第四話 『うんこ』の次には『???』が来た
いつの間にか、ブックマーク、評価いただいた方が増えていましたので、もう少し更新してみます。
ありがとうございました。
役場のおじさんが帰るとすぐに、俺は作業を再開する。
実に簡単なお仕事だ。
14:00から19:00まで、作業予定、ギルドから役場まで5分、荷車の貸し出し10分、作業場所へ移動15分、1回目の作業10分、役場へ移動15分、荷物の積み下ろし5分、再び作業場所へ移動15分。
ここまで75分しかかかっていない。今は15:15だ。
移動と作業を45分で繰り返すことが可能なので、あと4回は繰り返せそうだ。
糞尿を荷車1杯で8000ギルだから、あと32000ギル、最初にもらった分を加えると今日一日で40000ギルももらえることになる。
安い宿屋に素泊まりで2000ギルくらいだから、これはかなりの稼ぎだろうと、俺は捕らぬ狸の皮算用をしながら、作業を進めていく。
徐々に作業場所が通りの入り口から奥の方へ移動していくので、繰り返すうちに移動時間が少し余分にかかるかも知れない。ちょと急ぐとしよう。
俺は黙々と作業をこなし、役場と西の裏通りを往復する。
そして夕方5時過ぎ。4回目の糞が荷車にいっぱいになったときにそれは起こった。
突然脳内にアナウンス……
「スキル『うんこ』がレベルアップしました。
スキル『うんこ』はレベル1からレベル2になります。
これに伴い、スキル『うんこ』は『しっこ』も同様に扱えるようになります。
スキル『うんこ操作』がレベルアップしました。
スキル『うんこ操作』はレベル0からレベル1になります」
このタイミングで、『うんこ』スキルがレベルアップし、『しっこ』まで範疇に入ったようだ。
糞だけでも大概なのに、この上、小便まで……
神は一体、俺に何をさせようと言うのか……
折しも、夕日が通りの先へと沈もうとしており、辺りは赤く赤く、幻想的なまでに色付いている。
表通りの喧騒が嘘のように、狭い裏通りは静寂に包まれており、その夕日が一層美しく見える。
こんなにも理不尽な状態にもかかわらず、何故に夕日はあんなにも美しいのか……
「赤い夕日の…………
ばっかやろーーーーーーーー!!!!」
俺は思わず夕日に向かって絶叫していた。
俺が正気を取り戻したのはそれから10分後のことだった。
まずい。
急がなければアリーとの集合時間のこともある。
頑張ってもう一往復はして稼いでおくべきだ。
俺は気を取り直して、レベルアップした『うんこ操作』の確認をする。
スキル『うんこ操作』:スキル保持者の周囲にあるうんこを自由に動かすことが出来る。
レベルとともに操作できるうんこまでの距離が増える。
レベル1では周囲2メートルのうんこを操れる。
スキル『うんこ』のレベルアップに伴い、『しっこ』も操作できる。
なんと、うんこを操れる距離が伸びた上に、しっこまで操作できるようになっていた。
これなら、もっと道幅の広い道路も簡単に馬糞集めできる。
どうしようもないと思われたスキル『うんこ』だったが、こと道路清掃には最適のスキルではなかろうか。
俺は希望も新たに、残りの馬糞を集めるべくスキルを発動する。
すると、これまでとは違い、糞だけではなく、石畳の隙間に入り込んでいた汚れも一緒に荷車へ移動するではないか。
これはいったい……
俺はしばらく考え込みながら移動する。
そして、荷車がいっぱいになったときにその答えを得た。
汚れの正体は『しっこ』だ。
馬や牛は排泄の際、糞だけではなく尿も垂れ流すことがある。
尿は石畳の隙間に入り込み、土の中で分解されるのだが、綺麗に分解されるまでは悪手の原因になるし、尿石などが汚れの原因ともなる。
しかしこれらは、液体であり、石畳の隙間に入り込んでいることから、普通は分解にまかせている。
量としては蒸発しているため少量だが、悪臭の原因にもなる厄介者だ。
それが進化したスキルによって回収された。
4回目に俺が回収を終えた道は、幾分空気がさわやかになっているように感じる。
荷車はほぼいっぱいだが、まだ少しなら入る。
俺は役場へ向かう帰り道、一方通行の裏通りをもう一周して3回目までに集めた場所にもスキルをもう一度発動する。
最初のときは集めることが出来なかった悪臭の元が次々と荷車に集まり、西の裏通りはかつてないほど清浄な空間に変わった。
「時刻は17時半か。
あと一回は今日中にいけそうだな」
俺は、誰とはなしに呟くと役場に向かって荷車を走らせた。
6話までプロット考えました。
そこまで更新してみます。