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あの子と文庫本②
そこには教室の真ん中で、おそろしく透明感のある美少女が座って本を読んでいた。
真新しい黒のブレザーもスカートも、
そしてブラウスからリボン、
黒のハイソックスそれに、
長い髪をポニーテールに纏めるための水色のシュシュまでもが、
まるでこの女子のためにデザイナーが製作してスタイリストが丁寧に着せたようにしか見えない。
全校生徒が同じ購買で買ったはずのダサい制服が、この子が着ることによってデザインはおろか生地までも違っているように感じた。
「誰?」
俺は、その女子から目が離せないまま福井に聞いた。
「秋月穂香。なんでも長野から中三のときに転校して来たらしいぜ」
キャシャな体つき
色白の肌
大きな瞳
長いまつげ
艶やかな長い髪をポニーテールに纏めている姿は、まるでテレビか映画の学園ものに出てくるヒロインそのもの。
ひと目見た瞬間に俺は恋におちた。