第8話/歯科医の受付さんもなにげに美人率が高いと思う。
さっきアクセス解析を見たら4000PVと1500ユニークを突破してしました!
未だに冒険と呼べる展開にもなってないにも関わらず読みに来て下さる方々には感謝です!!
それにしても説明回はなぜか文字数が増えちゃうから不思議ですね?
異世界といえばやはり冒険者ギルドは外せないでしょう。
ということで、現在オレ様は冒険者ギルドの建物の前にいたりします。
どこぞのわんこがオレ様の食料を食べ尽くして満足そうな顔で去って行った後、ちょっぴり落ち込んでいた時に広場を横切る冒険者風の男女を見かけ、”生で冒険者やギルドを見てみたい”という衝動に駆られて広場のおばちゃんに場所を聞き、興味本位でやってきた次第である。
ギルドの建物は黒い木製の素材の出来ていて、質素だが三階建てのちょっとした屋敷のようなのが意外だった。
日中は依頼等で外に出ているのか、建物に出入りする冒険者は少ない。
まあちょっと覗きに来たようなもんだし、ギャラリーは少ない方が落ち着いて見れるから都合がいいけど。
頑丈そうな茶色い木製の扉が内向きに開放されていて、内心ドキドキしているのを見透かされないうに、なるべく平静を装って中へと足を踏み入れる。
中は向かって左側に受付のカウンターや待ち合いのためっぽいソファや椅子が置かれ、真ん中には二階への階段、右側は酒場っぽい雰囲気漂う空間でテーブルや椅子があり、何組かの冒険者達が食事をしていた。
そしてなぜか冒険者達からチラ見されまくる。
「おいおい、誰だよあの可愛い子! はじめてみたぞ?」
「俺もだ。でも着てる服は上等そうだし、どっかの貴族じゃないのか?」
「しかしいい胸だな! でかくはないがいい形じゃねえか!」
小声で話してるようだけど、身体のスペックのおかげかしっかり聞こえてるぞ諸君。
うーん、しかし男のチラ見は女のガン見というけど、なるほど言われてみれば確かにそうだ。
向こうはチラ見しているつもりでも、何回もされたらガン見と変わらないし。なんだろうあんまりいい気はしない。
男共を無視してある目的のために、オレ様は受付嬢さんがいるカウンターへと向かう。
すると受付嬢さんがこちらに気づいたようで、笑顔を向けてくれた。
「こんにちは。ギルドへようこそ。冒険者への登録ですか?」
しかしラノベでよくあるけど、どうして受付嬢さんというのはこうも可愛いのだろか。
二十歳前後だろうか少したれ気味な瞳の表情は可愛く、淡い金髪をゆるい三つ編みにまとめていて頭の上にはアクセントのような青い帽子。
白と青を基調としたセーラー服のような服が涼やかな印象で、なにより服を押し上げる二つの巨峰が素敵です。
「登録ではないんですが、冒険者やギルドの事を伺いたいと思いまして。よろしいでしょうか?」
さりげなく視線を胸から逸らしながら、印象第一と思い接客でならした営業スマイル&トークで答えたところ、なぜか頬を赤く染めた受付嬢さんにまじまじと見つめられてしまう。
……はっ! まさかさっきの巨峰への視線がバレてる!?
いや落ち着けオレ様。今は同じ女性同士なんだしそういう視線には見られない筈。なにより一度だけのチラ見でバレるわけがないではないか。多分。
内心若干焦りながらも気を取り直し、誤魔化す為にも一応それっぽい質問をしてみる。
「あの、私の顔になにかついていますでしょうか?」
ちなみに社交場では基本的に一人称を”私”にしている。まあ、職場で年上や上司とかに失礼になる事もあるしね。
「……っは! いえ! なんでもありません失礼しました! えーっと、冒険者等についてお聞きしたいということでしたね!!」
慌てた様子で早口でまくし立てた受付嬢さんが、カウンターの下から取り出した薄い冊子を見せてくれた。
冊子には<はじめての冒険者&ギルド案内>という題名で、表紙にはなぜか女性の萌えキャラが描かれていたりする。
これ作ったの絶対転生者だろう。
「ご説明しますね。当ギルドは冒険者ギルドといい、民間や国からの依頼を冒険者の皆様へ斡旋、仲介しています。依頼を受けるには基本的に冒険者になる必要があります。あ、申し遅れました。私はファンナと申します」
「あ、ご丁寧にどうも。私はアビゲイルと申します」
お互いに軽く会釈を済ませてなんだか気分が和んだのは気のせいではあるまい。挨拶や会釈はコミュニケーションを円滑にする上で必要なのだ。
ファンナさんが捲ってくれたページには、絵や文字でギルドや依頼の関係性がわかりやすく書かれている。
ファンタジー世界では識字率が低いというのは定番だが、多分これも文字が読めない人のことも考えて作られているのだろう。
ただちょいちょい出てくる萌えキャラの獣人ロリ少女率が高いのは、製作者の業を感じざるを得ない。
「冒険者ギルドにはそれぞれの職業に関したギルドがあり、剣士系は剣士ギルド、魔法は魔導士ギルド、薬草や回復アイテムは薬士ギルド等があります。その他も鍛冶ギルド、錬金術ギルド等がありまして、それぞれの得意分野での造詣を深めることが出来ます。また人によっては異なる二つのギルドを掛け持ちして技能を授かることもあります」
おや? このシステムってゲームのものと似てるような。
「ちなみに職業に関しては適性レベルになり、それぞれの職業神の前で”誓約の儀式”を行うとその職業に就くことができます。また転職も出来ますが、それまでの職業のレベルやスキルが著しく落ちてしまいますのであまりお勧めはできません」
職業神、そんなところまで似ている。
もしかしてこの世界のシステムはゲームと似たようなところがあるのだろうか?
それなら大いに助かる。ゲームの戦績等では結構上位をキープしていたので、それがそのまま使えるなら脅威に対して対抗手段が得られ、自分の身も守れるというもんだ。
それにしても相づちを打ちながら話を聞いているのだが、ファンナさんがやや前屈みになっているせいで胸の巨峰の迫力が半端ない。ご馳走様です。
「冒険者に登録されるとギルドが運営する施設を格安でご利用できます。具体的にはギルド直営の宿屋が通常の半額で利用できたり、ギルド内で購入できるアイテムが割引で購入できたりいたします」
お、これはゲームにはなかったシステムだ。
ゲームは割引等はなくそのままの値段だったので、リアルとなった今は節約の意味も込めてありがたい。
まあそれも冒険者になったら、だが。
「尚、冒険者にはランクがありましてE~Sまでとなっております。ランクは依頼の達成や個人への評価、昇級試験等で上げることができ、ランクに応じて報酬も上がり、また待遇や利用できる施設や購入アイテム等も上級のものになっていきます」
ふんふん。大体のシステムは理解できた。
捲りながら説明してた冊子も最後のページに行きついたようで、これでファンナさんの説明も終りらしい。
「以上が当ギルドと冒険者の説明になります。なにかご質問があればお答えいたしますが、いかがでしたか?」
ファンナさんが最後のページを閉じると、口元に手を当てた大きめ白シャツを着崩した生足の猫耳少女が上目遣いで「またにゃ」とセリフつきの裏表紙が出てきた。
徹頭徹尾だなこの製作者。貰えたらあとで一冊保護しておくとしよう。
それはともかく、オレ様はかねてから気になっていた事を聞いてみる。
「システムは大体わかりました。ちなみになんですが、冒険者への登録はどんな種族でもできるんでしょうか? 例えば知性を持った敵対していない人型の魔物や人化できる竜種、吸血鬼なんていう種族がいた場合はどうなるんでしょう?」
気になっていた事とはすなわち、オレ様の<吸血鬼>という種族について。
もし敵対種族だった場合、それを知らずにうっかり冒険者登録した折にバレたりして、その場で討伐騒ぎになったりするなんてのは遠慮したい。
ちなみに質問の際に吸血鬼一択で聞かないのは、吸血鬼のことを気にしているというのが悟られるかもしれないので、小賢しくも他の種族を引き合いに出すことで誤魔化したりしているからだ。
どんな答えが返ってくるのか。ちょっとドキドキする。
「え、えーっと、ちょっと、お待ちくださいね?」
どうやら想定していた質問ではなかったらしく、ファンナさんはカウンターの下をごそごそしてなにやら分厚い辞書のようなものを取り出して高速で捲っていく。
背表紙には<ギルド・冒険者に関する判例集(極秘)>と書かれているので、きっとマニュアルなんだろう。
つーかいいのかファンナさん。極秘と書かれた本を堂々と俺の前で広げたりして。
「お、おまたせいたしました。えーっとですね、知能を持つ魔物や竜種等に関しては過去に登録例があります。ただそういった方々の場合、通常の冒険者登録ではなく<ギルド契約者>として登録されます。あと吸血鬼族や魔人族等の希少種族の方々の冒険者への登録は数える程しかありませんね。元々が古くからの大貴族という方々でして、どちらかというと依頼をされる側になりますし」
魔人族もいるのか。確かゲーム内でも特定の条件や儀式をすることでなれる特殊種族だったはず。
悪魔系の力を持ち、吸血鬼と同じ闇の種族で外見の一部が角だったり翼だったりと悪魔の特徴を表している。
しかしよかった。特に人類と敵対しているわけでもないし、少ないと言えど過去に冒険者として登録していたことがあるみたいだし。
これならオレ様も登録したところで特に問題はないはず。種族の問題が払拭された今、これからすぐにでも俺は冒険者になれるのだ。
異世界で冒険者! これはもうある意味テンプレでしょう!!
そうとなれば早速冒険者へ登録してみるべし。
ついでにギルドカードという身分証が手に入って、臨時証に払ったお金も半分戻ってくるしね。仮想もリアルもお金は大事。
「ファンナさん。今からでも冒険者に登録できま――――」
「だ、誰か! 助けて下さい! お願いします!!」
オレ様の声を遮るほどの大きな声でギルド内へ駈け込んで来たのは、服のあちこちに土汚れが目立ち、頬や腕の擦り傷に血を滲ませた、瞳に涙を浮かべる一人の少女だった。
ファンナさんの巨峰という表現は間違いではないのであしからず。なんか乳とストレートに書くよりユニーク?な表現でいいかなぁと。
ちなみに作者の好きな受付嬢(?)はPS○2のエクストリームクエスト担当官のカリンです。
テンションと話し方が好みで、自分のキャラと名前が一文字違いというのもあって気に入っております。(知らない方は置いてけぼりで申し訳ない)
※でかけようとしたら自転車置き場で作者の自転車だけが倒れていて、ちょっぴし悲しかった午後。