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逆襲

明日はAqoursのライブなので投稿しません



 力が漲る。心の炎に油が注がれたように熱を帯び、燃え上がる。


 今の俺には絶対的自信があった。大地にしっかりと根を張る樹齢千年の大樹のように揺るぎがなく、硬い自信が。 


 今の俺は誰にも負けない。


「行くぜ!」


 俺は馬にも劣らない脚力で地面を蹴り、走り出す。世界記録を余裕に越す程の勢いで跳び、そのままケンタウロスの顔面に硬く握った拳を頬にねじ込ませる。


「うぉらぁつ!」


「ぐげぇ!」


 今の俺のパンチ力はボクサー以上。それもヘビー級チャンピオンが放つストレート以上に重い一撃であり、流石のケンタウロスでも蹌踉めく。


「よくもやったな!」


 ケンタウロスは口から流れる血を拭い、やり返しと言わんばかりに俺に拳を振るう。


 俺はバッタのように高く跳び、悠々と避ける。そして、空中で体を上手く回転させる。


「竜巻!烈風脚!」


 回転で勢いのついた蹴りは岩をも砕く威力。


 そんな蹴りをケンタウロスは左肩にもろにくらった。


 悲鳴を上げ、左肩を抑えながら地面に叩きつけられるケンタウロス。恐らく今ので左肩は粉砕骨折し、動かすことは不可能だろう。


 この隙を逃すのは三流だ。俺は右手を大地につけ、茶色と緑が混じった魔法陣を展開する。


「大地よ謳え!」


 魔法陣はケンタウロスの真下に移動して、発光する。すると地面から木が尋常ではない程の速度で成長し、倒れるケンタウロスに絡みつく。


「貴様ァ! もう許さん!」  


 木に巻き付かれ、ケンタウロスは全く身動きが取れなくなったと安心した矢先だ。


 ケンタウロスの体から赤いオーラが発せられる。そして、そのオーラは閃光弾のように眩い光を放つ。


 俺は思わず目を閉じる。


「キサマ……コロス! ゼッタイコロス!」


 目を開けると目の前には木片と灰が散乱していた。


 そして、五メートル近くに大きくなり、筋肉はさらに引き締まり、凶暴化を示す赤い瞳のケンタウロスがまるで悪魔のように俺を睨んでいた。


 魔力を持ち、感情を持つ存在が怒りや憎しみなどの負の感情がトリガーとなって魔力が制御しきれなくなった時、暴走する。


 人間おろか、魔物ですら暴走した存在を止めることは至難の技。


「コナゴナニィ!!」


 ケンタウロスは丸太のように太い腕を俺に向け、振り下ろす。


 俺は咄嗟にマジックフィールドを展開して防ごうとする。しかし、ケンタウロスの力が強すぎる上に俺の力がまだ完全ではないこともあってマジックフィールドは割れてしまう。


「割れたか……」


 マジックフィールドの欠片がキラキラと輝いては粒子となって消える。


 そんなくだらないことに気を持っていかれている間にケンタウロスの蹴りが俺のみぞおちにクリーンヒットする。


「くっ!」


 まるでサッカーボールのように蹴られた俺は地面をゴロゴロと転がる。


 視界がホワイトアウトしかける。

 気を失いそうになるほどのダメージを受け、俺の体は限界を迎えていた。


「体から力が抜けて……いく……」


「ドウシタ! モウヘバッタカ!」


 立ち上がろうとしても先程のようにスッと立ち上がれない。それどころが脚が思うように動かず、立つことですらやっとのことだ。


 それに力が漲り具合も先程までに比べて勢いがない感じがする。


「どうやらその通りらしい」


 元々、酷いダメージを受けていた為、体が動かなくなっても何の問題もない。寧ろ、全力以上に動いているほうがおかし。


「もう、長期戦は無理みたいだな」


 足元に何か硬い物がぶつかり、ふと目をやる。

 そこには先程ケンタウロスに弾かれた剣が落ちていた。


「だから、次の一撃で終わらせる」


 俺は剣を持ち上げ、構える。


 もしまだチートの力が使えるのならばあの「必殺技」が使える可能性がある。


 全てを悪と闇を光の斬撃「光の一閃」が。


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