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曲がり角の向こうに君が居てくれた  作者: 湖灯


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軽蔑していた感情⑫

”阿久津俊介は秋月穂香と付き合っている”


 その憶測が浮かんだ時、俺の心は醜いドブの中に沈みかける。


 憶測・猜疑心・嫉妬・妬み、これらの軽蔑する感情に打ち勝つためにここに来たのだ。


 己を確り持たなくてはと思い直し、俊介に秋月穂香といつから付き合っているのか聞いてみた。


 その言葉は、今まで思い悩んでいたことが嘘のように簡単な言葉だった。


「俊介って、穂香さんと付き合っているの?」


 その問いに対して俊介は驚いた顔を見せていたが、まともに挨拶をしたのも初めてなら、会話を交わしたことも今回が初めてだと答える。


 俊介の答えに、俺のほうが一方的ではあるが、はるかに進んでいるという優越感が心を軽くさせて、もう少し核心を突いてやろうという意地悪な気持ちも芽生えて深いところを聞いてみた。


”精神的な意識はどうなのか”と。


 この質問には、俊介の心の奥に隠された変化を認めることができた。


 それは故意なのか、それとも本能なのか分からないが、考えている振りをしながら時間を稼ぎ誤魔化そうとしている。


 日頃、どこかしら心の奥の方を旨く隠して人に曝け出さない俊介にしては珍しい動揺が見て取れた。


 それで、俊介の中で秋月穂香が特別なものとなっていることが分かった。


 正直、自分で質問しておきながら、今のような反応をされることが一番堪えた。


 いつも通りの飄々とした態度が欲しかったのに。

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