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曲がり角の向こうに君が居てくれた  作者: 湖灯


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水族館⑩

 タオルで拭いた顔を上げると同じようにずぶ濡れになって顔を拭いていた山岡沙希から目が赤いと言われたので、海水が目に入ったから赤くなったのだろうと嘯く。


 そう言った山岡沙希本人の目もまた赤かくなっていた。


 しかし俊介から水が掛かるとは聞いていたが、まさかここまで水浸しになるとは思わなかった。


 イルカに頭から水を翔られ少し冷静になって考えると、みんなに相談なしに道連れにしてすまないと思う。


「もー!ずぶ濡れじゃない!」


 鈴木麻衣子に強い口調で非難された。


 横を見ると本田はTシャツの上に羽織っていた上着を脱いで絞っている。


「でも、わたしは未体験ゾーンを経験できた快感は味わえたと思うよ。濡れたのは正直やばいけどね!」


 赤い目の山岡沙希が少し睨むような表情をして鼻にかかった声で言って笑うと、さっきまで機嫌の悪かった鈴木麻衣子も


「まあ・直ぐ近くでイルカを見られた代償かな」


 と笑ってくれた。


 あらためて鈴木麻衣子の顔を見ると、その目が赤くない事に気がついた。


 本田のほうを見ると、彼の目も赤くない。


 涙が出たことを隠すために海水が目に入ったからだと適当な事を言っわけだが、実際に海で泳いだときに目は赤くなっただろうか?


 そう考えると、山岡沙希の目が赤い事と、彼女の鼻にかかった声が妙に気になった。



「ほらほら!いつまでもここで通行人の邪魔をしないで、海辺の更衣室に行くよ!」



 森村直美が移動を促した。


 気がつけばイルカショーが終わって大勢の観客が会場から出てきて、そのうち半分くらいの人達はずぶ濡れの俺たちを見ながら会場を出ていた。

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