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かわのほとりのみ  作者: 所為堂つばき
3/8

ジュソ祓い

 人の辿る人生の道程とは、枝分かれした川の流れに似ている。


 例えば、笹舟を作り川に浮かべてやる。


 すると、手を離れたその瞬間から笹舟の行方を知ることはできない。


 西へ行くのかと思いきや、何かの拍子で東へ行くのかもしれない。

 はたまた途中岸に打ち上げられてしまうかもしれない。

 そろそろ海へ流れ出ただろうかと想像するのは容易いが、川の流れは思う程速くはないのだ。


 肉が軋む耳触りな音と共に、獲物の体から血に濡れた刃を引き抜く時は、いつも思う。


 ここは、わたしのいるここは、一体何処なのだろうと。


 笹舟のように流れている最中なのかと。

 もう、海まで着いてしまったのかと。


 何かきっかけがあって、例えば、誰かが何気なく投じた小石のようなものによって、わたしの進む道は簡単に変わっただろうかと。そう、思うのだ。


 申し訳ありません、母上。


 眼前で苦しみ、のたうち、消えゆく化け物の断末魔を耳に、ゆっくりと瞼を伏せる。


 このような娘をどうかお許し下さい。


  *  *  *


 竹藪を掻き分けながら森の中を進む。

 以前までのキョウは、自分の目の前に邪魔な竹や木々があると迷わず切っていた。だが、わたしがある時、「草木が可哀想だ」と言ったからなのか、「うるさい」だの「黙れ」だのと散々文句を言ってはいたが、その時以来キョウは刀を収めて森を歩くようになった。

 恐らく、キョウは自分で主張する程、冷たい人間ではないのだろう。本人は宿の為、嫌嫌だと言うが、ヒノトやツヅミと戯れている時の表情からは、その口から出る粗暴な言葉とは裏腹に、どこか温和な様子を垣間見ることができるし、小屋の修理を手伝ってくれた時だって、かまわないと言ったわたしに対し本人は、レンさんから言われたことだから仕方なくと漏らしていたが、それでもやはり、それだけの理由ではないような気がする。

 雷華に初めて出会った時の物言いも、本当にジュソの恐ろしさをわかっていたからこそ、不器用なりに雷華をジュソから遠ざけようとした結果なのだろう。

 小屋が直った後も度々、わたしはキョウと行動を共にしていた。

 一人よりも二人の方が危険も少なく、効率が良いからと、半ばわたしが押し切る形でのことであったが、嫌がりこそしたものの、キョウはそこまで頑なには拒絶しなかった。それでも、ジュソを相手にする時は自分一人でという嫌いがあることに変わりはないのだが。

 キョウは強かった。わたしも負けないくらい場数を踏んできてはいるが、そんなわたしから見てもキョウの強さは並々ならぬものがあった。これで成長したジュソを相手にしたのは、つい先日、あの川のほとりでわたしと出会った時の一度だけというのだから驚きだ。  

 それだけでこの男が、これまでどれだけの鍛錬を積んできたのか窺い知ることができる。これでもし、わたしと同じくらい場数を踏んでいたらと想像すると、急に恐ろしく思う。

 初めてキョウと会った折、虚勢を張ってはいたものの、あのまま邪魔が入らなければわたしは本当に真っ二つになっていたのかもしれない。

 雷華はというと、あれ以来すっかり落ち込んで、レンさんの家に籠りっぱなしになっていたが、このままではいけないと気を取り直し、今では自分なりの修行に励んでいるようだ。しかし、いずれまた雷華がジュソに立ち向かう時のことを思うと、不意に複雑な気持ちになる。この島の者の大半には〝家〟というものを持つことを許されていないのだが、  

 家柄もまた、残酷なものだ。

 ふと、空を見上げる。 

 日の光が風に揺れる葉の隙間から、ちらちらと覗いている様子がまるで万華鏡のようで、とても綺麗だなと思った。空の青と葉の深緑。光は白く、葉を透かしては鮮やかに輝かせる。

 あまり、上ばかり見上げていれば、キョウからまた阿呆呼ばわりされそうなので程程にしておく。しかし、森の中は朝と夜では全く違った顔を見せるから不思議なものである。

 キョウは暑いと嘆いていたが、夏であってもやはり、天気は良い方が気持ちが良い。

 雷華を含め、わたしたち三人はあの森まで来ていた。

 今日はジュソ退治がてら、山菜を取ろうという魂胆である。

 勿論、キョウや雷華にも手伝わせて。

「ふざけるな、阿呆女。何で俺がお前なんかの為にこんなことせねばならん」

 案の定キョウは嫌がった。まあ、すんなりと従ってくれれば、それはそれで奇妙というか、こう言っては悪いが、気持ちが悪いかもしれない。キョウの性格を思えば。

「だって、ジュソを退治するのはいいが、見つけるまで時間がもったいないだろう。山菜を取りながら探せば、後々上手い飯にも有り付ける。一石二鳥とはこのことだ」

「それはお前が作る飯が本当に上手かったらの話だがなぁ」

「ミさん、ミさん。これで良いですか?」

 雷華が嬉しそうな顔でこちらに駈け寄って来る。

「おお! そう、それも食べられるやつだ。雷華は覚えるのが早いなぁ」

 そう言うとわたしは雷華の頭を撫でてやる。角に触れられるとこそばゆいのか、雷華は小さく身動ぎをした。

「なにを、大げさに。その辺の草を取ったくらいで」

 その様子を見ていたキョウはそうあきれるように言葉を吐くと、足早に進もうとする。

「いやいや、雷華は覚えるの早いよ。多分キョウよりもな。キョウには食べられるものとそうでないものを見分けるような、そんな繊細な作業はできなさそうだし」

 わたしの言葉を聞き、キョウはぴたりと足を止めた。

 半目でこちらを睨んでいる。

「馬鹿言え! この馬鹿。俺の方が上手く見つけられるに決まっている。そのガキよりも多く採れる」

「そうか、でも口だけでは何とでも言えるからなぁ。ほれ、現に今は雷華の方が多く採っているのだし」

 この時のわたしの表情は、どこか意地の悪いものになっていたかもしれない。

 しかし、事実は事実なのだからしようがない。そもそもキョウの採った分は一つも無い。ぶつぶつと文句を言いながら歩くだけで、下を見ようともしなければ当然だ。

「言ったな、お前」

「ああ、言ったな」

 喧嘩腰のキョウをわたしは軽くあしらう。

「よし、見てろよ」

 そう半目を見開くや否や、キョウは向きになって山菜を探し始めた。

「ぼ、ぼくだって負けないです!」

 雷華も今まで以上に一生懸命になって探し始めた。

 わたしの目論見もここまで上手くいけば気持ちが良いものである。おばあさんの気持ちが少しわかった気がした。

 キョウは足場の悪い岩の上や、急な斜面も構わず進んで行く。刀を抜いた時の軽い身のこなしを思えばいらぬ心配なのだが、あまりに夢中なので、落っこちて怪我でもしたらと思うと冷や冷やする。足元が見えていれば良いのだが。時折、念の為に注意を促したのだが、案の定、「うるさい!」と怒られてしまった。わかっているならば指図するのを止めておけば良いのだが、ともすればうっかりと口を衝いて出てしまうのである。我ながら間抜けなことである。

「違う違う、キョウ。その茸は食べられないやつだ。食べたら体が痺れるぞ」

「知るか! ならばお前が食え! お前は鈍感だから毒も効かんだろう」

 それにしても酷い言い様だ。



 やがて、わたしの小屋の近くまでやってきた。微かに川のせせらぎが聞こえる。

 キョウの山菜探しとその手つきは、言うだけあって確かに速かったが、あまり気にせずあれこれと籠へ放りこんでしまうので、その度に後からわたしが籠を覗いては分別していた。お陰で、わたしはあまり探すことができなかったのだが、それを差し引いても収穫は満足以上のものであった。

「ふぅ、これくらいにしておくかー」

 やがて、二つあった籠も一杯になってしまった。結局、午前中はジュソに一度も出会わなかった。やはり、薄暗い森の中とはいえど、日が高いうちに出会うことは稀なようだ。

 二人の勝負の行方だが、わたしも一緒に採っていた所為か、途中からごっちゃになってしまってよくわからなくなってしまった。

「わたしの小屋が近いから、そこへ寄ろう。天ぷらとみそ汁くらいならご馳走できる。レンさんから分けてもらった米もあるしな」

「ちょっと待て、その前に勝負は俺の勝ちだよな」

「そんなこともうわからないよ。どれが誰のだかわからなくなってしまったのだし。それに少なからずわたしのも混じっているしな」

「納得いかん。おい! 俺の勝ちで良いよな?」

 今度は雷華に迫る。その形相には、雷華をまた泣かせてしまうのではと心配になる。

「あああの、僕は、その」

 雷華はどうして良いのかわからず、視線を逸らしてしまう。

「おい、やめておけ、雷華に言ってもわからんものはわからんだろう」

「俺の、勝ちだよな」

 キョウは徐に雷華に近づくと、両手で頬を挟み、無理矢理自分と視線を合わせた。こちらからでは窺い知ることはできないが、それはそれはそれだけで人を殺めかねない程に恐ろしい形相なのだろう。

「ふぁい、キョウさんの勝ちれふ」

 そんな乱暴なことをされてはもう駄目かと思ったが、何故か、雷華の顔は心地良さそうに緩んでいた。心なしか顔も紅潮している。

 まさか……、いや、恐らく。見たこともない症例だが、何か悪い茸を食べたに違いない。覚えが早いと、あまり気に留めなかったわたしが甘かった。それになにも生で食べなくとも、少し我慢していればわたしが上手く拵えてやるというのに。まったく、腹が減ったのならばそうと言えば良いのに、本当に雷華は遠慮が過ぎる。



 小屋に着くなり、わたしとヒナは昼食の準備を始めた。

 元々表情の変化に乏しいヒナだが、それでもその表情はいつになく明るかった。それを横目で見ながら、わたしにも自然と笑みが毀れる。

 キョウはというと小屋にあった釣り竿を勝手に持ち出して、川で魚釣りをしている。魚釣りなどしたことがないのであろう、その手つきは酷く乱暴で、小屋の窓からは確認できないが、釣り針を投げ入れたそばから魚が逃げていく様子が容易に想像できた。

 本気で釣ろうとしているのか、あるいは手持ち無沙汰に弄んでいるのか、表情が見えないので窺い知ることはできないが、どの道、あれでは当分釣ることは難しいだろう。

雷華は少し離れた場所からそんなキョウを無言で見守っている。恐らく口を出したいのだが、そうすれば怒られてしまうことがわかっていて、できずにいるのであろう。

 程なくして食事の準備が整った。

「どうだ? レンさんと比べられてしまうと形無しだが、それでもわたしの腕も捨てたものではないだろう」

「さあな」

 キョウはそう素っ気なく返した。ならば今まさにおかわりのみそ汁を器に装わんとしている、その手は何だと問いたかったが、おかわりをしてくれることが素直に嬉しかったので、ここは一先ず許しておこうと思った。


  *  *  *


「今日はお二人とご一緒させて頂き、ありがとうございました」

 午後になっても結局ジュソには出会わなかったのだが、雷華はそう礼を言った。結果を残せなかったことへの残念か、ジュソと出会わなかったことへの安堵か、わからないが、その表情は複雑なものであった。

 もしこの娘にお役目などなければ、純粋に楽しんで山菜採りができるのにと思うと、少し残念であった。それでもまたやろう。森の中で顔に土を付け微笑む雷華の姿を思い返し、そう思った。


「雷華!!」


 森から出て畦道に差し掛かった頃、背後から女の甲高い叫び声が聞こえた。

 一同揃って、緩やかに坂になった道の上を見上げるように、声のした方を振り返る。

 そこには一人の娘が立っていた。

 白髪に巫女装束。一目で彼女もまた雷華と同じ鬼の者だということがわかる。しかし、その出で立ちは似ても似付かなかった。ふわりと腰の辺りまで伸びた白髪。そして髪飾り、耳飾り、首飾り等々、全身を取り取りの装身具で派手に飾り立てている。

「雷華、あなた、志乃咲家の次期頭首様がこんなところで何をしているのかしら?」

 鬼の娘はその雪のような長髪を風になびかせながら、勝気につり上がった目で雷華を睨んだ。笑んだ口元には雷華と同じ鋭い八重歯が覗いている。

「家出したって噂は聞いていたけど、本当だったようねぇ」

「紗千……」

 雷華が驚いた様子で小さく漏らした。

「この島一の鬼子様がこんなところで何をしているのって聞いてるの!」

 雷華の煮え切らない態度に、紗千と呼ばれた娘は語調を強め、さらに雷華を睨む。

「お前も雷華と同じ鬼の者だな。雷華の友達か?」

 まるでこちらを相手しない娘に対し、耐えきれずつい口を挟んでしまった。

「友達ぃ? 友達なものか! 知らないの? 鬼の家は他所の鬼の家とは仲が悪いものなのよ! って……ところで、あなた達は……誰?」

 ここで初めて気付いたかのようにこちらに視線を向けた。その勝気につり上がった目はそのままであった。

「この人達は、キョウさんとミさん。ぼくが……その……、ジュソにやられそうだったところを……助けて……くれたの……」

 雷華は後足を踏むように、ぐずぐずと答えた。

「へぇ、そう。やられそう、ねぇ。天下の志乃咲様がやられそうってからには相当に成長したジュソだったようねぇ」

 紗千は嫌味な笑みを貼りつかせながらそう返した。その声を聞くなり、雷華は立ったまま俯いてしまった。よく見ると両手で拳をつくり、強く握りこんでいるのがわかる。また、泣くのかもしれない。

「わたしは八枝森紗千(やえもりさち)。その子と同じ、ジュソ祓い専門の鬼の者よ」

 こちらに視線を直すとそう名乗った。明らかにこちらの方が年長なのだが、その上手に出た態度を改める気はないようだ。



 紗千を含め、わたし達四人は霧乃園に来ていた。

 紗千を誘った時、「何故わたしがあなた達なんかと」と露骨に嫌がりはしたものの、わたしがしつこく迫ると、ぶつぶつと文句を言いながらも渋々ついて来てくれた。キョウといい紗千といい、一見無愛想に見えてこの種の人間は、案外無理やり押し切れてしまうのだなと思った。

 紗千は嫌嫌付いて来た割に、店に着くなりあれもこれもと色々注文した。そしていざ食べ始めると、これまた実に幸せそうな顔をする。本人は知ってか知らずか、鼻歌交じりであった。

 どうやら紗千には雷華のような角は生えていないようだ。夢中で食べ続ける紗千をまじまじと見るが、当の本人は食べるのに夢中で気付いていないようである。それともう一つ、紗千はわたしの後ろにいるジュソ、ヒナに気が付いていないようだ。紗千のような性格なら真っ先に指摘されてもおかしくはないのに。恐らく、いつしか雷華が言っていた鬼の血の濃さというのが関係しているのだろう。

「な? ここの甘味は絶品だろう?」

 わたしは自分がおいしいと思ったものに共感してくれている嬉しさから、つい口に出してしまった。

「ふんっ」

 まあ、大方予想していたことだが、紗千は顔を赤らめるとそっぽを向いてしまった。うっすらと赤らめただけでも鬼子特有の白い肌の所為か、その変化は顕著であった。

「雷華、あなた村へ帰りなさい」

 注文したものを一通り食べ終えると、紗千は雷華の方に向き直って真剣な表情をした。

 雷華は湯のみに口に付けるふりをして俯き、黙り込んでいる。

「あなたに単独行動なんて無理よ。村に帰って今からでもご両親に謝りなさい。ここにはあなたを守ってくれる人は誰もいないのよ?」

 それならばわたしたちがいるだろうと申し出たかったが、迂闊に口に出すようなことはしなかった。できなかった。

 先程の小馬鹿にする態度とは違って、紗千の表情は真剣そのもであったからだ。わたしなんかが口を挟んで良いことではないのだろう。これはこの娘達の問題だ。それに少なからずわたしは紗千の言うことに賛同している。どれだけ本人が本気であっても、それが命に係わることであるならば当然の如く背中を押すことなんてできない。紗千の語気が荒いのも、本当は雷華の身を案じてのことであろう。

「…………嫌、まだ帰らない……」

 雷華が湯のみを震わせながら消え入りそうな声で答えた。その声また震えていた。

「あなた、わかってないわね。あなたみたいな出来損ないが意地を張ったって何の意味もないのよ? 無駄死にするだけ。それでいいの? 下らない意地で死んで、志乃咲家の看板に泥を塗るようなものだわ」

「…………」

 雷華の声は最早、相手に聞かせるような大きさではなかった。微かに「だって……だって……、まだ帰れないもん……」と、自分に言い聞かせるように呟いているのみである。

「泣くの? また泣くの? あなたっていつもそう。わたしから何か言われる度にわんわん泣いて。少しは鬼の威厳ってものを見せてみなさいよ」

 その言葉に雷華は横一文字に口をきゅっと結び、目を見開いて涙を堪えた。既に目元には溢れんばかりの涙が溜まっていて、瞬きをしようものならすぐにでも毀れてしまいそうであった。

「まあ、まて。今日はこのくらいにしておいてはくれないか? 雷華も色々と思うところがあるのだろう。それに今日はもう遅い。そうだ、そんなことよりも、紗千もわたし達と一緒にレンさんの所へ行かないか? 人数が増えればきっとヒノトとツヅミも喜ぶ」

「はぁ? 何言ってるの? あなた。何でこれ以上わたしがあなた達に付き合わなくちゃいけないの? 馬鹿馬鹿しい」

「でもまだ宿は決まっていないのだろう?」

「そのくらい自分で見つけるわよ。最悪野宿だってできるんだし」

 さらっと言ってのけたが、最後のは聞き流せなかった。

「それは危険だ。暗くなると良くないものが湧きやすい」

「わたしを誰だと思っているの? 雷華と一緒にしないで。そのくらい平気よ」

 紗千は雷華を顎でしゃくるようにして反論する。

「紗千が平気でもわたしが嫌なのだ。せっかく集まったんだ、なあ、一緒に行こう」

「ああぁーうるさい! もう! わかったわよ! 行けばいいんでしょ? ったく、何なのよあなた」


*  *  *


 店を出て、帰路に付く頃にはすっかり日が暮れてしまった。

 田の畦道を四人連れだって歩く。

 ふと、こんなことをしていて良いのだろうかと思ってしまう。

 実は先程森から出た時も考えそうになり、しかし今日のところは忘れようと必死に頭から消していたのだ。いや今日だけではない。自分の村を出てからはいくらでも考えたことだ。

 立ち止まりそうになる足を何とか動かす。

 わたしは本来、こんな環境から逃げる為に家を出たのだ。

 最初レンさんの家に厄介になっていた時も、このままでは駄目だと思い、目的を見失いどっち付かずになることを恐れて、自ら森に籠ることを決めたのだ。

しかし、中々上手くはいかない。

 どこにいようと人と繋がってしまう。繋がりができてしまう。それが嬉しい半面もどかしくもある。村に残してきた人達に申し訳なくも思う。

 それは、わたしの心が弱いからであろうか。

 どっち付かずと言うならば、もう既にどっち付かずなのかもしれない。いっそのこと楽になってしまえば良いと思う。しかしそれができないでこんな中途半端な位置にいる。本当にもどかしかった。忘れてしまえればどんなに楽であろうか。

 わたしがちゃんと拒絶できる人間ならば、それに越したことはない。きっとこんなことで悩むこともないのだ。もっと楽に自分の道を進めただろう。

 だがそれだけではない。

 わたしの心が弱い。

 それもあるであろうが、それだけではない。

 この村には、島には、良い人が多過ぎるのだ。呪いだのジュソだの言うけれど、この島は本当に良い所だ。外の世界を見たことはないけれど、この島の人々の心はどこよりも平和な筈だ。

 だから縋りたくなる。弱いわたしはすぐに。

 しかしだからこそ、だからこそだ。

 だからこそ忘れてはならないと思った。

 家を出ようと決めたあの日の気持ちを。

 今度こそ守りたいと思ったあの日の気持ちを。

「あ」

 つい声に出してしまう。

 考え事が過ぎたようだ、先を行く三人と少し間が空いてしまった。

 それをぼんやりと眺めていると、雷華が心配そうに何度も振り返った。勿論キョウと紗千は構わず先を行く。それを見て自然と口元が緩んだ。

 でもあと少しくらいならこうしていてもいいかな。

 やはりわたしは弱いのだな。

 そう思った矢先であった。

 わたしの口元から一瞬で笑みが消え失せる。

 

「おい」


 先頭を歩いていたキョウは突然歩みを止めると、右手でわたしたちを制した。左手は既に鞘を掴んでいる。

「ああ、わかっている」

 わたしは声を押し殺してキョウに応じる。

 風も無いのに、道の傍らの木々がざわついているのがわかった。辺りが不気味な程に静まり返る。何処へ行ってしまったのだろうか、ひぐらしも蛙も蟋蟀もすっかり鳴りを潜めている。胸騒ぎだけが大きくなる。

 ヒナが怯えてわたしの着物の帯を、ぎゅっと掴んだ。

 不意に木々のざわめきが収まる。

 そして、遠くの木々の隙間から、この薄闇の中でも存分にわかるような漆黒の巨躯が姿を現した。そしてその化け物は辺りを見回すような素振りを見せると、わたし達の方を向いた。

 腕の長さが左右で不釣り合い。間違いない。あの時の、キョウと出会った時に襲ってきたジュソだ。

 日は暮れたとはいえ、まだ周囲を見渡せる程には明るい。こんな時間からあのような大物が森から姿を晒すとは、わたし達を狙って来たのか。腕を奪ったわたし達を。

 ここからでは上手く確認できないが、あの時の黒く濁った瞳はわたしたちを確実に捉えたであろう。そしてのらりくらりとこちらへ向かって来る。

 わたしとキョウは小刻みに震える雷華の前に、互いに申し合わせることなくゆっくりと歩み出ると、得物の用意をする。わたしはヒナから手渡された大鋏を、キョウは腰に差した刀を。

 キョウが緩慢な動作で鞘から刀を引き抜き、その決して心地よくない耳鳴りのような音が耳に届いたその時であった。


「待って!」


 背後から声がした。振り返る。雷華は相変わらず青白い表情で俯いている。どうやら声を発したのは紗千のようだ。

 キョウが怪訝そうに眉根を寄せる。もしかしたら、わたしも同じような表情をしているのかもしれない。

「あなた達、鬼のことをあまり知らないようだから見せてあげる。鬼がどうやってジュソを祓うのかを。どうせその子の時は何もできずに助けを求めただけでしょうし」

 紗千は得意げに言った。

「あ、いや、ちょっと待て。あれは、あのジュソは」

 あの成長したジュソは普通のジュソとはわけが違う。私は慌てて口を挟んだ。

「何? わたしはジュソ祓いの専門家よ? あなた達のようなならず者とは違ってね。まあ見てなさい」

 そう言うと、徐にずいと進み出る。

 横でちんと、涼しい金属音がした。キョウが刀を収めたのだ。

「おい! キョウ!」

 思わず声を荒げる。

「本人があれだけ言ったんだ。見てやろうじゃないか。俺が相手をするのはあいつが殺された後でいい」

「キョウ! 言っていたことが違うぞ! あれはお前の獲物じゃなかったのか! それをみすみす横取りされて、それでいいのか!」

 わたしは必至でキョウを挑発した。手負いの相手とはいえ、あの化け物相手に人を一人庇いながら戦うことは、わたしにはできない。必ずどちらかが傷を負ってしまう。それも致命傷かもしれない。だから今はキョウの助けが必要だった。

「さあな、そんなこと言ったか? それに俺はあいつが殺された後でいいと言ったんだぞ?」

 そんなわたしの思いも何処吹く風と、キョウは意地の悪い笑みを見せた。

 覚悟を決める。わたしがやるしかない。そしてゆっくりと歩み寄ってくる化け物を前に、大鋏を握りしめた。

「邪魔をしないで。あれはもうわたしの獲物よ」

 それはいつしかあの川のほとりで耳にした、キョウの言葉と同じものであった。

もし、このような状況でなければ、その言葉を聞いて、ああやはりこの子はどこかキョウに似ているなと、取るに足らない感想の一つでも漏らしていたであろう。


高天原(たかまのはら)神留(かむづま)()す、皇親神漏岐(すめらがむつかむろぎ)神漏美(かむろみ)命以(みことも)ちて!!」


 数度、ゆっくりと深呼吸を繰り返したかと思うと、紗千が何やら難解な言葉を口にし始めた。右手にはいつしか四、五枚のお札のような紙があった。体を半身に構え、指の間に挟んだお札のようなものを化け物に向ける

八百萬神等(やおよろづのかみたち)神集(かむつど)へに(つど)(たま)ひ、神議(かむはか)りに(はか)(たま)ひて………」

 化け物は未だゆっくりとこちらへ向かって来る。しかし、紗千は毅然とした様子で言葉を紡ぎ続ける。

「過ち犯しけむ種種(くさぐさ)罪事(つみごと)(あま)つ、罪國(つみくに)つ、罪み許許太久(ここだく)罪出(つみい)でむ、()く出でば、(あま)宮事以(みやごとも)ちて、(あま)金木(かなぎ)本打(もとうち)ち切り、末打(すえう)ち断ちて!!」

 より一層大きな声を上げたかと思うと、手にしていたお札の一枚を化け物目掛けて投げつける。

 お札は見事なまでに真っ直ぐに飛んで行くと、怪物の額に張り付いた。

「ぐ、ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 途端、化け物が苦しみに悶え始めた。足を止め、その場で両腕を着く。左右で腕の長さが違う為、不恰好に体を傾けて。

彼方(をちかた)繁木(しげき)(もと)を、焼鎌(やきがま)敏鎌以(とがまも)ちて………」

「ぐおぉぉぉぉ、ぐるるるるるる」

 口から(あぶく)を噴き、身動きが取れずにいる化け物の目だけが、ぐるりぐるりとわたし達を見回している。

 その目を見ていると、ああわたしは恨まれているのだなと、わけも知らず身を切られる思いになる。

「打ち掃ふ事の如く(のこ)る罪は在らじと…………っ!?」

 これまで淡々と言葉を発していた紗千の声が急に止まった。

 化け物が再び前進を始めたのだ。

 苦しみの断末魔を上げながら、震え、血反吐を吐き、それでも確実にこちらへ這って来る。

「なんてやつ……? やっぱりここまで成長すると一筋縄ではいかないようね」

 言って、手に残った残りのお札をすべて化け物に投げつけた。

「そう、出し惜しみなんてできる相手じゃないってことね! 祓へ給ひ清め給ふ事を!!」

 飛んで行ったお札は、まるで見えない糸に引かれたかのように、化け物の腕に、足に、胴体に張り付いた。

 再び化け物は動きを止め、今度は耐えきれずその場に崩れ落ちた。

 なおも紗千の言葉は続く。

()佐須良(さすら)ひ失ひてば、罪と言ふ罪は在らじと、祓へ給ひ清め給ふ事を、(あま)つ神、(くに)つ神、八百萬(よほよろずの)神等共(かみたちとも)に、聞こし()せと(まお)す!!」

 紗千が言葉を終えると化け物はより一層の苦しみを見せ、やがて動かなくなった。だが、消える気配は無い。よくよく目を凝らすと、手足の先がひくひくと微かに痙攣を見せているのがわかる。

 それに気付いたのか、紗千はちっと小さく舌打ちをした。

「ここまでさせておいてまだ動けるの?」

 白衣の懐から新しく一枚の札を取り出す。

召鬼(しょうき)一式、羅刹!」

 そう言ったかと思うと、手の中で札が弾け、薄い白煙と共に大きな鎌が現れた。

 大きな大きな黒い鎌。

 その長さは恐らく、紗千の背丈よりも長いだろう。そしてその刃も柄と同じくらいに長かった。だが、そんなことよりも目に付いたのは、その鎌の意匠だ。刃以外のすべての表面を蔦が絡みつくように、あるいは脈打つように禍々しい装飾が施されていた。その禍々しさたるや、ヒナの持つ大鋏に負けず劣らない程だ。

 紗千は鎌を片手で下に構えると、大股で化け物に近づいて行く。化け物は最早声を発しない。夕日に照らされてぬらりぬらりと光る刃。鎌の柄に装身具がぶつかる時の、ちゃりん、ちゃりん、という、小気味良い音だけが耳に届いていた。

 わたしは動かなかった。もう、動かなくてもよいことがわかっていたからだ。あるいはただ動けなかったのか……。

 紗千が大きく振り被った刃で化け物の首を刎ねたのを見届けて、ようやく肺の中身を吐き出すことができた。

 キョウはというと、あの不敵な笑みからつまらなそうなものを見る表情へと変わっていた。本気で紗千が殺されてしまうことを期待していたのだろうか。まさか。わからない。わたしは少しだけ、この男のことがわからなくなる。

 上を見上げると月が爛々と照らし、周囲の夜空を不気味な程群青に染めていた。


  *  *  *


「わぁーお姉ちゃんきれー」

「きれー」

 全身を装身具で飾った紗千の姿を見て、ヒノトとツヅミが目を輝かせ感嘆の声を漏らす。

 まだ幼いとはいえ、女としてそういったものに興味を持たずにはいられないのだろう。

 わたしも少しは見習った方が良いのだろうか。不意にあの川のほとりでキョウに言われた言葉を思い出す。

「あ、あんた達みたいなガキに褒められたって嬉しかないわよ」

 そう言うが、紗千の表情は満更でもない様子だ。嘘が苦手な性分なのだろう。

「ねぇねぇお姉ちゃん。あっちで遊ぼうよー」

「あそぼーあそぼー」

「ちょっちょっとぉ! あんた達離しなさい! 着物が脱げちゃうでしょぉ!」

 子供達の声を鬱陶しそうにしながら寝そべっているキョウを横目に、わたしは雷華の姿を探した。雷華は一人縁側で膝を抱え込み、座っている。

 紗千と出会ってから雷華はずっとこんな調子であった。

「あっちで紗千とヒノト達が遊んでるぞ? お前も加わらないのか?」

「いいんです」

 そう言う雷華の横に、わたしはそっと腰掛ける。

 すると雷華はぎゅっと体に力を入れ、すくめるように小さい体をさらに小さくした。その幼く小さな手は緋色の袴を強く握り締めている。せっかくの綺麗な袴がしわになってしまわないだろうか、心配だ。

「まあ、気に病むな。わたしがお前くらいの時はお前程強くはなかったぞ? 一人でジュソに挑もうなどと考えることもできなかった」

 少し間を置いてから、ようやく雷華は重苦しい沈黙を破った。

「でも紗千は一人でジュソを倒してました。ぼくと同じ歳なのに」

 ふと雷華に慰めの言葉を掛けようとしている自分が滑稽に見える。

 わたしにはそのような資格があるのであろうか。方向は違えど、わたしが抱えているものと、この娘の抱えているものとの間には、わたしが偉そうに物申せる程の大差があるのであろうか。あの時のわたしは、ジュソと戦える力を持っていなかったあの時のわたしは、果たしてこんな慰めの言葉を欲したであろうか。

 考えなしに雷華に話し掛けてしまったことを少し後悔した。

 雷華の表情を窺う。

 何か言わねばと思うがけれども言葉が見つからない。

 言葉を探すそばから、探している言葉が頭から抜け落ちていくようであった。もどかしく思う。必死になればなる程上手くいかない。

 話し掛けるまではきっと上手くいくと、わけも知れずありもしない自信を抱いていたのだが、甘かったようだ。反省しよう。

 やはり、成れないことはするものではない。

「確かに紗千は凄かった。あれはなんだ? 札を張り付けてなにやら言葉を言い連ねていたが」

 情けないことに結局、話を逸らすことしかできなかった。

「あれは祓詞(はらえことば)です。あれ自体はただの神道における祝詞(のりと)の一つで、恐らく本島でも珍しくありません。もともと本島のものが伝わったのですしね。比較的最近のもので新しい対処法ですが、そこまで強くないジュソには大抵有効です」

「ほう、わたしはてっきり鬼の家柄に伝わるなにか特別なものかと思ったよ。それではわたしが覚えてもジュソを祓うことができるのか?」

 鬼がジュソを祓っていることは小さい頃から知っていたことではあったが、実際に見たのは初めてであった。

「残念ながらできません。あれはそういった力がある者が使うから意味があるのであって普通の人が使ってもおまじない程度にしかなりません」

「そうか……それは残念だな……」

 少し期待してしまった。有効ならば是非教えて貰いたいと思ったのだが。

「あの詞は穢れを祓う為に唱えられるんです。あ、いや、そうは言っても穢れとはジュソのことではありません」

 一瞬だが、雷華はわたしの後ろで正座をしていたヒナに視線を向けた。つられてわたしもヒナを見ると、ヒナはどこか悲しそうに目を伏せていた。雷華の「穢れ」という言葉に反応してだろうか。雷華の心遣いに感謝した。

「ここでいう穢れとは、ジュソが生前に受けた罪のことです。恨みの対象である、人の人を殺めるという罪を消し去ることで、そのジュソの存在意義を否定するんです。ああ、でも心配しないで下さい。札で対象を限定しますのでヒナちゃんには影響ありませんから」

「存在を否定……か。なんか……、なんとなくだが、悲しいな」

 それは間違ってもジュソに対する感情ではない。存在を否定するという言葉そのものに向けたものだ。

「はい……、でも結局そんなものはまやかしですしね。人の罪がそう簡単に消える筈もありませんし。ぼくたちが祓い詞を使うということは、ジュソを、人の感情を騙しているということです。お前の恨むべきものは存在しなかった。だからお前も存在してはならない。あの詞を唱えるということは、平たく言えばこんなふうにジュソを騙しているのと同じなんです。それでもジュソにとっては苦しい筈なんです。人の感情が元である以上、存在を否定されることはとても苦しいこと……なんです」

 何かを思い出したかのように、話す雷華の口調は、だんだんと弱弱しくなっていった。

「…………」

「…………」

 興味深い話ではあったが、それも終わってしまっては間が持たない。こんな話をしたからといって、雷華の気が紛れるわけもない。

 だがこんな姿の雷華を見るのは、わたしにとっては辛いのだ。

「雷華の気持ちは……何となくだが、わかるなぁ……」

 次に出た言葉、自然と口から毀れた言葉、それは気休めや慰めの言葉ではなく、紛れもないわたしの本心であった。元々わたしは気休めなんかで言葉を選ぶのが苦手というか、まるでできない人間だ。正直、言ってしまってから自分で驚いてしまった。

「もっとも、わたしの立場は雷華とは正反対なんだがな」

「え? それってどういう……」

 言葉の意味を理解しかねた雷華が顔を上げた。

いけない、いけない。自分から話し掛けておいて勝手だが、話すつもりもないことを口走ってしまった。

「おっと、そろそろ風呂が沸いたかな? 雷華、一緒に入ろうか。背中を流し合おうじゃないか」

咄嗟に誤魔化しの言葉を挟む。

「子供扱いはやめて下さい!」

 雷華は顔を赤くすると、そそくさと行ってしまった。

 話を終わらせることには成功したが、しかし、一人で入る風呂は寂しいものだということは紛れもない本心だ。ヒナは風呂に入らないし。いつもならヒノトとツヅミを誘うところなのだが、楽しそうに戯れている二人に声を掛けるのも憚られる。さて、どうしたものか……。

「それではキョウ、一緒に背中を――」

「お前、あまり突拍子もないことを言ってると、仕舞には怒るぞ」

 その口調が既に怒っているのではないかと言いたいところではあったが、ここは潔く止めておいた。  キョウの言っていることが本当ならば、怒った時にはそれはそれは怖いのであろう。

 しょうがない、一人で入るとしようか。



 寝床の事情を知って、紗千が今日一番の高ぶりを見せたのは言うまでもない。

 無論、わたしは引くつもりはないのだが。

「ことあるごとに大げさな反応を示す奴であると思っていたが、今回ばかりはそれを咎める気にはならんなぁ。常人であるならば正しい反応だ」

 キョウは何やら感心した様子だ。 

「雷華ぁ! こんな男と同じ部屋で寝てただなんて、大丈夫なの!? 何か変なことはされてないの!?」

「おい」

「だ、大丈夫……、まだ……されてない……」

「〝まだ〟って、おい」

 そしてこの後、横一列で寝ると言って聞かないわたしとしつこく食い下がる紗千との論争が続いたのだが、結局、紗千が一番壁際、キョウから一番遠く、わたしと壁に挟まれるような位置にすることでなんとか落ち着いた。

「ふふふふ」

 自然と笑いが込み上げてしまう。

 だがやはり良いものだ。こうして眠るのは。

 今だけ……今だけ……。だから……。

「ちょ、ちょっと、何!? この女怖いんだけど! ねえ!」


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