅立ちの朝
どうも
エクバ2,プラモデル、遊戯王、ラブライブと金のかかる趣味を持ちながらさらにバトスピにも手を出し始めた愚か者。島下遊姫です
月光龍ストライクジークヴルムかっこええよな
「レイカ!? その恰好は」
「何よ? 変な恰好とでも言いたいの?」
「そ、そんなことはないけど……」
それだけならまだいい。
いつものレイカはワンピースを好んで着ている。でも、今のレイカは生脚を大胆に出した黒いショートパンツに綺麗なヘソを出した青いシャツ。シャツの上には茶色のマントを羽織り、背中にはリュックを背負っている。
まるでこれから冒険にでも行くかのような恰好に一抹の不安が過る。
するとレイカは俺の目の前まで確かな足取りで歩くと
「私も一緒に行くから!」
とはっきりと言った。
不安は的中した。俺は驚きのあまり声を荒げてしまう。
「な、何言ってんだ!? 遊びに行くんじゃないんだぞ! 命を懸けて戦いに行くんだ!」
「私だって多少の魔法は使えるわ!」
「そういう問題じゃ!」
「問題って何よ! 私が女だから? 守られるべき存在だから? そう思ってるならあなたは最低よ!」
レイカの言葉が俺の心に刺さる。
俺にとってレイカは守るべき存在だ。レイカが傷付く姿も悲しみ、苦しむ姿も見たくない。
だから、俺は戦うのだ。ずっと笑顔で欲しいから。でも、レイカにとってそれは余計なお世話どころか毒でしかなかった。
多分、対等でなかったことにレイカは雷に打たれたようなショックを受けたのかもかられない。
「今の私には力がある。トーカ程強くはないけど……。でも、力があるのに戦わないなんて意味がない! わかるでしょ?」
レイカの真っ直ぐな瞳が刺さる。
何も言い返せなかった。まさに俺も魔物と戦える力があるという理由で旅立とうとしている。
「それに……今のトーカは昔と比べて弱いって断言できる。その……不安じゃないの?」
レイカは端整な顔を覗き込み、得意気な笑みを浮かべる。
投了だ。受け入れるしかなかった。信じるしかなかった。
「……一つだけ言っておくことがある」
息を深く吸って覚悟をきめる。
「絶対に死なないでくれ」
「当たり前よ! トーカこそ、死んだら殺すから」
「矛盾してるじゃん」
「それくらい怒るってことよ」
俺達は互いに真剣な表情で向き合う。いつもは柔らかく世間話くらいしかしないから真剣な表情があまり見慣れてない。
不慣れな状況とレイカがどこかおかしく感じて、俺は思わず吹き出してしまう。
レイカも同じタイミングで吹き出している。
「よし。レイカ……行くか」
「うん!」
張り詰めた空気から一転して緩んだ。
そろそろ出発しようと声をかけるとレイカは後ろを振り返り、じっとこちら見守っている村長に元気よく、
「お父さん。行ってくるね!」
と言う。
「あぁ」
村長はどこか寂しそうに、でも嬉しそうな表情を浮かべていた。
最愛の一人娘が自分の元から離れる。赤子の頃からずっと一緒に過ごしてきて、傍らにレイカがいるのが当たり前だった日常が終わるのだ。寂しいに決まっている。
でも、レイカが一人で旅に出ることを決意して親元から離れる。大人への階段を一段ずつ登っていく姿は確かに感慨深く、この上なく嬉しいことなんだろう。
「トーカ!」
そんな村長が俺に何かを伝えようとする時は一転して、般若のような険しい表情を浮かべる。
「娘に何かあったら例え地の果て追ってでも殺すからな」
「そりゃあ……仕方ないな」
大事な娘が傷つき、最悪亡くなったりでもすれば傍らにいる俺を憎んでも仕方がない。
しかし、殺すって表現がレイカと全く同じで笑える。子は親に似るのは当たり前か。
「夜が……明けたか」
ふと暖かな光を感じ、俺は前を向く。
地平線から眩しい太陽が上り、世界を照らしていた。
「よし。世界を救いに行くか!」
「えぇ!」
俺とレイカは光に向かって歩き出す。
力を持つ者として、世界を救うために。
再び、世界を巡る冒険に身を投じるのであった。




