光の一閃
Aqours5thlive、最高だった
あの虹は生涯忘れることはない……
「戯言を! 人間は魔物に支配されればよいのだ!」
剣を構えると空から大地から蛍のような柔らかい光が漂う。
これは命の光。この世界には動物な植物、人間と魔物などありとあらゆる生命から発せられる生命エネルギーが可視化されると光の玉となる。
光の一閃はその命の光を刃に宿して、斬る必殺技だ。
「光が……剣に吸い寄せられる!?」
地面に倒れる村人達、レイカは剣を見て、驚く。
光の一つ一つが剣に宿り、刃が黄金に輝く。宿る光が多くなる度に輝きは増す。
「コケオドシダ!」
ケンタウロスは必殺技を甘く見ているのか。それともこの溜めの隙を突くためかはたまた両方かわからないが、全速力で突撃してくる。
しかし、時既に遅し。命の光は十分剣に宿っている。
「ハァァァァ……」
剣を真上に構え、深く息を吐いて瞑想する。
この技を使う時は熱くなってはいけない。如何に冷静になり、集中できるかで精度が段違いなのだ。
そして、ケンタウロスが目の前まで迫った時。縦一線に光の軌跡を描きながら剣を振り下ろす。
「これが光の一閃って奴だ」
斬られた直後、ケンタウロスの上半身は大きく後ろに仰け反る。斬られた傷口からは光り、そこから多量の血が吹き出る。
「オレガ……キラレタ!?」
必殺技を受けたケンタウロスは白目を剥いて地面にドサリと倒れる。
「や、やった! 魔物を倒したぞ!」
「早く止めを!」
ケンタウロスが倒され、今まで傍観することしかできなかった村人達はまるで自分達で倒したかのように歓喜する。
一方の俺は昂る心を抑え、倒れるケンタウロスを凝視する。
「俺は魔物だろうと無益な殺生は好まない。心機一転、人間との共存を望むのなら今回だけは見逃そう」
村人達の目が丸くなる。魔物は人間の敵。それを見逃そうなんて村人達には理解できない思想だろう。
するとケンタウロスはゆっくりと立ち上がり、俺を睨む。
その目には激しい怒りと殺気が溢れるほど満ちていた。
「甘いんだよ! だから俺達が目覚めたんだろうが!」
ケンタウロスは絶叫と共に拳を振り下ろす。
まともに食らえば俺の頭はトマトのように潰れるだろう。それでも俺は避けることはしない。
「そうか。残念だ」
何故なら俺の勝ちが確定しているからだ。
「ぐっあぁぁぁ!」
ケンタウロスは拳を止めるや、咄嗟に光る傷口を抑える。
光の一閃。それはただの斬撃ではない。光は相手の心の闇や影、悪の心などの「黒」を浄化する。しかし、浄化仕切れないほどの「黒」が完治すると光は活性化し、相手の体を体内から吹き飛ばす。
「この俺が! 人間にぃ!」
傷口を掻き毟り、醜い断末魔を上げながらケンタウロスさ爆発し、塵となって跡形もなく消える。
「終わっ……たか……」
ケンタウロスを下したことで戦いが終わった。
俺が勝ったことで村の皆を、レイカを救えたことにほっと安堵する。
安心し、気が緩んだ瞬間。今まで溜まって疲労とダメージが一気に襲いかかる。
体が鉛のように重くなって、気が遠のいていくとゆっくりと傾いていく。
「トーカ!」
倒れる間際にレイカが俺を抱きかかえてくれる。
レイカの柔らかさと女性特有の甘い匂いを感じた瞬間、俺の意識は完全に闇に落ちた。




