第三十五話 決戦! 魔王城
みなさん、お久しぶりです。
約、1か月かけてようやく1話分書けました。
よろしくお願いします。
「魔王城内の皆さん。
お約束の30分が経過しましたので、これより攻撃に移ります。
敵対意志のない方は既に退避したと判断します」
俺は拡声の魔方陣で眼下の魔王城に向かって呼びかけるとゆっくりとうんこ雲の高度を落としていく。
魔王城の周りには一つ目のギガンテスや巨大ゴーレムなど、飛行能力のない魔物が何体も出てきており、こちらに向けて射殺さんばかりの視線を投げかけている。
しかし、上空から迫るうんこ雲に乗る俺達にとって、飛行能力のないこいつらはただの的にしか過ぎない。
「うがーーー」
「グゴーグゴゴ」
不快なうめきが聞こえ、下から投石を開始した魔物に向けて、俺は三度うんこドリルをお見舞いする。
次の瞬間には、魔物達は絶命していた。
もはや俺の不壊うんこに敵う魔物はいないのだ。
うんこ雲を魔王城前に着陸させると、魔王城の中から骸骨の戦士がたくさんわき出してくる。
こいつらは手に手に槍や剣を持っているが、うんこ化の射程に入ったとたん、武器を残してうんことなる。
「このまま、城内に突入しましょう」
俺の言葉にパーティーメンバーが頷く。
俺達はうんこドリルによって半壊した城門をくぐり、城の入り口に向けて歩き出す。
「コーター殿。
城内には魔物の他に多数の罠もあると聞きます。
ここは慎重に進みましょう」
ブラウンさんの注意に、俺は今将に城内へと踏み出そうとしていた一歩を止めて立ち止まる。
「罠があるのか……
面倒だな……」
俺はすこし考えたが、ここは危険を冒して魔王城内の迷宮にも似た牢屋を進む必要がないことに気がつく。
「それならこうしましょう。
スキルうんこ化発動」
俺は他のみんなにも状況が分かるように敢えて使用スキル名を叫び、射程限界まで魔王城をうんこ化する。
あっという間に俺から220メートル以内の魔王城はうんことなって崩れ落ちる。
これで城のエントランスから中央付近までは全てうんことなった。
もちろん罠も魔物もうんこになった。
城は俺のスキルの範囲外にあった部分も、支えが消えたところは崩落し始める。
「なっ、なんと……」
「すさまじい……」
元勇者パーティーの皆さんは絶句している。
するとそのとき、残っていた城の上部から、立派な黒い翼と大きな角を頭からはやした二足歩行の魔物が飛び出してきた。
「おのれ!
人間どもめ。
分けのわからん魔法で我が城をこのような姿にしおって!
ゆるさん、ゆるさんぞ!!!
貴様らは我らの餌になっていればよいのだ!!!!」
どうやら魔王本人と思われる魔物が何か叫びながらこちらに突っ込んでくる。
しかし、俺から220メートルの範囲に到達したとたん、その魔物は茶色いうんことなって地面へ墜落した。
「へっ???」
「これで終わりなのか??」
「何ともあっけないものじゃのう……」
ブラウンさんたちがあきれるとともに気を許した瞬間、うんことなって墜落したはずの魔王から火炎魔法が飛んできた。
俺は一瞬で炎にうんこ化をかける。
魔王の炎はおれたちにとどく直前にうんことなって墜落した。
それにしても魔王はうんこになっても生きていると言うことなのだろうか。
そんなことを考えていると、うんこ化して墜落したはずの魔王が元の姿で地上に立っていた。
「フハハハハっ
我がその程度の攻撃で倒れるとでも思っていたのか、愚かな人間どもよ」
地上の魔王が笑い声を上げる。
「我が魔王スキルは分身と再生を可能とする。
分身した我はどちらかが生き残っていれば瞬時にもう片方を再生できるのだ。
貴様のスキルの射程は見極めた。
いくら一方を倒しても、我は何度でも蘇るのだ」
上空の壊れかけた魔王城から同じ声が聞こえてきて、なんか丁寧に説明してくれている。
まあ、自慢したいのだろうが、それは悪手だ。
こちらが対策を考えるチャンスをもらったことに他ならない。
「要は二体同時に倒せばいいんだな」
俺は呟くと二体の魔王にうんこ化を発動しようとした。
しかし、一体は射程外ぎりぎりのところでこちらに近寄ってこず、もう一体は高速で俺の視界から死角へと移動し、スキルの影響を回避しようとする。
その移動スピードはすさまじく、流石、魔王を名乗るだけのことはある。
しかし、攻撃のために接近してきたところでうんこ化のスキルを喰らわせることができた。
たちまちうんこと化して崩れ落ちる魔王だったが、すぐにうんこ状態からの再生が始まる。
射程外にいるもう一体を同時に倒さなければ本当に再生するようだ。
「ここはワシの魔法の出番じゃな。
そいつの再生が終わる前にもう一体を消し炭に変えてやろう」
ウルグルさんはそう言うと素早く詠唱し、巨大な青白い火球をうんこ化スキルの射程外で待機している魔王へとぶつける。
一瞬、魔王は炎に包まれる。しかしながらその炎は魔王を焼くことなく、すぐに鎮火した。
「フハハハハ
無駄だ無駄だ
この俺様の魔王スキルのレベル以下の攻撃は全て効かぬわ!
注意すべきはそのうんこ野郎だけだ」
魔王は高笑いしながら俺を睨む。
このとき俺は射程外の魔王に気を取られていた。
その瞬間、俺の目の前にアリーが飛び出した。
「危ない!コーター!!」
ガギンッ
金属と金属が激しくぶつかる音がした。
再生を終えた射程内の魔王が魔剣で斬りかかってきていたのだ。
一瞬早く魔王の動きに気がついたアリーは長尺の刺身包丁で俺に向けて放たれた魔王の一撃を受け止めたのだ。
いや、正確には止め切れていない。
高速で接近しながら放たれた魔王の一撃に、アリーはそのまま体ごと持って行かれ後方へ飛ばされる。
「アリー、大丈夫か!」
「くっ、流石魔王の一撃ね。
止めきれないわ」
後ろに飛ばされながら冷静に状況を言葉にしている様子から、アリーは大丈夫そうだと安心する。
「ふははは
まずはこの小娘から消滅させてくれる。
魔剣魔力斬を喰らえ」
魔王はアリーを追いかけながらスキルによる攻撃を発動しようとする。
まずい。アリーがピンチだ。
「させるか!
うんこ化を喰らえ!!」
俺は再度うんこ化を発動しようとするが、射程外のもう一体からレーザー光線のような魔法攻撃が飛んできてスキルの発動に集中できない。
「ふはははは
我が二体いることを忘れてもらっては困るな」
連続して怪光線を放ちながらもう一体の魔王も高笑いする。
「ダメだ。
間に合わない!
アリー躱せ!!!」
俺はアリーに向けて叫ぶが、空中を飛ばされているアリーに方向転換のすべはない。
アリーがやられる。
俺の焦りはピークに達するが、そのときアリーの目がやけに落ち着いていることに気がつく。
「たぶん大丈夫よ、コーター」
そう言うとアリーは、魔王の一撃に自らの包丁の一撃をあわせた。
パキン……
金属が折れたような音が響く。
「スキル、二枚下ろし」
アリーのつぶやきと同時に魔王の魔剣と魔王自身が真っ二つに両断された。
そう、俺とともに行動し、食材採集やスライム料理でレベルアップしていたアリーの料理スキルも、レベル10に達しているのだ。
当然、魔王のレベルを上回るアリーのスキルも魔王に通ることになる。
「まだまだよ!
スキル、ゲテモノ料理! 活け作りバージョン!!」
上下に両断されて信じられないという表情で崩れかけていた魔王に対し、アリーは更にスキルを重ねて発動する。
アリーの刺身包丁が目に見えないほどの高速でひらめき、魔王はゲテモノ料理『魔王の活け作り』へと変貌を遂げた。
「バッ……、バカな……
なぜあの女の攻撃も我が半身へと通る……?」
遠くでもう一体の魔王が呟いている。
「いまよ!コーター」
アリーの言葉を待つことなく、俺はもう一体の射程外の魔王に向けてかけだしている。
「スキルうんこ化!」
もう一体の自分がアリーの手で刺身にされたことに呆然としていた残りの魔王の半身は、あまりのことに俺との距離を掴み損ねていた。
「しまったーーー!」
それが魔王の最後の言葉だった。
本編は次回で最終話の予定ですが、リアルの仕事に追われて書く時間がいつとれるかわかりません。
申し訳ありませんが、次回更新はしばらくお待ちください。