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第三十三話 ギルドにて


 俺達がギルドに帰り着くと、ルーアナ達三人組はまだギルドでなにやら相談していた。

「おや、アニキ、まだいらしたんですか?」

「早くいかねえと、勇者達が来ちまいますぜ」

「俺達男はともかく、姐さんは危険ですぜ」


 三人は心配してくれるが、もはやそれは杞憂なのだ。

「ああ、そのことだが、もう片づいた。

 今からライバーさんに報告するよ」


「まさか、アニキ、あの極悪勇者に勝ったんですかい?」


 驚く三人を尻目に、俺はブラウンさん達を伴って受付に行き、ライバーさんへの面会を希望する。


 対応してくれた受付職員はすぐにギルドマスター室へ俺達を案内してくれた。




「そうか……

 あの極悪勇者は討伐されたか」

 ライバーさんはまるで魔物のように勇者のことを言うが、実物を見た俺達には納得の表現だ。


「はい。

 つきましては残った勇者パーティーの方からギルドマスターにお話があるそうです」

 俺はブラウンさん達をライバーさんに紹介する。




「わかった。

 コーターのスキルが唯一魔王を倒せる可能性があると言うことだな。

 コーター、この指名依頼、受けるか?」

「もちろんそのつもりで三人をここへ案内しました」

 俺は頷きながらライバーさんの問いかけに応える。


「分かった。

 ギルドとして正式に受け付けよう。

 報酬は勇者が受け取るはずだった金額全部と言うことでいいんだな」

「ええ、問題ありません。

 我々には別のところから報酬が出ますので、勇者の報酬を全額お渡しできます」

 ブラウンさんの返答に頷きながら、ライバーさんは席を立つ。


「分かった。それでは事の顛末をみんなに報告するとしよう」

 そう言うとライバーさんはギルドの一階へ向かった。




「みんな、聞いてくれ。

 極悪勇者は滅んだ」

 受付と酒場の中間に仁王立ちとなったライバーさんが大声で叫ぶ。


「…………」

「「「「「うをーーーーー!」」」」」


 辺りは一瞬の静寂の後、歓声に包まれた。


「極悪勇者を討伐したのは、我らの誇りコーターだ」


「すげーーーー」

「流石アニキだ!!!」

「よくやってくれたーーーー」


 ライバーさんの言葉に、周りのみんなは口々に俺を讃えてくれる。


「ついては、コーターはこれから勇者の代わりに魔王を討伐することになった」


「さすがだ、アニキ」

「アニキなら魔王も軽いぜ」

「ううう、アニキの舎弟になってよかった」

 ルーアナ、イーゲ、モホーの三人組は涙ぐんでこちらを見つめる。


「ほら、コーター、何か言ってやれ」

 ライバーさんに言われて一歩前に出たが、正直何を言っていいか分からない。


 周囲は俺の方に注目し、さっきまでの完成が嘘のように静まりかえる。


 ダメだ、言葉が思い浮かばない。


 くっ、ランバーさん、恨みます。


 俺が振り返って、ライバーさんの方を見ると、ライバーさんは顎をしゃくって俺の発言を促す。


 ううっ、もう仕方ない。目立つのは嫌いなのに……

 もうこうなれば、やけくそだ。


「みなさん、頑張ります……」

 俺は何とか一言だけ言うと後ろに下がった。


「はははっ、コーターらしいな」

「頑張れよ!」

「アニキ、俺達はアニキを信じています」


 いまいち決まらなかった俺の言葉にも、周囲は好意的だった。







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