第一四話 うんこスキルで戦えるか?
本日2回目の更新となります。
本話には、排泄に関する表現があり、人によっては不快に感じ津ことがあると思われます。
ご注意ください。
考えろ、コーター。
ここで奴らの言う通りにするという選択肢はない。
金はともかく、アリーに手を出させるわけにはいかない。
しかし、その場合こいつらをどうにかしないといけない。
と言うことは戦うにしろ逃げるにしろ、俺の唯一の武器であるうんこが必要だ。
俺は辺りを見回すが、悪いことに袋小路になっているこの道は、馬車の通行がないのか操作できるうんこはない。
「おい、何をきょろきょろしているんだ。
逃げようとしても無駄だからな。
俺らは全員剣術の上級スキルもちだ。
レベルも3から4はある。
駆け出しのお前達じゃ逆立ちしても相手にならない」
ちっ、全員戦闘系でベテランの領域か。
もっともレベル3や4で威張っているが、レベルだけなら俺のスキル『うんこ』はレベル5だ。
いや、やめよう。いくらレベルが達人級の5でも、それが『うんこ』の達人では使い道がない。
くそっ、うんこさえあれば……
こいつらの目玉にうんこをぶつけてその隙に逃げることができるのに……
どこかにうんこはないか……
今の俺のスキル『うんこ操作』はレベル4で5メートル以内のうんこなら操作できる。
どこかにないのか……、うんこ……
こんなにも狂おしくうんこを探したことはない。
しかし、いつもは掃いて捨てるほど見かける道ばたのうんこが、こんな時に限って全く見つからない。
どうする。
コーター……
今の俺にはアリーの命運もかかっている……
うんこ、うんこ、うんこ……
考え続ける俺の脳内に、突如、神のごときひらめきが稲妻のごとく駆け抜ける。
そうだ。ないなら作ればいい。
うんこはそもそもどうやってできる。
簡単だ動物が排泄することによってできる。
動物、動物、動物……
そうか……、人間も動物……、俺も動物だ……
俺がするか……
いや、男達の前と言うだけならまだしも、アリーの前ではやれない。
そんなことをすれば、アリーになんと思われるか……
しかし、このままではアリーが危ない。
では他の誰かにしてもらうか。
アリーは……
ダメだ。アリーに「うんこして」なんて絶対に言えない。
仮に言ってしまったら、二人の中は確実に破綻する。
どうする。コーター……、どうする……
「おい、いい加減にしろ。
俺達はお前をぼこぼこにして金を奪ってもいいんだぞ」
男達がしびれを切らして叫ぶ。
んっ?!
男達??!!!
いるじゃないか。
この場でうんこをしてもらっても、俺もアリーも困らない人達が。
俺は、このひらめきを信じる。そしてこれにかける。
早速うんこ操作を発動し、男達の大腸内にあるうんこを強制的に出口の方へ移動させる。
とたんに男達の俺を掴む力が弱まった。
アリーもあれっという表情をしている。
おそらく、アリーを掴んでいる男の力も弱くなったのだろう。
それにしても、うんこの移動がなかなか進まない。
もしかして、こいつらそろいもそろって便秘か?
ならば……
新スキル『うんこ変化』だ。
早速奴らのうんこを『やわらかいうんこ』に変えてやる。
効果はてきめんだった。
俺を掴んでいた二人は俺から手を離し、腹を押さえてその場にうずくまる。
「おい、お前ら、どうしたんだ」
アリーを掴んでいた男は、俺の『うんこ変化』の射程1メートルに入っていなかったのだが、仲間二人が俺の横でうずくまったのを見て、アリーを離し俺の方へ寄ってくる。
そして、「うんこ変化」の射程1メートルに入ったとたん、3人目の男も腹を押さえてうずくまった。
「ぐっ、これは……」
「ダメだ……、一週間ぶりの大物が、こんな時に出てきそうだ」
「何だ、お前らもか。俺もだ。
だが、これは……
こんなところで出すわけにはいかん……」
どうやら三人とも排便の欲求に抗っているようだ。
早くうんこをしてしまえ。
そうすればお前らのうんこでお前らを目つぶしして、俺はアリーと逃げる。
……んっ? ……待てよ。
既にこいつら無力化できていないか……
俺は俺の足下にうずくまる大の男三人に目をやる。
三人ともしゃがみ込んで肛門を押さえており、身動きは取れないようだ。
「アリー、こっちだ」
俺は、アリーを手招きする。
「コーター……。
これ、貴方のスキル?」
アリーの質問に俺は頷く。
「ぐっ、もうダメだ。俺はここでするぞ」
そう言うと男の一人が袋小路の路地の最奥へ走り、ものすごい勢いでズボンを下ろす。
「させるか!」
俺はこいつらを簡単に解放してやるつもりはない。
俺達を脅した報いはきっちり受けてもらおう。
離れたとは言え、俺のうんこ操作の射程内、5メートル以内だ。
俺は、男が移動しようとした瞬間に、その男のうんこを『硬いうんこ』へ変化させておいた。
ズボンを脱いで気張る男だが、直腸と大腸下部を満たしているうんこはいずれも硬いうんこに変化しており、簡単には出てこない。
そこに更に追い打ちをかけるように、うんこ操作でうんこを逆流させる。
「ぐももっ」
しゃがみ込んで気張っていた男が変な声を上げた。
「くそっ、俺も限界だ」「俺もだ」
俺の足下に残っていた二人も最初の男の横に移動しズボンを下げるが、最初の男と同様の目に会ってもらう。
硬いうんこと化した奴らの腸内のブツをうんこ操作で逆方向へ押し込む。
「ぐあっ」「ぐうううっ、この感触は……」
うんこを逆流させた男達はいずれも情けない声を上げる。
「「「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、はあ……、はぁ……」」」
操作したうんこが直腸から大腸にもどると、いずれも便意が遠のいたのか、男達は乱れた呼吸を整え始める。
「まだだ……
まだ終わらせんよ!」
俺は再び男達のうんこを操作し、出口へ向かって移動させる。
最初の時よりスムーズに動いているようだ。
「ぐあっ」「ぎぐぐっ」「げはっ、出る」
後一歩で出てくると言うところから、再び大腸の奥へ移動させる。
おっ、さっきより簡単に動くぞ。
「げぐ」「うぴょっ」「ひょあーー」
男達の情けない声が路地に響く。
この調子だ。
俺は男達の直腸と大腸の間で硬いうんこの移動を繰り返した。
徐々に移動はスムーズになり……、速度を上げるうんこの往復運動……
男達の表情は徐々に見たこともないような緩んだ情けないものになっている。
目には涙を溜め、ウルウルしている。
「コーター、そろそろ可哀想になってきたんだけど……」
男達が弱っていく様子に、被害者であるアリーが同情し始める。
「わかった。そろそろ解放してやるよ」
俺はスキルの使用を中断する。
ブリッ………
(放送自粛)
「ふああぁぁ」「うひょぉぉぉ」「ひうぅぅぅぅ」
俺がスキルの使用を中断したその瞬間。
路地には決して彼女と二人では聞きたくない音が鳴り響き、男達は情けない声を発するとその場にへたりこんだ。
そこには、たったいま自分たちが生産したナニがあるのだが、奴らには関係ないようだ。
俺は、へたりこむ男達に声をかける。
「おい、お前ら。
自分のものは自分で始末して行けよ」
「待て、いや、待ってくれ……」
リーダーらしき男から声がかかる。
「なんだ。
まだやるというのか」
今の俺には男達が生産したブツがある。
いざとなれば自分のうんこで目つぶしされてもらおう。
俺はあくまでも強気だ。
「いや、違う。
あんたの名前を教えてくれ」
「俺の名はコーターだ。
文句があるならいつでも相手になってやる」
「コーターか……
わかった。覚えておく」
俺とアリーはへたりこむ男達を背に、その場を後にした。
翌日、冒険者ギルドの扉をくぐると、昨日の男達が全員気をつけの姿勢で待っていた。
「「「おはようございます。アニキ」」」
三人が俺に深々と頭を下げ、最敬礼をしながら挨拶する。
「あっ、おはようございますって……
何で俺がアニキなんだ?」
俺の質問に、三人が次々と答える。
「コーターのアニキ。
俺らはアニキのスキルに惚れました」
「いや、惚れたなんて生ぬるい。
俺達はもう、アニキのスキルの虜なんです」
「アニキ、何でも言うことを聞きますから、またいつか昨日のあれをやってください」
最後の男の言葉で全てを理解し、俺とアリーはどん引きする。
どうやら昨日のあれで、俺は三人の男達の開けてはいけない扉を開いてしまったようだ。
「アニキ、俺はルーアナ」「俺はイーゲ」「俺はモホーです」
「「「これから俺達はアニキの下僕です。何でも言いつけてください」」」
「ああ、考えておく……」
俺は適当に返事をすると、ギルドの受付へ本日の薬草採集依頼を受注するために向かう。
すると、そのとき……
脳内アナウンスが鳴り響く。
「一定の条件を満たしましたのでスキル『うんこの下僕』が派生しました。
現在の下僕数は3名、これによってスキル『うんこの下僕』はレベル3となります。
スキル『うんこ』がレベルアップしました。
スキル『うんこ』はレベル5からレベル6になります。
スキル『うんこ操作』がレベルアップしました。
スキル『うんこ操作』はレベル4からレベル5になります。
スキル『うんこ変化』がレベルアップしました。
スキル『うんこ変化』はレベル0からレベル1になります」
どうやら俺はまた、新しいうんこの境地に到達したようだ。
次回更新は未定です。
次の話のプロットはあるのですが、執筆の時間が取れるかどうかが問題です。
更新が遅れた場合はご容赦ください。