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あの子と文庫本⑩

 お互いに「ごめん」と言い、そのタイミングは、不意に手を掴んでしまった俺と、本を踏みそうになった彼女とがまったく同時だった。


「ごめん」


 手を掴んでしまった事に対してもう一度謝ると、彼女は特に気にしていない様子で本を拾うために中腰になっている俺を上から見ていた。


 俺が構わずに落とした本を拾いはじめると、彼女も気がついて拾うのを手伝ってくれた。


 落ちた本に付いた砂を丁寧に払ってくれていた彼女が、二冊目の本を手にとったとき一瞬手が止まって表紙を眺めたことに気がついた。


「本好きなの?」


 と声を掛ける。


「う、うん」


「体育系なのに本を読むなんて珍しいね」


 なんか適当に変な事を言った気がした。彼女はぶっきらぼうに


「別に移動のときに暇つぶしに読むでしょ」


 と、それに答える。


「そう」


 それ以上話は続かなかい雰囲気だったが、俺は何だか彼女と話をしたくなって反応なんてお構いなしに話しかけた。


「バスケ上手いよね」


「まあ」


「あれだけ上手かったら、強豪高から誘いがあったんじゃない?」


「関係ないでしょ。そんなこと」


 確かに関係ない。

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