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あの子と文庫本⑤
さっそく俺は学校の図書室に走った。
同じクラスの図書委員に管理用パソコンを見せてもらい、秋月穂香の借りた本を調べた。
我ながらキモイストーカーだと思ったけれど、もう居ても立っても居られない。
まあ、恋の始まりというやつは概ねこんなものだろう。
図書室のパソコンには誰がいつ、どの本を借りたか履歴が残っている。
出てきた秋月穂香の履歴は、僅か一ケ月あまりの期間なのに、俺が今迄の人生で読んだ小説の数を軽く超えていた。
そして今日俺は、秋月穂香の借りた本を一冊借りた。
秋月穂香の読んだ本を”読みたい!”。
それからは履歴に上がっていた本を虱潰しに借りて読み漁った。